17 / 91
リルの思い
しおりを挟む
私はリル=ティス=ラドクリフ。魔王をやっているクラディア=ティス=ヒューズがお父様で、その前まで魔王をやっていたミーティア=ティス=ラドクリフがお母様。ミーティアお母様のお母様のフィーリア=ティス=ラドクリフお祖母様。
それと、お父様の親友でお母様のお父様で、お祖母様の愛する人だった私のお祖父様。アストール=ティス=ラドクリフ。
私の主要な家族はこれくらい。
お祖父様は私が生まれる前に死んでしまったからよくわからないけど、それ以外のお父様、お母様、お祖母様は私のことを大切にしてくれて、愛してくれていた。
それは今も変わらないことなんだけど……。
今私はレステリア王国という人族の国にいる。なんでって聞かれても、私が聞きたいくらいよ。
お城で一人で遊んでいて、気づいたらこの国にいたんだもの。一度意識が落ちたっぽいから、何かがあったんだとは思うけどね。
そこで、マオ兄の友達とマオ兄と出会ったの。
人族の言語がわからなくて不安になっている私に、初めて魔族の言語で話しかけてきてくれたのがマオ兄。友達の人は、身振り手振りで頑張って意思疎通をしようとしていたから、人族だけどついていったんだ。
あそこでマオ兄がいてよかった。
マオ兄は、私の名前を聞いていて驚いていた。なんでかしらね。
マオ兄は魔族の言語を話せると言っても、人族なのに。でも、その後私のステータスを偽装してくれたからな……。不思議な人ね。
知らない人のはずなのに、どこか懐かしくて……。
マオ兄は、私をマオ兄が暮らしている部屋まで連れてきて、現在進行形で部屋においてくれている。
なんでかなって思っていたけど、それがさっき分かったの。
マオ兄は私のお祖父様だったの。テオドールさんの翻訳によると、一度死んでから、地球ってところに生まれ変わったんだけど記憶を持っていたみたいね。
マオ兄が不思議と安心できる理由はわかったけど……マオ兄が家族で嬉しくないわけなんじゃないんだけど……。
なんとなくあそこにいづらくてね……。テオドールさんについてきてもらって部屋から出てきちゃった。
『リル姫様、大丈夫?』
『うん、だだ……驚いちゃったから……』
テオドールさんは私のお祖父様と同じ時期を生きていた魔族。今はお祖……マオ兄に召喚されているって。
お祖父様じゃなくてマオ兄でいいわ……。マオ兄も話していたもの。お祖父様とマオ兄は別になんだって。
それにしても……お祖父様なのかぁ……。お祖父様のマオ兄ならどうにかできるのかな。
怖い顔をしているクラディアお父様を。どうにかして救うことはできないのかな……。
『クラディアさんがどうかしたの?』
『ミーティアお母様が勇者に殺されてから……怖い顔ばかり……』
『ふーん……』
テオドールさんは興味なさそうな顔をしているわ。私の話なんか聞かされても面白くないものね。
私はただ、もやもやした気持ちを吐き出したかっただけ。それにちょうど良かったのがテオドールさんだっただけなんだもの。
そろそろ落ち着いてきたし、部屋に戻ろう。テオドールさんがいるとはいえ、王宮で人族に会ってしまっては、切り抜けるのが大変になるかも……。
マオ兄だって、私が長く部屋を開けてたら不安になるもの。私がそうだったように。
『テオドールさん、部屋に戻ろう』
『了解、リル姫様。あと、テオドールって呼び捨てでよろしく』
『分かったよ』
えっと……部屋はこっち、あれ?おかしいな……道間違えちゃった?
でも……来た道を戻ったはずだよ。同じ回数曲がって……同じ方向に曲がって……。
どうしよう……!人族に会ってしまったら……!
