上 下
22 / 35

第22話 孤独な皇后と小さな友人

しおりを挟む
レジーナは何事かと怪訝な表情をしたが、黙ってロザリンドの後を着いて行った。向かった先は見晴らしの良い小部屋で、広くはないが、庭園に面した大きな窓からはきれいな花が咲き乱れているのが見える。さながら春の庭園といった様相だ。

「本当に不思議ね。季節は冬なのにこの窓から見える庭園は常春そのもの。獣人の持つ異能は私たち人間にはうかがい知ることはできないわ」

ロザリンドが窓に目を向け感心したように呟く。そして、レジーナにも座るようにと促した。

「一体私だけ呼び出しておいてどういうおつもりですか? 特別な話とは何ですか?」

警戒心を隠そうとしないレジーナに、ロザリンドは柔らかく微笑んで見せた。

「これじゃ怪しまれるのも無理はないわよね。でも他意はないから安心してちょうだい。二つ三つ聞きたいことがあるだけだから」

そう言って、ロザリンドは新しく出されたお茶を口に含んだ。先ほどお茶会で散々飲食した後なのでもう口に入れたくなかったが、余裕のあるところを見せつけたかったのだ。

「さっきのお茶会、席順にも気を配ったんだけど、何か気付いたことある?」

「強硬派と融和派の人たちが見事にばらけていました」

「そう! よく気付いたわね。どの家がどちらに属するか調べさせてもらったの。そしたら、あなたの家は強硬派に含まれるらしいわね」

「私は政治のことは無頓着ですが、世間からはそう見られるようです」

レジーナは、出されたお茶に目をくれることもなく、抑揚のない声で答えた。

「強硬派が皇帝陛下の再婚に難色を示していると言う話でしたら私は無関係です。政治のことには興味ないので」

「そんなことはどうでもいいの。ただ、なぜ強硬派なのにカッサンドラ様とは親密にしていたかそれが気になるの。カッサンドラ様も人間でしょう? 前の結婚の時は反対しなかったの?」

カッサンドラの名前が出た時、レジーナは目を大きく開いた。このタイミングでその名前が出て来るとは思いもしなかったに違いない。

「そっ、それは……、そんなことを聞いて何になるんです?」

「カッサンドラ様がどんな方だったか知りたいの。周りからは、張り合っても意味ないからやめとけと散々言われたわ。でも、知りたい気持ちを無理やり抑えつけているのは、却って不自然だし不健康でしょ? 陛下は、私に気遣って下さっているのか何も言わない。それはあの方の優しさだと知っている。だから、彼に尋ねるのはもう少し時間が経ってからにしたい……」

レジーナは驚きをもってロザリンドの顔をまじまじと見た。ロザリンドが、自分の心情をここまで打ち明けるとは予想してなかったらしい。なぜ親しくもない自分に話すのか全く理解できないようだ。

「私たちの結婚がなぜ延期になっているかと言うと、カルランスから連れて来た侍女が機密文書を持って国外退去になったかららしいの。でも、単独犯行は無理なのでタルホディアに内通者がいたのではと言われている。それが強硬派の誰かと言う話。あなたのお父様ならご存じなのでは?」

レジーナはさらにぎくっとして椅子の上で身じろぎを正した。

「さっきから何なんです、一体……?」

「それを見越して、陛下はいたずらに結婚式を延期せずさっさと敢行しようとお考えになっている。でも私は強硬派の方にもなるべく歩み寄りたい。だって彼らの気持ちも分かるもの。このまま混血政策を進めたら、固有の特徴が失われるんじゃないかという不安はもっともだと思う。この庭園を春たらしめているのもその一つよね? それを分かった上で共存を進めていきたい。なぜこんな話をあなたにしたか分かる? カッサンドラ様を慕うあなたなら、私のことも理解してくれるんじゃないかと期待したの。カッサンドラ様について語る時のあなたは真剣そのものだったもの。本気度がこちらにも伝わって来たわ」

ロザリンドがここまで語ると、しばしの沈黙が二人を襲った。この静けさに耐えられなくなるのはどちらが先だろう。ロザリンドがそう考えていると、それまで黙っていたレジーナの目から涙がぽろぽろとあふれてきた。

