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第3章 事前の準備は必須です

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「兄ぃ~……。パパ達大丈夫かなぁ……」
「大丈夫じゃね? るー? お前が元気ならちょっと兄ちゃんと少し話をしようか……」

 お、お、怒ってらっしゃる~っ!

 このまま部屋にたどり着かなきゃいいのに……。
 今だけでいいから兄の歩く速度よ、亀になれ!
 時速3……いや、1メートルを希望!

 はい、無理~っ! はい、無理~っ!

 俺の気持ちとは裏腹に部屋へ到着した。
 直ぐ様部屋へ入るとベッドに下ろされ、すぐに周囲を土の壁で覆われ、魔法でライトをつけられた。

「るーぅ? この際だから言っとくな?」
「ふえっ!?」

 ぎゅっと兄に抱き締められた。
 なんか、こうやって抱き締められるのは初めてかも?

「るー。お前のことが好きだよ。兄ではなく、家族でもなく、1人の人としてお前のことが好きだ。だから、コレからは覚悟しとけ? ……今は返事をしなくてもいいから……な?」
「あ、兄?」
「俺はお前のことが好きだって言ったの。お前を抱きたいし、全部俺のものにしたいくらい好きだし、愛してるって意味で言ったの。生憎、体だけは他人だから、覚悟しとけって前以て言っとくだけ」

 離れた兄の顔は見たことのない真剣な顔をしていた。

「あ、あの、その……俺……」

 処女じゃないんですぅ~とは言えない。何て言うべきなの?
 え、言わなくていいの?
 いやでも兄に隠し事はできないーー。

「兄さんとのことは知ってる。知ってるから無理して言わなくていいよ。選べないなら選べないで俺は構わない。でも今は無理して選ばなくていい。何年も我慢してたし、待つのは慣れてる……」
「兄、ごめんなさい。俺、俺、気が付かなくて……ゴメッーー」
「るー」

 名前を呼ばれながら兄の頭を撫でるその手が下に下りて頬に触れて、俺は泣きそうになりながら顔を上げて兄を見た。
 兄は少し悲しそうな、寂しそうな、泣きそうな顔をしていた。

「あ、…んっ。」

 兄と呼ぼうとしたその瞬間に唇が塞がれて、びっくりして何度も瞬きをしてしまう。
 思わず硬直していると、兄は熱い息を吐いて何度も角度を変えて口付けてきた。

「え、……んっ、あにぃ……?」
「ん? るー、なに?」

 流石に戸惑って兄を呼べば、兄はうっそりと目を開けてこちらを見つめてくる。
 間近で見たその目は明らかに興奮しているような目で、でも頭は冷静なのか言葉には仄かに理性が感じられた。

 そっか、兄はキスする時こんな風になるんだーー。

 そんなことを考えていれば、兄は再び口付けを再開し始めた。
 ついには舌まで入り込んできて更にびっくりした。
 遠慮なく絡めてくる舌は悔しいけどやっぱり気持ちがいい……。

「んっ……兄とチューしちゃった……」

 照れたように言うとぎゅっと抱き締められた。




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