そう思っていたからなのかな。人族が目の前からやって来て、私とテオドールに気づいたんだ。
「ん?子ども?こんな夜中に……」
『……』
来たのはマオ兄と年齢はそう変わらないと思われる男の子。人族にしては、顔が整っていて、完璧ですっていうオーラを出しているの。
とにかく……私は一言も喋らないようにしないと。そうじゃないと……。
「君、名前は?部屋に送るよ」
何を言っているの……?私に害意を向けていないことだけはわかるけど……。言っていることはわからないし、答えることもできない。
頼みの綱はテオドールだけ。マオ兄のときみたいに変なこと言わなければいいな……。
『……っ』
「この子、人見知りでさ。大丈夫、ボクが送り届けるから。キミも早く休まないとだろ?」
「そうか?しっかりと送り届けてくれよ?あ、そうだ。オレは勇者の今川輝。何かあったら、オレのところに来るといい」
この人は私を人族の子どもだと思っているから……こんなにも優しいのね。
「そうするよ、じゃあ。いこうか」
『……?』
テオドールは男の子と少しだけ会話をしてから、私の手をちょっと引いた。もう行くってことかな。
私は頷いてテオドールについていく。テオドールについていくと、無事にマオ兄の部屋につくことができた。
テオドールは部屋のいち覚えていたんだ……。当然か。でも、私に任せて……。
「主様、帰ったよ」
テオドールに手を引かれて部屋の中へと私は入った。すると、マオ兄の友達はもういなくて、マオ兄が一人だけだった。
『リル、テオドール、おかえり。落ち着いた?』
……マオ兄、私がいきなりのことで驚いていたことをわかってたんだ。すごいなぁ……。
『うん!ただいま……マオ兄』
『おかえり……』
『じゃあ、ボクはこれで……』
急に焦って出ていこうとするなんてテオドールはどうしたのかしら?
マオ兄もテオドールをニッコリと見ているし……。
『テオドール、そこに座って』
『いやぁ……でも……』
『座れ』
優しく言っていたのが、命令口調になった。よくわからないけれど……テオドール、ご愁傷様?
それと、お父様の親友でお母様のお父様で、お祖母様の愛する人だった私のお祖父様。アストール=ティス=ラドクリフ。
私の主要な家族はこれくらい。
お祖父様は私が生まれる前に死んでしまったからよくわからないけど、それ以外のお父様、お母様、お祖母様は私のことを大切にしてくれて、愛してくれていた。
それは今も変わらないことなんだけど……。
今私はレステリア王国という人族の国にいる。なんでって聞かれても、私が聞きたいくらいよ。
お城で一人で遊んでいて、気づいたらこの国にいたんだもの。一度意識が落ちたっぽいから、何かがあったんだとは思うけどね。
そこで、マオ兄の友達とマオ兄と出会ったの。
人族の言語がわからなくて不安になっている私に、初めて魔族の言語で話しかけてきてくれたのがマオ兄。友達の人は、身振り手振りで頑張って意思疎通をしようとしていたから、人族だけどついていったんだ。
あそこでマオ兄がいてよかった。
マオ兄は、私の名前を聞いていて驚いていた。なんでかしらね。
マオ兄は魔族の言語を話せると言っても、人族なのに。でも、その後私のステータスを偽装してくれたからな……。不思議な人ね。
知らない人のはずなのに、どこか懐かしくて……。
マオ兄は、私をマオ兄が暮らしている部屋まで連れてきて、現在進行形で部屋においてくれている。
なんでかなって思っていたけど、それがさっき分かったの。
マオ兄は私のお祖父様だったの。テオドールさんの翻訳によると、一度死んでから、地球ってところに生まれ変わったんだけど記憶を持っていたみたいね。
マオ兄が不思議と安心できる理由はわかったけど……マオ兄が家族で嬉しくないわけなんじゃないんだけど……。
なんとなくあそこにいづらくてね……。テオドールさんについてきてもらって部屋から出てきちゃった。
『リル姫様、大丈夫?』
『うん、だだ……驚いちゃったから……』
テオドールさんは私のお祖父様と同じ時期を生きていた魔族。今はお祖……マオ兄に召喚されているって。
お祖父様じゃなくてマオ兄でいいわ……。マオ兄も話していたもの。お祖父様とマオ兄は別になんだって。
それにしても……お祖父様なのかぁ……。お祖父様のマオ兄ならどうにかできるのかな。
怖い顔をしているクラディアお父様を。どうにかして救うことはできないのかな……。
『クラディアさんがどうかしたの?』
『ミーティアお母様が勇者に殺されてから……怖い顔ばかり……』
『ふーん……』
テオドールさんは興味なさそうな顔をしているわ。私の話なんか聞かされても面白くないものね。
私はただ、もやもやした気持ちを吐き出したかっただけ。それにちょうど良かったのがテオドールさんだっただけなんだもの。
そろそろ落ち着いてきたし、部屋に戻ろう。テオドールさんがいるとはいえ、王宮で人族に会ってしまっては、切り抜けるのが大変になるかも……。
マオ兄だって、私が長く部屋を開けてたら不安になるもの。私がそうだったように。
『テオドールさん、部屋に戻ろう』
『了解、リル姫様。あと、テオドールって呼び捨てでよろしく』
『分かったよ』
えっと……部屋はこっち、あれ?おかしいな……道間違えちゃった?
