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9話「披露会、何とか終了」
しおりを挟む婚約披露会は終了した。
ただ、平穏に、とはいかなくて。
その会が国民向けでもあるということもあって、想定外のことはやはり起こった。
というのも、アポツティが会を見に来ていたのである。
途中まではずっと気づかないふりをしていたのだけれど、途中で彼が「裏切り者!」とか「俺を捨てやがって!」とか叫び出したのだ。また、彼は、係員から注意を受けても叫ぶことをやめず。それからも色々私を貶めるような言葉を発し続けた。そして警備員に「黙りなさい」と注意を受けると今度は小型ではあるが刃物を取り出してそれで周囲を脅して。で、そこまでなるとさすがに注意では済まず、最終的に彼は警備の者たちによって取り押さえられた。
だがそれ以外は特に問題はなかった。
いや、アポツティの件自体が大問題だったのだけれど。
「大変でしたね」
披露会が終わってから、カルセドラは気遣いの声をかけてくれた。
とても申し訳ない気持ちでいっぱいで。
こういう時どうすればよいのだろう、という心境であった。
「すみませんでした……まさか彼が来ているなんて……」
「いえいいんです、いつかはこういうことになったでしょうし」
「でも……」
「カレッタさんのせいではないですよ。だって、カレッタさんはもう既に拒否されていたのですから。執拗に近づいてくる方が悪いのです」
きっと色々言われるだろうなぁ。
明日からが憂鬱だ。
「カレッタさん、どうか、悲しまれないでください」
「お気遣いありがとうございます」
「それに。祝福してくれている者の方が多いのですから、貴女はどんとしていてください。それで良いのです」
「……迷惑お掛けして」
「すべて承知のうえですから、問題なしですよ」
唯一の救いは、カルセドラが味方でいてくれていること。
彼が常に私に寄り添ってくれていること。
それだけが救いだ。
少なくとも味方が一人もいないといったことにはならない、そう思えるだけで多少は気が楽になるというものである。
「次は実際に結婚の儀式ですね」
「はい……」
「何か不安がありますか?」
「不安ばかりですね」
「そうですか、それは……」
「ごめんなさい。でも、大丈夫です。その時にはきちんと振る舞えるよう心の準備をしますので」
孤独ではない、そう思えるだけで人は強くなれる。
「ああそうでした! 明日からまた修業が!」
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明日以降の予定について。
今日は会があったのでさすがに修業はなかったけれど、明日からはまた当たり前のように再開されるのだ。
「過密日程ですね。体調、大丈夫そうですか? 少し休まれては」
「いえ! 日々成長せねばなりませんので!」
「そうですか……やはり素晴らしい方ですね、カレッタさんは」
「そんなことありません。これからも、日々、カルセドラ様の隣に立つに相応しい人となれるよう努力しなくてはなりません」
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