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第8章 戻ってきた日常……?

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「ねぇ、おじさん。このブローチって花だけじゃなくてどんなモチーフでも作れるものなの?」
「ん? 花以外? うーん、そうだなぁ。完成品の予想図と言うかデザイン画があれば複雑でなければ作れるとは思うけどねぇ……。ただ一つ一つが手作りだからそれなりに時間はかかるかねぇ」

 何て遠回しにできると言うものだから兄が「例えば店主の思い浮かぶイメージで貴族のご婦人や令嬢の横顔なんてものはできる?」と言うと少し考えてから「それなら出来ると思う」みたいなとても前向きなお言葉を聞いたので俺と兄は見つめあってからコクコクと頷くと「ならその横顔のやつを何パターンか欲しい」と兄が言うなりパパが商売というか特産品の匂いを嗅ぎとったのか後日伺うからと前金を払っていた。
 残りは受け取ったときに手渡すと契約と言うか約束を取り付けましてね──あれ? なんだろう。パパに良いとこを取られたような気がします。
 なんかパパが商人っぽい格好をしてるせいもあってか、がっつくような行動すると買い付けに来た商人にしか見えない。
 街散策へと戻り、先程のように繰り返す俺たちの行動をパパ達は見逃すわけもなく何度も似たような事をした。
 俺も兄も無意識の行動だったので我に返ったらあれ? みたいな事は多々あったが気にしない。
 俺は養子になったからには特産品を増やしたいのだ!
 今は昼御飯のために入った一番大きな酒場に座ったときだった。

「なぁ、あの噂聞いたか?」
「あぁ、冬の内に東の大国。魔神国に戦争ぶっかけるってやつだろ? この国、どうなって行くんだろうな……」

 と、何やら物騒な話を耳にしてしまった。
 東の大国の通称・魔神国は魔神が住む魔物や魔族の国……何てゲームっぽい要素は全くなく、歴とした人間が治めていて剣というよりも魔法に秀でた神聖国家らしいのよ。
 ただ略されて魔神国と呼ばれてるだけなのだ。
 ルールと秩序。国全体が厳正な教会みたいな感じらしくて国のトップはもちろん神様。
 だけど国を動かすのはそのトップである神様ではなくて元老院と言う専門家を集めた議会らしい。ちょっと現代っぽい。
 老と付くがもちろんお爺ちゃん達の集まりではないし、老人ホームでもない。
 パパがゼツさんになにかを指示したらしくて少し席を立ってから彼はすぐに戻ってきた。
 食事を終え、来た道を戻りつつもそこでも掘り出し物を見つけた俺と兄にパパはがっついた。
 日も傾き始めたし、そろそろ俺と兄の初めての視察を終わらせ、時間指定で待っていたお迎えの馬車に乗り込むと俺は口を開いた。
 まぁ、悶々とするからね!




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