「私はあなたにそんなことを言ってもらう資格はありません……あなたがいじめられても黙って見過ごしていたんですよ? これじゃカッサンドラ様に怒られてしまいます。彼女のような立派な女性になるのが目標だったのに!」

だんだん泣き声が大きくなり、ひっくひっくと嗚咽するようになったレジーナの背中を、ロザリンドは優しくなでた。そして、後ろから囁くように声をかけた。

「若いうちから大成している人なんていないわ。みんな失敗を繰り返し大人になるの。カッサンドラ様だってそうだったかもしれない。あなたみたいなまっすぐな人に尊敬されて幸せだったでしょうね」

「カッサンドラ様は、誰にでも分け隔てなく優しい方でしたが、ご自身の話は殆どされませんでした。唯一私だけに、まだ子供だった私だけに心を開いてくださったのです」

レジーナは一度鼻をかんでから再び話し始めた。

「初めてお会いした時、私は10才でカッサンドラ様は20才でした。陛下との仲は良好でしたが、友達がなかなかできず苦労していたようです。そんな時、ふとしたパーティーの場で偶然お会いしたんです。親とはぐれた私に声をかけて下さって。私は皇后様とお近づきになれて舞い上がっていました。カッサンドラ様としても、相手が子供だったから気を許せたんでしょう。子供なら派閥なんて関係ないですからね。それから色々な話を打ち明けてくれました。当時の私には分かりませんでしたが、今になって色々腑に落ちることがあります。子供ができなくて辛かった話とか、リゲル様のこととか……」

「ちょっと待って!? 今リゲル様と言った?」

ロザリンドはぎょっとして、思わず話を遮った。なぜここでリゲルの名前が出て来るのか?

「ええ。アルビノで滅多に表に出てこない陛下のお兄様のことです。カッサンドラ様は、リゲル様と親しかったようです。あの、これは言っていいのか分からないのですが……。いえ、やっぱり何でもないです」

レジーナは何かを言おうとしたが、慌てて口をつぐんだ。

「どうしたの? 何か言えないことでもあるの?」

「いえ、ただの邪推ですから」

しかし、レジーナはもじもじした様子で落ち着かないままだった。何かを言おうとしては思いとどまっているように見える。

「今あなたが考えていることを当ててあげましょうか? 本当は自分の直感が正しいと思っている。でも、敬愛する人のためにそう思うのは間違っている気がする。こうじゃない?」

レジーナは驚いた表情でロザリンドを見つめた。どうやら図星だったらしい。

「まだ知り合ったばかりの私に、ここまで伝えてくれるだけでも感謝しているけど、でも、洗いざらい教えて欲しいの。強引でごめんなさい」

「いえ、強引だなんて……。でも、本当にただの思い違いだと思うんです。カッサンドラ様がリゲル様のことを語る時、すごく嬉しそうで、初恋の人みたいに話していたなんて」

それを聞いたロザリンドは思わずぎょっとした。まるで予想外の話だ。

「更に不思議なのは、お亡くなりになる直前は、彼の話はしなくなっていたことです。しかし、時折すごくふさぎ込むことがありました。あれは何だったのだろうと今でも考えるんです」

ロザリンドはじっと考え込んだ。一体カッサンドラとリゲルの間に何があったのだろう。カッサンドラとレグルスは周りでも評判のおしどり夫婦だった。そんな二人にリゲルが入り込む余地があるのか?

「あんなにお元気だったカッサンドラ様が、若くしてお亡くなりになったのが今でも信じられません。あんなに生命力にあふれた人だったのに。もう5年経ちますが今でもひょっこり現れそうな気がするんです」

