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遠くにいてもわかる
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「そりぁあ、オレ賢族だし」
「理由になってなくない?それ」
「常識だよ。ほら、日本人なら常識のこととかあっただろ?」
「そうだね。あったね」
賢族には特徴を知っているのは常識ってことですか。いやー賢族の上位に位置する賢王族のガイオスがそういうところを見せてくれなかったものでしてね。
「で、ユウキはなに?」
ライならオレという存在をバラしてしまっても特に問題はなさそうだけど、それじゃあオレが自由に遊べないからその気はない。
だから、今の外見でおかしくない吸血鬼と答えることにした。
それなら血族に連なるものだからね。
「オレは……」
「あー!主様いたー!」
「なにあれ!」
「テオドール⁉」
なんてタイミングが悪い。すっと変わらないよね、その悪さは。
あのときは結果的にそのタイミングの悪さに救われたと思うけどさ。
「フィーむがっ……」
今度はフィーリアがどうしたのかな?
「なんの用?」
「だから、一人で遊びに行っちゃったから拗ねちゃったの」
「一人で遊びに行くくらい、いいじゃんか」
息抜きというものが必要なのだ。それにしてもさ、フィーリア可愛すぎかよ。オレが一人で遊びに行ったら拗ねるって。
「突然窓を見つめて『新しい友人ができる……』とかつぶやいたかと思うとボクに見に行ってこいって」
女の気配ならそういうふうにテオドールを使って見に行かせるのはいいけど、ライは男だよ?それに、新しい友人をつくっちゃだめなの?
「買っといて良かった……」
甘いものは正義。可愛いは素晴らしい。孫は最高。孫にまさるものは……うん、やめておこう。
「ユウキ?」
「あ、ごめん。少し待ってて」
「う、うん」
さっさとテオドールとの話を切り上げないと。
「帰ったら説教かなー」
「どうかなぁ……とにかく、暗くなる前には帰るようにって」
「わかったよ」
いつもはそんな制限ないんだけど。フィーリアさん、一体帰ってきたらオレに何をするつもりなんでしょうか。オレ怖いなー。
「じゃ、ボクはこれで。主様、楽しんできてね!」
「はいはい……」
「それにしても姿変えてたんだね。見つけづらかったよ」
「……」
わー最後の最後に問題発言して行っちゃった。それでその発言者はちゃっちゃと魔王城に帰って行っちゃったよ。
「姿をかえてる?」
「うー……」
ライがキリッとしだしたよ。
「そうだよ」
はぁ……普通に友だちになりたかったんだけどね。
「ふーん……なんで変えてんの?」
そうくるよね。
「自由に遊びたかったから」
「姿変えないと自由に遊べないの?大変だねー」
「うん」
「なら、しょうがない。遊ぼう、ユウキ」
驚いた。元人間って言うと、正体がどうたらこうたらって秘密をちらつかせると、暴きたがる知りたがるもんだと思ってた。
当然、すべての人間がそうとは限らないということは知っていたけど、九割の人間がそうだと思ってたから。
「いいのか?」
「なに、正体バラしたいの?」
「そういうわけじゃないけど、ライは違うの?」
「知りたいけど無理に教えてくれとはね。別に知らないと仲良くなれないってわけでもないし」
「そっか、ライはいいやつだな」
九割のうち一割くらいがライみたいなやつだとオレは思っている。よかった、ライがその一割の中に入っていて。
オレがそう言うとライは明るい笑顔を見せた。
「それで、このカレーなんだけどさ……」
「匂いだけはカレーだよね」
その匂いに釣られてオレはここまで来たわけだから、匂いだけは違和感がないのだ。その分見た目はやばいことになってるけどね。
「そうなんだよ、そこがどうにかできれば……」
「味は?」
匂いに見た目。後は味だ。味はどうなっているのだろうか。
この三つがその食べ物を評価する際の要となっているはずだ。
「カレーだと思うんだけど、どう?」
「オレが味見すんの……?」
ライにカレー(仮)を入れた器を差し出された。口に入れるのには時間と勇気を要するだろう。
「当たり前だよ、オレは味見すんだから」
「美味しかった?」
「もちろん!後は見た目だけだよ」
自分は味見しないでオレだけにさせるんだったら十万ボルトを放って頭をアフロにしようと思ったんだけど、ライも味見をしたというのならいいか。
「う……」
でも、食欲が削がれる見た目なんだよ。匂いが食欲をそそるんだけど、見た目がそれ以上にそいでいくんだ。
うぅ……だけどカレーというのは興味深いからな。
五分ほど悩んだ上、オレはカレー(仮)を口に入れた。
「辛っ……!」
「え?そんな辛いかな……うわ、辛い!」
「ウォーター……んぐ……知らなかったのか?」
口から火を吹くかと思った。オレとしては中辛くらいかなと思って口に入れたわけだけど、その味は激辛だった。辛いもの好きな人でも辛いって水を飲みたくなるんじゃないかな。
水は美味しいね。血でも良かったけど。
「昨日はこんなに辛くなかったんだよ。むしろ、少し甘かったよ」
「翌日には辛くなったか……何入れたの?」
一応ここは地球からすればファンタジーだからな。ファンタジー食材というものがあるんだよね。例えば、時間が経つと味が変わる食用の草なんかね。
「理由になってなくない?それ」
「常識だよ。ほら、日本人なら常識のこととかあっただろ?」
「そうだね。あったね」
賢族には特徴を知っているのは常識ってことですか。いやー賢族の上位に位置する賢王族のガイオスがそういうところを見せてくれなかったものでしてね。
「で、ユウキはなに?」
ライならオレという存在をバラしてしまっても特に問題はなさそうだけど、それじゃあオレが自由に遊べないからその気はない。
だから、今の外見でおかしくない吸血鬼と答えることにした。
それなら血族に連なるものだからね。
「オレは……」
「あー!主様いたー!」
「なにあれ!」
「テオドール⁉」
なんてタイミングが悪い。すっと変わらないよね、その悪さは。
あのときは結果的にそのタイミングの悪さに救われたと思うけどさ。
「フィーむがっ……」
今度はフィーリアがどうしたのかな?
