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ジュエル・キス
第八話
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(風呂でも入ってこようかな)
湯船に浸かってゆっくりすれば、多少は疲れが取れそうだし、気分もすっきりするかもしれない。
特に何も考えずに、服を脱いで浴室の扉を開けた俺は、そのまま固まった。
浴室には、兄貴がいた。
シャワーを浴びている最中で、水しぶきが程よく筋肉のついた身体を流れていく。
兄貴は着痩せするタイプなのか、普段は細身に見えるが、脱いだらかなり凄い。
腹筋は割れているし、仕事で重い物を運ぶことも多いせいか、腕にはしっかりとした筋肉がついている。
俺もそんなに細いほうではないが、兄貴に比べたら子供みたいだ。
通りで、力では敵わないはずだ。
「……なんだ?」
「……あっ、ごめんっ!」
兄貴の訝しげな視線に、我に返って慌てて扉を閉める。
心臓がバクバクしている。
何を悠長に男の裸なんて見ているんだ。
ぼんやりしていて兄貴がシャワーを浴びているのに気付かなくて風呂場に乱入した上に、裸をジッと見ているなんて俺は変態か?
「慎吾、お前も入って来いよ」
浴室の扉が開いて、兄貴が顔を出した。
濡れた髪が目にかかって、妙に色っぽい。
そう思う時点で、今日の俺はどこかおかしい。
「いいよ、俺は後で……っ」
これ以上、兄貴と一緒にいたら取り返しのつかないことになりそうで怖い。
「つべこべ言わずに入れ」
強引に腕を掴まれて、浴室に連れ込まれる。
頭の上から熱いお湯を浴びて、全身がすぶ濡れになる。
うちの風呂はそんなに広いわけじゃない。
男二人で入ると必然的に、どこかが触れるようになる。
兄貴が動くと、触れた部分が擦れて、くすぐったいような変な感じになってくる。
「兄貴、ちょっと離れて……」
「なんで?」
これ以上刺激されると、なんかヤバイ気がする。
「狭いから」
「そんなの今更だろ」
更にギュッと抱き着かれて、どうしていいのかわからなくなる。
いい年をした男二人が風呂場で抱き合っているのは、明らかにおかしい。
それはわかっているのだが、背後から伝わる兄貴の熱に煽られて、頭が上手く回らない。
(……熱い)
この熱さをどうにかして欲しくて、背後の兄貴を見上げる。
兄貴がゴクリと喉を鳴らす音が聞こえた。
「……お前が悪いんだからな」
「え……?」
「煽りやがって」
兄貴の瞳に獰猛な光が宿ったと思った瞬間、強引に唇を奪われていた。
ただでさえ熱に浮かされていた頭は、巧みなキスに益々溶かされていく。
器用な舌に口の中の敏感な部分を擦られる度に、身体の中心まで熱くなってくる。
(……もう駄目)
舌を強く吸われ、身体の中から熱い何かがせりあがってくる。
「……お前は絶対に渡さない。スイにもお前が懐いているあの先輩にも」
意識が遠のく瞬間、兄貴の激情を抑えたような低い声が聞こえた気がした。
湯船に浸かってゆっくりすれば、多少は疲れが取れそうだし、気分もすっきりするかもしれない。
特に何も考えずに、服を脱いで浴室の扉を開けた俺は、そのまま固まった。
浴室には、兄貴がいた。
シャワーを浴びている最中で、水しぶきが程よく筋肉のついた身体を流れていく。
兄貴は着痩せするタイプなのか、普段は細身に見えるが、脱いだらかなり凄い。
腹筋は割れているし、仕事で重い物を運ぶことも多いせいか、腕にはしっかりとした筋肉がついている。
俺もそんなに細いほうではないが、兄貴に比べたら子供みたいだ。
通りで、力では敵わないはずだ。
「……なんだ?」
「……あっ、ごめんっ!」
兄貴の訝しげな視線に、我に返って慌てて扉を閉める。
心臓がバクバクしている。
何を悠長に男の裸なんて見ているんだ。
ぼんやりしていて兄貴がシャワーを浴びているのに気付かなくて風呂場に乱入した上に、裸をジッと見ているなんて俺は変態か?
「慎吾、お前も入って来いよ」
浴室の扉が開いて、兄貴が顔を出した。
濡れた髪が目にかかって、妙に色っぽい。
そう思う時点で、今日の俺はどこかおかしい。
「いいよ、俺は後で……っ」
これ以上、兄貴と一緒にいたら取り返しのつかないことになりそうで怖い。
「つべこべ言わずに入れ」
強引に腕を掴まれて、浴室に連れ込まれる。
頭の上から熱いお湯を浴びて、全身がすぶ濡れになる。
うちの風呂はそんなに広いわけじゃない。
男二人で入ると必然的に、どこかが触れるようになる。
兄貴が動くと、触れた部分が擦れて、くすぐったいような変な感じになってくる。
「兄貴、ちょっと離れて……」
「なんで?」
これ以上刺激されると、なんかヤバイ気がする。
「狭いから」
「そんなの今更だろ」
更にギュッと抱き着かれて、どうしていいのかわからなくなる。
いい年をした男二人が風呂場で抱き合っているのは、明らかにおかしい。
それはわかっているのだが、背後から伝わる兄貴の熱に煽られて、頭が上手く回らない。
(……熱い)
この熱さをどうにかして欲しくて、背後の兄貴を見上げる。
兄貴がゴクリと喉を鳴らす音が聞こえた。
「……お前が悪いんだからな」
「え……?」
「煽りやがって」
兄貴の瞳に獰猛な光が宿ったと思った瞬間、強引に唇を奪われていた。
ただでさえ熱に浮かされていた頭は、巧みなキスに益々溶かされていく。
器用な舌に口の中の敏感な部分を擦られる度に、身体の中心まで熱くなってくる。
(……もう駄目)
舌を強く吸われ、身体の中から熱い何かがせりあがってくる。
「……お前は絶対に渡さない。スイにもお前が懐いているあの先輩にも」
意識が遠のく瞬間、兄貴の激情を抑えたような低い声が聞こえた気がした。
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