「陛下もそれはお悲しみになったと聞いたわ」

「その通りです。政略結婚でしたが相思相愛でした。カッサンドラ様が亡くなった後、陛下はしばらく公務を休まれたほどです」

やはりそうなのか。そう思うと同時に、心のどこかでカッサンドラに嫉妬してしまうのは避けられなかった。

「あの、実はお亡くなりになった後にカッサンドラ様から鍵付きの日記帳を託されたんです」

「日記!?」

「ええ。お身体が大分弱っていたので、弱々しい字でしたが、確かに自筆で『私がいなくなったらこの日記を読んで欲しい。ここに全部書かれているから』とありました。でも、怖くて未だに読めません。私の中の完璧な偶像が壊れてしまいそうで。日記帳をくれるくらい信頼してくれたのは嬉しいけど、本当のカッサンドラ様を知りたいわけじゃないから。いつまでも美しい姿のままでいて欲しいんです」

沈痛な面持ちで述べるレジーナが、ロザリンドはいじらしく思えた。まだ少女だった彼女に、カッサンドラの秘密の日記は荷が重かっただろう。しかし、カッサンドラにとっては、気持ちを打ち明けられる友が他にいなかったということでもある。

「日記はあなたに託します。それならカッサンドラ様の真実の姿が分かると思います。私が直面化できなかったことをどうか確認してください」

「ありがとう。余計に自信をなくしちゃうかもしれないけど、読んでみるわ」

「でも、先日父が言ってました。陛下は本気だと。今度は本気で再婚する気だと。だからあなたも自信を持ってください」

「ありがとう。あなたに慰められる日が来るなんて思わなかったわ」

ロザリンドは、気を取り直して笑顔を作った。短時間でレジーナが自分に心を開いてくれるようになってくれたのは嬉しいことだ。するとレジーナも涙を拭いて微笑み返してくれた。

お互い笑みを交わしたことで、二人の関係も雪解けの様相を呈した気がする。雰囲気が緩んだところでレジーナが問いかけた。

「さっきから疑問だったのですが、先日会った時と雰囲気が変わりました。前の時は自信がなさそうだったのに、今回は堂々として見違えるようです。何かあったんですか?」

レジーナに指摘されるまで、ロザリンドは意識したこともなかった。そこまで自分は変わったのだろうか? まるで心当たりがないが、改めて考えてみると一個だけ思いつくものがある。

「前は何も考えなかったけど、今回は陛下のためにと思って動いたの。自分のためじゃなく誰かのためなら、私どこまでも頑張れる」

「お言葉ですが、その発想は危険だと思います」

突然レジーナに指摘されて、ロザリンドははっとした。

「カッサンドラ様もそうでした。大事な人のためなら自分をどこまでも犠牲にするのも厭わなかったんです。うまく言えませんが、今思うとそう言う性格も災いしたのかもしれません。あなたにはそうなって欲しくない。他人よりまず自分を大事にして。今度こそ陛下を悲しませないでください」

レジーナはアーモンドのような瞳でロザリンドをまっすぐ見据えて言った。その言葉は、彼女に重くのしかかった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

もふもふクマさん彼氏は獣人国の王子様?! 婚約破棄って、それ冗談ですよね。

長岡更紗
恋愛
ユーミラの憧れのベアモンドは、騎士団に所属する強くて優しい人。 ある日、二人っきりになれた時に告白すると、彼の頭にクマ耳が生えてきて?! ベアモンドがクマ獣人だと知ったユーミラだったが、恋心は変わらない。 彼も実はユーミラのことが好きで二人は無事付き合い始めるのだが……。 そんな幸せも束の間。 実はベアモンドは獣人国の王子ということが発覚し、獣人国に帰らなければいけないことに! 獣人国にはすでにベアモンドの婚約者も用意されていて…… どうする、ユーミラ! 小説家になろう、他サイトでも公開しています。

