上 下
2 / 3

中編

しおりを挟む
 私は諦めた。

 母親のことは私が護る、そう心を決める。

 それから一週間ほどが経過した頃、母親の病状は悪化するばかりで、命すら危うくなってきた。

 一応やって来てくれる医者はいるのだが、完全にヤブ医者で、ろくな治療法を知らない。素人の私の方がましなくらいだ。そのため、医者が来てくれていても、まったくもって改善しない。改善しそうな雰囲気すらない。

 ある日、死にかけている母親が口を開いた。

「……あなたの妹、は……本当の妹では……ない、のよ」
「母さん?」
「……あの子、は……私の子では、ない……の」
「どういうこと!?」

 前触れもなく出てきたその言葉を、すぐには理解できなかった。
 いきなりそんなことを言われても理解できるはずもない。

「あの子、は……お父さんと、浮気相手の子……なの、よ……」

 その言葉を耳にした時、よく分からないけれど納得できた。

 妙にしっくり来たような気がしたのだ。

 私と妹はあまりに違っていた。それも、何もかもが。周囲にそれをからかわれるくらい、私たちは姉妹らしくなかったのだ。けれども、もし腹違いの姉妹であったのだとしたら、それも不自然ではないのかもしれない。流れている血の半分が違っているのだから。

 あぁ、やっぱりそうだったんだ。

 根拠があるわけでもないのに、強くそう思った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

のんびりし過ぎて不安と婚約破棄された彼女は、特殊スキルを得たことで莫大な富を得ました。~なんだかんだで愛されている彼女です~

四季
恋愛
のんびりし過ぎて不安と婚約破棄された彼女は、特殊スキルを得たことで莫大な富を得ました。

聖女マリフィア、婚約破棄される。~追放直後とんでもないことになってしまいました~

四季
恋愛
聖女マリフィア、婚約破棄される。

薬屋の一人娘、理不尽に婚約破棄されるも……

四季
恋愛
薬屋の一人娘エアリー・エメラルドは新興領地持ちの家の息子であるカイエル・トパーヅと婚約した。 しかし今、カイエルの心は、エアリーには向いておらず……。

聖女がいなくなった時……

四季
恋愛
国守りの娘と認定されたマレイ・クルトンは、十八を迎えた春、隣国の第一王子と婚約することになった。 しかし、いざ彼の国へ行くと、失礼な対応ばかりで……。

この国において非常に珍しいとされている銀髪を持って生まれた私はあまり大切にされず育ってきたのですが……?

四季
恋愛
この国において非常に珍しいとされている銀髪を持って生まれた私、これまであまり大切にされず育ってきたのですが……?

心ない言葉と共に婚約破棄を宣言された日の夜、意外な形で出会いがありまして……?

四季
恋愛
心ない言葉と共に婚約破棄を宣言された日の夜。

エメラインの結婚紋

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢エメラインと侯爵ブッチャーの婚儀にて結婚紋が光った。この国では結婚をすると重婚などを防ぐために結婚紋が刻まれるのだ。それが婚儀で光るということは重婚の証だと人々は騒ぐ。ブッチャーに夫は誰だと問われたエメラインは「夫は三十分後に来る」と言う。さら問い詰められて結婚の経緯を語るエメラインだったが、手を上げられそうになる。その時、駆けつけたのは一団を率いたこの国の第一王子ライオネスだった――

処理中です...