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入学式は大波乱!
第三話
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「どうしたの?塔哉?」
「暁ちゃん!」
声がした方を振り向くと、暁ちゃんが立っていた。
「兄貴達と一緒じゃなかったの?」
不思議そうな顔で尋ねられ、僕は今までのいきさつを話した。
すると、暁ちゃんは深いため息を吐いた。
「本当に兄貴達は頼りにならないなぁ。塔哉のこと任せるんじゃなかったよ」
「別に兄ちゃん達が悪いんじゃなくて、僕がぼぉ~としてたから……」
「塔哉、お前は本当にいい子だな!!」
僕が言い終わらないうちに、暁ちゃんががばっと抱きついてきた。
「ちょっと……。暁ちゃん!」
僕は必死で暁ちゃんの腕を振りほどこうとしたが、見た目より力があるのかびくともしない。
どうしようもないので、しばらく暁ちゃんの腕の中にいることにした。
でも、こんな人目のある所で、男同士で抱き合ってるのって、傍から見たら変だよね……?
「暁ちゃん!離れてよ。…僕、恥ずかしいよ」
周りの人の興味深げな視線が、気になって仕方ない。
「大丈夫!誰も見てないって」
暁ちゃんは、全然離してくれる素振りを見せない。
それにしても……、こんなに注目されているのに、「見られてない」って、暁ちゃんって意外に神経図太いのかな?
「まぁ、冗談はさておき……」
暁ちゃんは、今まで僕に抱き付いていたのが嘘みたいにあっさり離れた。
「はぁ?」
(今のって、冗談だったの?)
今までの僕の苦労はなんだったんだ!!
暁ちゃん、イタズラがすぎるよ!
「暁ちゃん!いくら僕でも怒るよ!」
僕は暁ちゃんを軽く睨んだ。
「ごめんね?あんまり塔哉が可愛いから、からかいたくなったんだ」
暁ちゃんがにこっと極上な笑みを浮かべて僕を見た。
「暁ちゃん……」
昔から僕はこの笑顔を見てしまうと、本気で怒れなくなってしまう。
(仕方ないなぁ)
なんか上手く乗せられた気がしなくもないけど……。
「そろそろ体育館に行こうか」
暁ちゃんが僕を促した。
僕は暁ちゃんと並んで歩き出した。
「塔哉、正門から入ってきたんだろ?よくこんな所まで来たなぁ」
「もしかして、体育館とは正反対?」
不安に思って聞いてみると、暁ちゃんは苦笑しながら頷いた。
(やっぱり僕って、救いようのない方向音痴なんだ……)
僕はため息を吐くことしかできなかった。
「暁ちゃん!」
声がした方を振り向くと、暁ちゃんが立っていた。
「兄貴達と一緒じゃなかったの?」
不思議そうな顔で尋ねられ、僕は今までのいきさつを話した。
すると、暁ちゃんは深いため息を吐いた。
「本当に兄貴達は頼りにならないなぁ。塔哉のこと任せるんじゃなかったよ」
「別に兄ちゃん達が悪いんじゃなくて、僕がぼぉ~としてたから……」
「塔哉、お前は本当にいい子だな!!」
僕が言い終わらないうちに、暁ちゃんががばっと抱きついてきた。
「ちょっと……。暁ちゃん!」
僕は必死で暁ちゃんの腕を振りほどこうとしたが、見た目より力があるのかびくともしない。
どうしようもないので、しばらく暁ちゃんの腕の中にいることにした。
でも、こんな人目のある所で、男同士で抱き合ってるのって、傍から見たら変だよね……?
「暁ちゃん!離れてよ。…僕、恥ずかしいよ」
周りの人の興味深げな視線が、気になって仕方ない。
「大丈夫!誰も見てないって」
暁ちゃんは、全然離してくれる素振りを見せない。
それにしても……、こんなに注目されているのに、「見られてない」って、暁ちゃんって意外に神経図太いのかな?
「まぁ、冗談はさておき……」
暁ちゃんは、今まで僕に抱き付いていたのが嘘みたいにあっさり離れた。
「はぁ?」
(今のって、冗談だったの?)
今までの僕の苦労はなんだったんだ!!
暁ちゃん、イタズラがすぎるよ!
「暁ちゃん!いくら僕でも怒るよ!」
僕は暁ちゃんを軽く睨んだ。
「ごめんね?あんまり塔哉が可愛いから、からかいたくなったんだ」
暁ちゃんがにこっと極上な笑みを浮かべて僕を見た。
「暁ちゃん……」
昔から僕はこの笑顔を見てしまうと、本気で怒れなくなってしまう。
(仕方ないなぁ)
なんか上手く乗せられた気がしなくもないけど……。
「そろそろ体育館に行こうか」
暁ちゃんが僕を促した。
僕は暁ちゃんと並んで歩き出した。
「塔哉、正門から入ってきたんだろ?よくこんな所まで来たなぁ」
「もしかして、体育館とは正反対?」
不安に思って聞いてみると、暁ちゃんは苦笑しながら頷いた。
(やっぱり僕って、救いようのない方向音痴なんだ……)
僕はため息を吐くことしかできなかった。
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