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

結婚は人生の墓場と聞いてましたがどうやら違ったようです~お荷物令嬢が嫁ぎ先で作家を目指すまで、なお夫は引きこもり~

雑食ハラミ
恋愛
本の虫で、女だてらにズボン姿で闊歩する風変わりな令嬢ビアトリスは、エリオットという地下室にひきこもる青年と結婚しろと父から命令される。 作家の夢を諦めかけ、夢も希望も失っていた彼女は、実家から厄介払いされる形で渋々嫁ぐが、自分をキワモノ扱いせず一人の人間として接してくれるエリオットを知って、意外にも馬が合うことに気付く。 しかも、作家志望という同じ夢を持つ仲間と知って、彼女は大喜び。親睦を深める中で、中断していた創作活動を再開していく。 しかし、エリオットは妻の知らない秘密を持っていた。失踪した兄への過剰な思慕、そしてひた隠しにする正体——。 だんだんと二人は距離を縮め、エリオットも外に出る機会が増えてくるが、穏やかな時間はいつまでも続かなかった。世間知らずで浮世離れした二人が、おままごと夫婦を卒業できる日はやって来るのか? タグにも書きましたが、ヒーローはイケメン化しない非イケメンよりのフツメンです。ヒーローがヒロインと出会うことでコンプレックスを克服する話が性癖なので…すいません。 最初はほのぼのですが、中盤からシリアス展開が入ります。ハッピーエンドですが、途中胸糞展開もあるのでご注意。道のりは辛くても、すっきりしたカタルシスをお約束するので、信じて着いて来てください! 完結確約、全36話です。 ★★★恋愛小説大賞参加作品です★★★

隣国に売られるように渡った王女

まるねこ
恋愛
幼いころから王妃の命令で勉強ばかりしていたリヴィア。乳母に支えられながら成長し、ある日、父である国王陛下から呼び出しがあった。 「リヴィア、お前は長年王女として過ごしているが未だ婚約者がいなかったな。良い嫁ぎ先を選んでおいた」と。 リヴィアの不遇はいつまで続くのか。 Copyright©︎2024-まるねこ

【完結】わたしはお飾りの妻らしい。  〜16歳で継母になりました〜

たろ
恋愛
結婚して半年。 わたしはこの家には必要がない。 政略結婚。 愛は何処にもない。 要らないわたしを家から追い出したくて無理矢理結婚させたお義母様。 お義母様のご機嫌を悪くさせたくなくて、わたしを嫁に出したお父様。 とりあえず「嫁」という立場が欲しかった旦那様。 そうしてわたしは旦那様の「嫁」になった。 旦那様には愛する人がいる。 わたしはお飾りの妻。 せっかくのんびり暮らすのだから、好きなことだけさせてもらいますね。

虐げられていた黒魔術師は辺境伯に溺愛される

朝露ココア
恋愛
リナルディ伯爵令嬢のクラーラ。 クラーラは白魔術の名門に生まれながらも、黒魔術を得意としていた。 そのため実家では冷遇され、いつも両親や姉から蔑まれる日々を送っている。 父の強引な婚約の取り付けにより、彼女はとある辺境伯のもとに嫁ぐことになる。 縁談相手のハルトリー辺境伯は社交界でも評判がよくない人物。 しかし、逃げ場のないクラーラは黙って縁談を受け入れるしかなかった。 実際に会った辺境伯は臆病ながらも誠実な人物で。 クラーラと日々を過ごす中で、彼は次第に成長し……そして彼にまつわる『呪い』も明らかになっていく。 「二度と君を手放すつもりはない。俺を幸せにしてくれた君を……これから先、俺が幸せにする」

『えっ! 私が貴方の番?! そんなの無理ですっ! 私、動物アレルギーなんですっ!』

伊織愁
恋愛
 人族であるリジィーは、幼い頃、狼獣人の国であるシェラン国へ両親に連れられて来た。 家が没落したため、リジィーを育てられなくなった両親は、泣いてすがるリジィーを修道院へ預ける事にしたのだ。  実は動物アレルギーのあるリジィ―には、シェラン国で暮らす事が日に日に辛くなって来ていた。 子供だった頃とは違い、成人すれば自由に国を出ていける。 15になり成人を迎える年、リジィーはシェラン国から出ていく事を決心する。 しかし、シェラン国から出ていく矢先に事件に巻き込まれ、シェラン国の近衛騎士に助けられる。  二人が出会った瞬間、頭上から光の粒が降り注ぎ、番の刻印が刻まれた。 狼獣人の近衛騎士に『私の番っ』と熱い眼差しを受け、リジィ―は内心で叫んだ。 『私、動物アレルギーなんですけどっ! そんなのありーっ?!』

じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが

カレイ
恋愛
 天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。  両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。  でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。 「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」  そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。

処理中です...