でも……来た道を戻ったはずだよ。同じ回数曲がって……同じ方向に曲がって……。
どうしよう……!人族に会ってしまったら……!
そう思っていたからなのかな。人族が目の前からやって来て、私とテオドールに気づいたんだ。
「ん?子ども?こんな夜中に……」
『……』
来たのはマオ兄と年齢はそう変わらないと思われる男の子。人族にしては、顔が整っていて、完璧ですっていうオーラを出しているの。
とにかく……私は一言も喋らないようにしないと。そうじゃないと……。
「君、名前は?部屋に送るよ」
何を言っているの……?私に害意を向けていないことだけはわかるけど……。言っていることはわからないし、答えることもできない。
頼みの綱はテオドールだけ。マオ兄のときみたいに変なこと言わなければいいな……。
『……っ』
「この子、人見知りでさ。大丈夫、ボクが送り届けるから。キミも早く休まないとだろ?」
「そうか?しっかりと送り届けてくれよ?あ、そうだ。オレは勇者の今川輝。何かあったら、オレのところに来るといい」
この人は私を人族の子どもだと思っているから……こんなにも優しいのね。
「そうするよ、じゃあ。いこうか」
『……?』
テオドールは男の子と少しだけ会話をしてから、私の手をちょっと引いた。もう行くってことかな。
私は頷いてテオドールについていく。テオドールについていくと、無事にマオ兄の部屋につくことができた。
テオドールは部屋のいち覚えていたんだ……。当然か。でも、私に任せて……。
「主様、帰ったよ」
テオドールに手を引かれて部屋の中へと私は入った。すると、マオ兄の友達はもういなくて、マオ兄が一人だけだった。
『リル、テオドール、おかえり。落ち着いた?』
……マオ兄、私がいきなりのことで驚いていたことをわかってたんだ。すごいなぁ……。
『うん!ただいま……マオ兄』
『おかえり……』
『じゃあ、ボクはこれで……』
急に焦って出ていこうとするなんてテオドールはどうしたのかしら?
マオ兄もテオドールをニッコリと見ているし……。
『テオドール、そこに座って』
『いやぁ……でも……』
『座れ』
優しく言っていたのが、命令口調になった。よくわからないけれど……テオドール、ご愁傷様?
0
お気に入りに追加
1,808
あなたにおすすめの小説
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜
I.G
ファンタジー
神様と名乗るおじいさんに転生させられること3521回。
レベル、ステータス、その他もろもろ
最強の力を身につけてきた服部隼人いう名の転生者がいた。
彼の役目は異世界の危機を救うこと。
異世界の危機を救っては、また別の異世界へと転生を繰り返す日々を送っていた。
彼はそんな人生で何よりも
人との別れの連続が辛かった。
だから彼は誰とも仲良くならないように、目立たない回復職で、ほそぼそと異世界を救おうと決意する。
しかし、彼は自分の強さを強すぎる
が故に、隠しきることができない。
そしてまた、この異世界でも、
服部隼人の強さが人々にばれていく
のだった。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる