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フラワーフェスティバル
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しおりを挟む「仕方ないかぁ……。リアちゃんはまだまだ子供だもんねぇ……。大人ならなにも言わなくても飲めるはずだものね」
「うん、そうだよね。薬は子供にはちょっと苦いもんね……。うんうん、わかる。わかるよ、クリス。苦くてお子様にはつらい飲み物だよね」
なん、だと? 聞き捨てならないな。妾、大人じゃ……けど、苦いのは苦手なだけじゃもん……。
「まぁ、リア様は苦いのと辛いのと渋いのが苦手なお子様ですからね。仕方ありませんね。リア様、ちゃんと飲んだらご褒美をあげますよ~?」
「ご褒美?」
「飲み終わったら教えてあげますね~?」
散々お子様お子様言われ、挙げ句の果てには褒美まで用意されていた。
仕方ない。飲むか……。いや、絶対に褒美のためとかじゃないから!
妾は大人じゃから飲むだけだし!
目の前の器に注がれている褐色の液体をまじまじと見つめていた。この薬草感たっぷりの禍々しいほどの気味の悪い色味の液体。
本能が止めろと言っている。
止めろ、飲んだら死ぬぞ! 薬だと言うのにそんな警鐘すら聞こえる。
「はぁ、やっぱりお子様と言うか幼児には無理かな……」
「妾、幼児じゃない!」
「なら飲めるよね? お姉さんになったんだもんね? リアちゃんは大人だもんね。うん、じゃあ飲もうね?」
……鬼じゃ。
しかも部屋にいる大人は全員「そうだね~」とウンウン頷いている。
なぜじゃろか。こう言う時だけ妾の大人発言を認めてくれる気がするのは。
意を決して一口飲むとおっそろしく苦かった。
「ふえっ」
「飲もうねぇ、クリス。大人なんでしょ?」
いつもは優しいアールも鬼に見えるのは仕方ないと思う。
そして飲み干すと全員から誉められた。既に大人の扱いではないと思われる。
「よく飲めましたね。ご褒美ですよ?」
「……カボチャ!」
ご褒美はカボチャのパイのペースト部分だった。
「わーい。ん~! 美味しい!!」
口の中の苦味を中和するように広がるカボチャの甘味に機嫌を良くした妾は心地よい眠りについた。
「……カボチャで喜ぶ姿は大人じゃないと思うんだ」
「フローライト。ほら、クリスだし……。可愛いから良いじゃない」
「可愛いは正義ですよ?」
そんな男三人を見つめていたメイドは心の中で「溺愛してるなぁ」としみじみ思ったとか……。
部屋に誰もいないわけではないが、寝室の向こうではメイドが待機している。
抜け出さないようになのか、看病なのか……。定期的にタオルを取り替えにやって来る。
父上は城での仕事のために帰り、アールは学園に。執事は領主の代理の代理で席をはずしている。
妾はよく寝たせいか眠気はなく、ベッドで暇をもて余していた。
なのでベッドの中で作業をする。なに、見つからないようにベッドの下にバッグを隠しているのだ。
マジックバッグから石を数個取りだし、変装のための魔法を石へ刻み込む。
「………………」
パリンっと割れた。あらら、勿体ない。
「…………じゃ、コレ……」
パリンっ、再び。うーむ、石を鑑定して考えるかの……。
石を全種類取り出して並べると体をうつ伏せにしてタオルを頭に乗せながら鑑定をする。
「……うーむ……」
…………は! なんじゃコレ! 妾、石のコレクターみたいではないか!!
脳裏に石を愛でるコレクターを思い浮かべて何とも悲しい気持ちになった。
お? 父上と同じ名前の石みたいじゃな……。
へぇ、直感とインスピレーションの石とな……。むっ? 色で違うのか……。
鑑定スキル(劣化版)でわかることは少ないが、わからないよりは全然良いので愛用する。
手持ちのパワーストーンで唯一。変化を促す石があった。
「エレスチャルクオーツ……。水晶の一種と言う事は石英か……。お? 何と、別名が鰐魚水晶。または骸骨水晶……。なんか、格好いいのじゃ……」
よし、コレに決めた! と、早速……なんて思ったら邪魔された。
寝室の向こう側でメイドと会話をする声が聞こえた。
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