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妾じゃなくても……再び?
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しおりを挟むそして全てが鞄に収まるとアランは改めて鞄をマジマジと見つめていた。
「うわぁ、本当にこの鞄は便利ですね。もしかして無限に入るのかな……」
「外面以外はリアちゃんのお手製だからねぇ……」
そんな魔力量も何もかもが上回っている彼女が愚かな妹の呪いなんかに引っ掛かるのか些か不自然と言うか理解できなかったアランは「それにしても魔力の高いリアちゃんがランクの低い相手からの呪いに欠片でも引っ掛かります?」と質問をしたところ、ダンジョンで鬼になったフローライトはため息をついた。
「最終的には俺が色々と上書きしてロージアに送り返したが、アレは結構な妬み嫉み、とにかく負のオーラ全開って感じの思いを込められてたからなぁ……。手紙の隙間から少し漏れだしたものに仄かに感染したんだろう……とは思う。ーーんだけど、どうしたら良い? 直すのは簡単なんだ。でも今のリアちゃんが物凄く可愛くて可愛くて……」
「あー、いつものリアちゃんを知らないので何とも言えないですが、確かに可愛いですよね。子供っぽくて」
「だよね! いつものリアちゃんは我儘はあまり言わずに冷静に書類を眺めて領主として民の為に一番の事を考えつつワーカーホリック気味? 時々ストレス発散に領内のダンジョンにこもって肉集め?」
そんな話をしていると何となく今の方が良いような気がしてきたが領主として我儘や子供っぽさがあるのはいかがなものかとまた悩み始めた2人であった。
「自分を殺して仕事をするのは大人だし、当たり前な気もするけど……。でもリアちゃんは本来なら成人してるからなぁ……。でも体年齢だと甘えても全然良いくらいの子供だし……。何よりも俺が見ることができなかったリアちゃんが見られるのは嬉しい誤算と言うか……。ロージアが役に立つ日が来るとは思わなかったと言うか……」
簡単に思えて当事者としては複雑すぎるらしく、どうにもできない状況らしい。
フローライトは離ればなれになっている期間が長すぎたのか見れなかった姿があるのだから嬉しいだろう。でもそれが仕事に影響があるのなら直さないといけない。だが直せばこんなに素直な子供らしさは消えてしまう。袋小路に入ってしまったらしい。
「ふふ~ん♪」
クリスタリアは現在、昨日の魔物部屋で牛を一体だけ隔離しておけば無限にそれが出るのに気が付いたのでアランとルノアールにお肉狩りをさせ、フローライトの膝に座りながら海でごっそりもらった岩盤の仕訳をしていた。
「…………父上~……。なんか、湖と同じのが出る~……」
「うーん、本当だね~……。と言うとこの地は昔は海だったのかな……。すごいね~……。リアちゃん、お手柄発見だね! 凄いね~っ! 偉いね~っ!」
泣き出さないように褒めて褒めて褒めまくる作戦に気を良くしたクリスタリアは笑顔で分解を続けていた。
「そうだ、今日はね~……。エメラール領のリアちゃんとルノーが平らにした道に石を敷くらしいよ? 楽しみだね~っ!」
それからは増えた玄武岩を加工したり、魔物を倒したり、お昼を食べたりと充実した時間を過ごしていた。
「お肉貯まりましたね……」
「おぉ~……。エメラール領の来るかもしれない食糧難回避のための備蓄成功じゃな!」
「あぁ、それは確かに……。でも普及させないといけないですねぇ」
今は休憩でお茶を飲んで魔物が増えるのを待っていた。
「そうじゃ! アラン様は大好きな兄上じゃし、オークとワイバーンをあげるのじゃ!」
「わぁ、ありがとう。でも貰って良いの?」
「アラン、この鞄の肉を貰ってやって? 時間停止させてるけどアメジールに腐るほどあるんだ……。きっと役に立つはずだよ? うん、美味しいし……」
その言葉にアランは何かを察知して何も言わずに鞄の中へしまうことにした。数にして99個が73。少しどころではなくかなり引いた感じで鞄の中を見つめていた。
「あと、アラン様。塩、いるかの? 海でもらった岩盤を解体したときに塩が結構大量に手にいれたのじゃけど……」
「え、そんな貴重なものを貰ってよろしいのですか? 普通なら海に面したところ、もしくはアメジールの様に岩塩のあるところから買うのが常識ですよ?」
そう言うとルノアールが素直に2人に謝った。
「ごめん……。俺とクリスで海から塩を分離できるか実験して、それで出来たから今度はクリスと俺で塩が同じものなのかとかしてたら気が付いたら海から塩を大量に精製してて、なおかつ岩盤を解体するときにも出たのを合わせるとかなりな量が……ね……」
笑ってごまかすとアランは快く受け取った。強いて言えば塩がなくなったらクリスタリアと海に行けば良いじゃない! 輸入は止めよう! となったらしい。
そして面倒くさがりなクリスタリアはクリスタリアで兄上が喜ぶなら妾、頑張る! と、助ける約束をするくらいにアランを兄としてなついていた。
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