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バランス
第五話
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「……暁、行こう」
俺はもうこれ以上この場に居たくなくて、暁の手を取って立ち上がった。
ラーメンはまだ半分以上残っているが、食べる気にならない。
「夕希、逃げるの?」
「……っ!」
カチンときたが、冷静さを欠いた方が負けるということを今までの経験からわかっている俺は、必死で冷静さを保とうとした。
「……ふ~ん」
挑発に乗ってこない俺に、兄貴が面白くなさそうに鼻を鳴らした。
兄貴の目が、すっと細められる。
そこに残忍な光を感じて、背筋がゾクッとした。
「……でも、夕希。これだけは覚えておけよ。これからどんな奴が現れようとお前を支配するのは俺だけだということを」
周りに聞こえないようにひそめられた声を聞いた瞬間、俺は暁の手を引いて食堂から飛び出していた。
何事かと振り向いてくる生徒達を無視して、俺は全力で走った。
人気のない体育館倉庫の裏に辿り着くと、暁と一緒にその場に座り込んだ。
この際、ズボンが汚れるのなんて気にしていられない。
「ねぇ、夕希。一つ訊いていい?」
真剣な表情の暁と真っ正面から目が合う。
(これは、逃げられないな)
暁にはあまり兄貴とのことを知られたくなかったが、こんな形で巻き込んでしまったら、答えないわけにはいかないだろう。
俺は覚悟を決めて頷いた。
俺はもうこれ以上この場に居たくなくて、暁の手を取って立ち上がった。
ラーメンはまだ半分以上残っているが、食べる気にならない。
「夕希、逃げるの?」
「……っ!」
カチンときたが、冷静さを欠いた方が負けるということを今までの経験からわかっている俺は、必死で冷静さを保とうとした。
「……ふ~ん」
挑発に乗ってこない俺に、兄貴が面白くなさそうに鼻を鳴らした。
兄貴の目が、すっと細められる。
そこに残忍な光を感じて、背筋がゾクッとした。
「……でも、夕希。これだけは覚えておけよ。これからどんな奴が現れようとお前を支配するのは俺だけだということを」
周りに聞こえないようにひそめられた声を聞いた瞬間、俺は暁の手を引いて食堂から飛び出していた。
何事かと振り向いてくる生徒達を無視して、俺は全力で走った。
人気のない体育館倉庫の裏に辿り着くと、暁と一緒にその場に座り込んだ。
この際、ズボンが汚れるのなんて気にしていられない。
「ねぇ、夕希。一つ訊いていい?」
真剣な表情の暁と真っ正面から目が合う。
(これは、逃げられないな)
暁にはあまり兄貴とのことを知られたくなかったが、こんな形で巻き込んでしまったら、答えないわけにはいかないだろう。
俺は覚悟を決めて頷いた。
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