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後編
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「リーナ、何なのあの人! 感じ悪過ぎよ!」
帰ってきた母親の第一声は怒りに満ちていた。
それはもう、リーナが動揺したほどに。
「感じ悪かったの……?」
「こんなこと言っちゃ駄目かもしれないけれど……生意気にも程があるわ!」
リーナが知っているアイスンはべつにそんなに感じが悪い男性ではなかった。若干優しすぎる感じはあったけれど。だからこそ、母親がこんな風に怒っているのを見て驚きを隠せなかった。そんなにか、と。
そして、それと同時に、悲しくもなった。
自分が見てきたアイスンは本当のアイスンではなかったのか、と。
◆
結局、歩み寄ることはできず、リーナとアイスンの婚約は破棄となった。
アイスンも彼の親も、一度も謝罪はしなかった。それどころか、近所の人にリーナ一家の悪口を言いふらしていたらしい。だが、本当の話が既に流れていたこともあって、リーナ一家が変に思われることはほとんどなかった。
その後、アイスン側に非があるとして、慰謝料の支払いが命じられる。
アイスンは慰謝料は仕方なく支払った。が、罪を罪と認めることはなかった。アイスンは、単に遊んでいただけとか何とかいって婚約破棄されるようなことはしていないと訴え続けた。しかし、調査による動かぬ証拠があったから、嘘が事実となることはなかった。
◆
数ヶ月後。
悪い評判が拡散したため、アイスンの父親が営んでいた店の売り上げは落ちて。あっという間に閉店に追い込まれた。また、ほぼ嘘の悪口を言いふらしていたことで近所の人たちから白い目で見られるようになってしまった。
ちなみに、アイスンの妹は婚約者から婚約破棄を告げられてしまった。
この件に関しては完全にとばっちりで、気の毒である。
結局、アイスン一家はその地域に居づらくなって、遠くへ引っ越した。だが、彼らがどこへ引っ越したのか、それを聞いた者はいない。
一方、リーナはというと、調査員だった男性と親しくなる。
そして数年後結婚した。
◆終わり◆
帰ってきた母親の第一声は怒りに満ちていた。
それはもう、リーナが動揺したほどに。
「感じ悪かったの……?」
「こんなこと言っちゃ駄目かもしれないけれど……生意気にも程があるわ!」
リーナが知っているアイスンはべつにそんなに感じが悪い男性ではなかった。若干優しすぎる感じはあったけれど。だからこそ、母親がこんな風に怒っているのを見て驚きを隠せなかった。そんなにか、と。
そして、それと同時に、悲しくもなった。
自分が見てきたアイスンは本当のアイスンではなかったのか、と。
◆
結局、歩み寄ることはできず、リーナとアイスンの婚約は破棄となった。
アイスンも彼の親も、一度も謝罪はしなかった。それどころか、近所の人にリーナ一家の悪口を言いふらしていたらしい。だが、本当の話が既に流れていたこともあって、リーナ一家が変に思われることはほとんどなかった。
その後、アイスン側に非があるとして、慰謝料の支払いが命じられる。
アイスンは慰謝料は仕方なく支払った。が、罪を罪と認めることはなかった。アイスンは、単に遊んでいただけとか何とかいって婚約破棄されるようなことはしていないと訴え続けた。しかし、調査による動かぬ証拠があったから、嘘が事実となることはなかった。
◆
数ヶ月後。
悪い評判が拡散したため、アイスンの父親が営んでいた店の売り上げは落ちて。あっという間に閉店に追い込まれた。また、ほぼ嘘の悪口を言いふらしていたことで近所の人たちから白い目で見られるようになってしまった。
ちなみに、アイスンの妹は婚約者から婚約破棄を告げられてしまった。
この件に関しては完全にとばっちりで、気の毒である。
結局、アイスン一家はその地域に居づらくなって、遠くへ引っ越した。だが、彼らがどこへ引っ越したのか、それを聞いた者はいない。
一方、リーナはというと、調査員だった男性と親しくなる。
そして数年後結婚した。
◆終わり◆
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