クソゲーの異世界で俺、どうしたらいいんですか？

第１章 気がつけば異世界

９

　ちなみに序盤、ハイリスクではあるけれど抜け道は一応はあった。うん、確かにあったことはあったけれど、それは果たしてゲームとして許されるのかは全くの別物である。
　なんと言うかハイリスクと言わざるを得ないが、主人公がバーサーカーになるものが用意されている。この大陸にいくつか点在している呪いが掛かったような武器を手にすればモンスターを序盤でもなんとか・・・・倒せるんだよね……。
　なんとかって言うのが大事なポイント。如何せん、モンスターが本当に強すぎて第四騎士団の人達のサポートがないと主人公はバーサーカーだとしてもパンチされただけで簡単に死んじゃって呆気なくゲームオーバー。そんな武器は王都ではたしか武器屋ではなく、雑貨屋にインテリア商品として売られている。女なら短剣。男なら両手剣のタイプが売られていたかな……。


　ひ弱な現代っ子に両手剣（笑）。
　包丁を持ったことあるのかすら怪しい女の子に短剣（笑）。


　ちなみに呪いっぽい武器の特徴は武器が選んだ人だけが鞘から抜けるという俗にいうソウル──いや、スピリットソードと言うのだろうか。故に誰も抜けないからインテリア雑貨なのだろう。
　スピリットソード。響きはなんか格好いい。いや、抜く抜けないと言うソレだけなら本当に格好良いのだけどね……。
　ハイリスクと言うのにはちゃんと理由があって、モンスターが全滅しない限りは主人公はずっと戦い続ける。即ち気絶や麻痺、死なない限りは勝手に戦い続ける。そんなところがバーサーカー。
　鞘から抜いて武器として手に持つだけで主人公のステータスのパラメーターが上昇して例えレベル１でもそこら辺の騎士並みに戦えちゃう。でもオートの戦闘モードオンリー。そんなところがバーサーカー。
　そして武器と体が一体となるために棄てようが盗まれようが、何をしようが寝て起きたら武器が枕元に自動的に舞い戻っているのである。そんなところがスピリットソード。

　そんなのただの恐怖でしかない！　ホラー……。ホラーなのっ？

　なので本気で剣とサヨナラをしたい時は王都の教会へと自らの足で行き、力の強い上の人。教皇だか知らないけどそんな感じの人に巨額の金を払って呪いを解除してもらう。ただそれだけなのに破産をしてしまうんだよ。

　何て言うか本当にぼったくりだよね！　歌舞伎町のどこかの店に匹敵するよね!!

　そっちが勝手にこの世界に喚び出したのにも関わらず勇者（男主人公）や聖女（女主人公）から大金を容赦なく奪うのである。
　そなたを呼び出したのは王族であって我々ではない。よって我らには関係ない。勇者だか聖女だか知らないが勘違いをするな──とか抜かしやがって、このゲスがっ！　ただの守銭奴教皇なだけだろっ!?　──て、思ってしまうのは仕方ない。
　そんな中でもプレイヤーにとって少しの救い──なのかはわからないが第四騎士団の数名（主に幹部）と魔物討伐や稽古などの合間の会話などで好感度をあげると街中デートとか出来たりイベントが起きるという乙女ゲームなの？　というよくわからんシステムがある。
　もちろん男主人公であっても現在俺の目の前にいるこのイケボでイケメンな団長と男同士でもデートとか出来るのだ。しかもボーイズラブ要素もなぜかある。誰得なのかと本気で考えさせられるゲームなのだ。

　あ、そう言えば俺は男主人公選んだはずなのに好感度を上げすぎたのか、この人にキスされるスチルを大画面で見せられたわ……。　あぁ、だからか！　キャラメイクで男なのに女の髪型も選べたのは！


　──開発チーム、アホなの？


　でも……ま、俺はいた場所から考えても立ち位置的に、その男主人公じゃないただのモブだろうから別にいっかなぁ～……。それに特にLGBTに偏見なんて元から無いし、偏見で固められた他人になんと言われようが当事者は好きにしたらいいと思う。初恋もまだな俺が言うことじゃないのは解ってるけどね。


　あ、でもこれだけは言わせて！　姉と兄以上に好きだって人に出会ってないだけだからっ！


　だから当事者は頑張れ！　人生一度きり……あれ？　俺はもしかして二度目の人生じゃないか？