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前編
しおりを挟む私の母は私がまだ三歳だった頃にこの世を去った。
当時流行っていた病にかかり、まともに別れも告げられぬまま、母娘は引き裂かれることとなったのだった。
その後父は再婚。
そうして新しい母ができたのだが、その女性は私のことを大層嫌っていた。
最初私は彼女を慕おうと思っていたのだが、そんな希望は絶たれた。
「あたしはあんたの母親になる気はないかんね!」
初めて二人になった時、彼女からそう告げられた。
以降、私は、継母となった彼女から心ない扱いを受け続けることとなってしまったのである。
父はいつだって見て見ぬふりをしていた。
関係ない、そんな顔で。
私を助けてはくれなかった。
継母について相談した時だって父は「上手くやってくれ、頼むよ」と言っただけだった。
そのうちに妹が誕生する。
母の異なる妹だ。
父は新しい娘の誕生を喜び可愛がり、また、継母も妹ばかりを大事にするようになって――その頃からは私に対してはより一層冷ややかな視線を向けるようになった。
「あんたはもう要らないよ!」
そんなことを言われたことだって何度もあったくらいで。
継母は私が幸せになることを極端に嫌がっていた。恐れていた、と言っても過言ではないくらいに。そんな状態だから、私の婚約者のところへ彼女が怒鳴り込んでいって数時間暴言を吐き続けたこともあった。もちろんその時の婚約者からは「おかしなお母さんだね」なんて言われて婚約を破棄された。
そんな風なことは何度もあった。
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