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しおりを挟む五人姉妹の三女であった私ミリーは姉妹の中で最も影の薄い子であった。
そしてそのまま育ち、気づけば私だけ恋人も近しい男の親友もいないままで成人してしまったのだった。
「ミリーって、相変わらず色気ないわねぇ」
「お姉さまったらぁ~今日もだっさぁ~い」
姉も、妹も、誰もが私を見下していた。
しかしそんな私に転機が訪れる――それは、とある企業の社長の息子からの婚約希望であった。
その彼ミッドネンは一年ほど前私をとあるパーティー会場で見かけたそうで、その時からずっと私のことが気になっていたらしい。ただ、その時は親の仕事の手伝いで忙しくて、婚約だなんだと考えるところまでは余裕がなかったそうで。それで、声をかけるのが今になってしまったのだそうだ。
「ミリーさん、貴女のことがずっと気になっていました」
「そうでしたか」
「嬉しそうでは……ないですね。まぁ、そうですよね、きっと。その反応で当然だとは思いますけど……初対面ですし」
ミッドネンの登場で家の中での私の立ち位置は変わった。
敬われることはさすがにない、が、あからさまに見下されることは減った。
「ミリー最近調子乗ってるよね」
「それな」
「モテない女のくせに、ムカつく~」
姉や妹はたびたびこそこそと私の悪口を言うようになった。
でも知らんぷりしておいた。
なぜって、いちいち反応していたら彼女らの思うつぼだと思ったから。
聞こえないふりをしていよう。
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