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前編

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「フローリカ、君とはもうやっていけない。よって! ……婚約は破棄とする」

 私は婚約者アーノルトからある日突然そう告げられた。

 普通であれば悲しんだり傷ついたりするところなのかもしれないが。
 私にしてみればそこまでのダメージはない。

「そうですか、分かりました。では私はこれで失礼しますね」

 私はさっさとその場から去る。
 きっと彼には二度と会わないだろう。

 けれども私はそれでいい。

 私はただ、ひたすらに、のんびり暮らしたい。
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