「なんの用?」
「だから、一人で遊びに行っちゃったから拗ねちゃったの」
「一人で遊びに行くくらい、いいじゃんか」
息抜きというものが必要なのだ。それにしてもさ、フィーリア可愛すぎかよ。オレが一人で遊びに行ったら拗ねるって。
「突然窓を見つめて『新しい友人ができる……』とかつぶやいたかと思うとボクに見に行ってこいって」
女の気配ならそういうふうにテオドールを使って見に行かせるのはいいけど、ライは男だよ?それに、新しい友人をつくっちゃだめなの?
「買っといて良かった……」
甘いものは正義。可愛いは素晴らしい。孫は最高。孫にまさるものは……うん、やめておこう。
「ユウキ?」
「あ、ごめん。少し待ってて」
「う、うん」
さっさとテオドールとの話を切り上げないと。
「帰ったら説教かなー」
「どうかなぁ……とにかく、暗くなる前には帰るようにって」
「わかったよ」
いつもはそんな制限ないんだけど。フィーリアさん、一体帰ってきたらオレに何をするつもりなんでしょうか。オレ怖いなー。
「じゃ、ボクはこれで。主様、楽しんできてね!」
「はいはい……」
「それにしても姿変えてたんだね。見つけづらかったよ」
「……」
わー最後の最後に問題発言して行っちゃった。それでその発言者はちゃっちゃと魔王城に帰って行っちゃったよ。
「姿をかえてる?」
「うー……」
ライがキリッとしだしたよ。
「そうだよ」
はぁ……普通に友だちになりたかったんだけどね。
「ふーん……なんで変えてんの?」
そうくるよね。
「自由に遊びたかったから」
「姿変えないと自由に遊べないの?大変だねー」
「うん」
「なら、しょうがない。遊ぼう、ユウキ」
驚いた。元人間って言うと、正体がどうたらこうたらって秘密をちらつかせると、暴きたがる知りたがるもんだと思ってた。
当然、すべての人間がそうとは限らないということは知っていたけど、九割の人間がそうだと思ってたから。
「いいのか?」
「なに、正体バラしたいの?」
「そういうわけじゃないけど、ライは違うの?」
「知りたいけど無理に教えてくれとはね。別に知らないと仲良くなれないってわけでもないし」
「そっか、ライはいいやつだな」
九割のうち一割くらいがライみたいなやつだとオレは思っている。よかった、ライがその一割の中に入っていて。
オレがそう言うとライは明るい笑顔を見せた。
「それで、このカレーなんだけどさ……」
「匂いだけはカレーだよね」
その匂いに釣られてオレはここまで来たわけだから、匂いだけは違和感がないのだ。その分見た目はやばいことになってるけどね。
「そうなんだよ、そこがどうにかできれば……」
「味は?」
匂いに見た目。後は味だ。味はどうなっているのだろうか。
この三つがその食べ物を評価する際の要となっているはずだ。
「カレーだと思うんだけど、どう?」
「オレが味見すんの……?」
ライにカレー(仮)を入れた器を差し出された。口に入れるのには時間と勇気を要するだろう。
「当たり前だよ、オレは味見すんだから」
「美味しかった?」
「もちろん!後は見た目だけだよ」
自分は味見しないでオレだけにさせるんだったら十万ボルトを放って頭をアフロにしようと思ったんだけど、ライも味見をしたというのならいいか。
「う……」
でも、食欲が削がれる見た目なんだよ。匂いが食欲をそそるんだけど、見た目がそれ以上にそいでいくんだ。
うぅ……だけどカレーというのは興味深いからな。
五分ほど悩んだ上、オレはカレー(仮)を口に入れた。
「辛っ……!」
「え?そんな辛いかな……うわ、辛い!」
「ウォーター……んぐ……知らなかったのか?」
口から火を吹くかと思った。オレとしては中辛くらいかなと思って口に入れたわけだけど、その味は激辛だった。辛いもの好きな人でも辛いって水を飲みたくなるんじゃないかな。
水は美味しいね。血でも良かったけど。
「昨日はこんなに辛くなかったんだよ。むしろ、少し甘かったよ」
「翌日には辛くなったか……何入れたの?」
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