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2 太陽と月

第5話

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「これは魔法を使わない、古典的な占いだけど……」

 おもむろに、美月はカードを取りだした。

「わたし、タロットカードが得意なのよ」

 慣れた手つきで、サッとカードを広げる美月。
 その中の一枚をぬきとり、あたしに見せた。
 人の横向きの顔が入った、月が描かれたカード『THE MOON』。

「わたしは月。ひとりでは、未来に進めない」

 美月は残りのカードを示すと、「一枚引いてみて」と言った。
 迷いつつ、あたしが選んだカードは――。
 『THE SUN』! 正面向きの顔が入った、太陽が描かれている。
 美月は満足そうにうなずいた。

「やっぱり、ヒナタちゃんは太陽だね。まわりを明るく照らしてくれる光――。わたしは、ヒナタちゃんがいてくれたら、希望をもって前に進めるわ」

 あたしたちは、太陽と月……?

「でも、ヒナタちゃんは、まだ自分の力に完全には目覚めていない。目をひらいたとき、わたしたちは、いっしょに戦える。勇気を出して、目をひらいてね」

 そう言って、ほほ笑んだ美月の顔が、ゆっくりと消えていく。

「待って、美月!」

 のばした手は、何もつかむことがなかった。
 気づいたら、美月も、小屋も消えていて、目の前には空き地があって……。
 まるで何事もなかったように、背中にはランドセル。

「え……? 幻……?」

 むなしいひとりごとが、口からこぼれる。
 あたしは幻を見ていたんだろうか? それとも夢を見てた?
 あるいは……。
 美月と仲よくなりたい気持ちが強くなりすぎて、妄想しちゃったとか?
 ホントにあたし、どうかしてるよ。

 自分がこわくなってきて、あたしは思わずかけだした。
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