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前編
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「お前との婚約は破棄する。そしてお前の妹と新たに婚約するのだ。俺はもう親の言いなりでいることはできない。だから……さらばだ、オフィーリア」
オフィーリア・アンブレラは絶世の美女だった。
しかし婚約者であるスベールは彼女を愛さなかった。
二人の婚約、それは、互いの親が話し合って決めたこと。それでも、オフィーリアは婚約者を好んでいた。幸せな家庭を築くことへの憧れを持っていたオフィーリアは、温かい家庭を作ろうと、いつも努力していたのだ。
だが婚約者は違っていて。
彼は「今あるもので素晴らしい未来を作り出そう」と考え努力するたちではなかったのだ。
スベールが惚れていたのは、オフィーリアの三つ年下の妹。名をコルネリアというが、オフィーリアと違って『愛らしい』という言葉の似合う娘で。スベールは、大人びた品のある美女オフィーリアより、撫でたくなるような愛らしさのコルネリアを気に入っていた。
そしてスベールは理不尽に婚約破棄を突きつけた。
オフィーリアは仕方なく婚約破棄を受け入れたが、その晩、寝巻きのまま湖のほとりで一人泣いていたという。
そして、その目撃情報を最後に、彼女は消えた。
自殺するため森の奥へ進んでいってしまったのでは、とか、不審者に誘拐されたかも、とか、獣に襲われ食い殺されたのかもしれない、とか。暫しいろんな噂が飛び交った。が、噂が人々の心を揺さぶったのも一時で。いつしか皆そのことは話さなくなった。
数ヶ月後、スベールは改めてコルネリアと婚約する。
二人は両想い。幸せな甘い時間を過ごしていた。二人の間に割って入ることができる者などいない。それほどに、二人は愛し合っていた。というのも、実は、オフィーリアと婚約していた頃から二人は定期的に会っていたのだ。だから既に心は通い合っている。
式を挙げ、正式に夫婦となり、コルネリアはやがて子どもを宿す。
二人の愛のために犠牲になったオフィーリアのことなど、誰もが自然に忘れていっていた。周囲も、その多くが、スベールとコルネリアの夫婦暮らしを温かく見守っていた。
だが転機が訪れる。
オフィーリア・アンブレラは絶世の美女だった。
しかし婚約者であるスベールは彼女を愛さなかった。
二人の婚約、それは、互いの親が話し合って決めたこと。それでも、オフィーリアは婚約者を好んでいた。幸せな家庭を築くことへの憧れを持っていたオフィーリアは、温かい家庭を作ろうと、いつも努力していたのだ。
だが婚約者は違っていて。
彼は「今あるもので素晴らしい未来を作り出そう」と考え努力するたちではなかったのだ。
スベールが惚れていたのは、オフィーリアの三つ年下の妹。名をコルネリアというが、オフィーリアと違って『愛らしい』という言葉の似合う娘で。スベールは、大人びた品のある美女オフィーリアより、撫でたくなるような愛らしさのコルネリアを気に入っていた。
そしてスベールは理不尽に婚約破棄を突きつけた。
オフィーリアは仕方なく婚約破棄を受け入れたが、その晩、寝巻きのまま湖のほとりで一人泣いていたという。
そして、その目撃情報を最後に、彼女は消えた。
自殺するため森の奥へ進んでいってしまったのでは、とか、不審者に誘拐されたかも、とか、獣に襲われ食い殺されたのかもしれない、とか。暫しいろんな噂が飛び交った。が、噂が人々の心を揺さぶったのも一時で。いつしか皆そのことは話さなくなった。
数ヶ月後、スベールは改めてコルネリアと婚約する。
二人は両想い。幸せな甘い時間を過ごしていた。二人の間に割って入ることができる者などいない。それほどに、二人は愛し合っていた。というのも、実は、オフィーリアと婚約していた頃から二人は定期的に会っていたのだ。だから既に心は通い合っている。
式を挙げ、正式に夫婦となり、コルネリアはやがて子どもを宿す。
二人の愛のために犠牲になったオフィーリアのことなど、誰もが自然に忘れていっていた。周囲も、その多くが、スベールとコルネリアの夫婦暮らしを温かく見守っていた。
だが転機が訪れる。
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