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第二章
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ローレンツにこの世界に残ることを決めたと伝えた数日後、サーヤは彼に呼び出されていた。
伝書蜂という魔術で動く機械の蜂が飛んできて、『昼前に迎えに行くよ。君を連れていきたいところがあるんだ』という手紙が届けられたのだ。
伝書蜂は魔術で動くが、魔石を電池代わりにしているもののため、魔力がないサーヤにも使いこなせる。もともとは昔、別の世界から渡ってきた道具らしいが、この世界の人たちにも使いこなせたから普及しているらしい。サーヤはいそいそと返事を書き、蜂に持たせた。
そのときは、てっきりデートに誘われたと思っていたから、とてもウキウキしていた。
だから、手持ちの服の中からこの季節に着るのにぴったりで一番素敵に見えるものを選び、髪も念入りに梳かした。
この世界の人々は、元の世界でいうところのヨーロッパ風の顔立ちや髪色のため、彼らに合わせた服の中からサーヤに似合うものを探すのは来てすぐは難しかった。だが、今ではサーヤのための服が作られているから助かっている。
というよりも、ここに来たときに身につけていたセーラー服が可愛いと人気になり、それを真似た服が作られたことで、サーヤはちょっとしたファッションアイコンになっているのだ。三角襟の服といえば渡り人風で、この五年間、流行が衰えることはない。その上、サーヤに似合う色味の生地の展開も増えたため、今ではどこの店で仕立てても問題ない。
秋が深まってくると、この国は一気に寒くなる。その前に着ておきたいなと思って、晩夏用に仕立てたサックスブルーのワンピースに、オフホワイトの薄手のショールを合わせた。この国っぽさがやはり滲んでしまうが、鏡の中にいるのは十五歳の頃の自身が大人になったときに着ていそうだと思った、きれいなお姉さん系の服装だ。
デートだと思ったからそんなふうに張り切っていたのに、迎えに来たローレンツは開口一番言ったのだ。
「今日は、サーヤの新居を見に行くよ」
「あ……家探し、ですか」
ドアを開けるとそこにいたのは、いつもと変わらない姿のローレンツだった。それでもやはりかっこいいのだが、その服装と何でもない様子から、彼にとって今日が特別でないことがひと目でわかってしまう。
「ここにいたいといえばきっと残ることもできるだろうが、君もあまり神殿の世話になるのは嫌だろう?」
「それはもちろん。でも、まさか先生にわざわざ探させるつもりなんてなくて……」
サーヤが今いるのは、神殿が管理している建物の一室だ。残ることに決めた渡り人の多くが、ここを出て自力で暮らしていたという。だから、サーヤも当然そのつもりだった。仕事に行くのにも生活するのにも、ここは少し不便だからだ。何より、俗世とは切り離された神殿の雰囲気が、どうにも肌には馴染まなかったのだ。
「いくつか候補を見繕っているから、ひとつひとつ見ていこうか」
「はい」
デートではなく新居の内見だと聞いてサーヤの気持ちは一瞬下降したが、すぐに持ち直した。何であれ、ローレンツと出かけられるなら嬉しい。
この世界に来たばかりの頃は、本当に何をするにも彼がべったりだった。食事をするところ、服を買うところ、市民の広場など、行き方もそこでの正しい過ごし方もすべて彼が教えてくれた。
当然、地方の教会へ顔を出す際にも付き添ってくれたし、プライベートでの初めての遠出も彼と一緒だった。そのうちに友人となったターニャや他の歳の近い子たちと出かけられるようになると彼はついてこなくなったから、こうして二人きりで歩くのは久しぶりである。
「どんなところ? お部屋可愛い?」
物件資料と思しきものを手に隣を歩くローレンツに、サーヤはニコニコと声をかけた。彼が自分のためにどんな部屋を選んでくれたのかが気になるのだ。
「可愛くはないかな。君がひとりで暮らしていく中で大事なのは、利便性と堅牢さだ。魔術で防壁と侵入探知もつけたいから、そのへんを許可してくれる家主の物件を中心に選んでいる」
はしゃぐサーヤとは対照的に、ローレンツは落ち着いている。歩きながら道を確認している様子だ。おそらく、生活圏の雰囲気と安全性についても確かめているのだろう。
「……絶対可愛くないじゃん。私、出窓のある部屋に住みたかったのに」
「出窓なんて以ての外だ。侵入しやすくなる造りじゃないか」
「でも、ターニャのおうちには出窓があるよ」
「あれは家族と暮らす戸建てだからだ。ひとり暮らしのための集合住宅では向かない造りだよ」
サーヤの要望を真っ向無視のローレンツは、言いながら足を止めた。どうやらひとつめの目的の物件についたらしい。
「ここ?」
「そう、ここの二階だよ」
サーヤは、目の前にあるのがなかなか洒落た外観の集合住宅だったため、たちまち機嫌を直した。
石造りの四階建てで、アールデコを思わせる金属製の装飾が各所に施されている。何部屋かにはその洒落た装飾でバルコニーがついていた。
エントランスから入って階段を登り始めたローレンツの背中を、サーヤはワクワクしながら追いかける。
「先生、ここ?」
「そうだよ。今鍵を開けるから」
走り出したい気持ちを抑え、サーヤがドアを開けてもらうのを待った。そして、開くや否や部屋の中に早足で入る。
そして、窓際までほとんど走る勢いで近づいていった。
「先生! バルコニーがある!」
「気にいると思った」
さっき外から見たとき、バルコニーがある部屋だったらいいなと思っていたのだ。それが叶って、サーヤは嬉しくなる。ローレンツがサーヤが気にいると思って選んでくれたのも感激だ。喜ぶサーヤを見て、ローレンツの表情も柔らかくなる。
「バルコニーはいいの……?」
「もちろん。そこに侵入者用の魔術を施す予定だ」
「物騒!」
バルコニーの用途に文句を言いつつも、サーヤはもうすっかりこの部屋を気に入っていた。二階だから見晴らしがいいとは言えないが、通りを目にすることができるのは嬉しい。
「ここは、役場や出版社なんかで働いている女性たちが多く暮らす集合住宅なんだ。私の一押しの点は、男子禁制ということかな」
バルコニーからの眺めに感激するサーヤに、さも重要であるかのようにローレンツは言う。だが、彼の一押しポイントは、サーヤにとって減点ポイントで一気に気持ちが萎えた。
「ふーん」
「大丈夫。ターニャたちは呼んでもいいよ。騒ぐのは当然だめだが」
「先生が遊びに来られないじゃない」
「そんなことより、サーヤが安全に暮らせることのほうが大事だ」
サーヤにとって大事なことを〝そんなこと〟と切り捨てられ、悲しい気分になる。というより、彼にとってはサーヤの部屋に遊びに来る予定も必要性もないのだろう。
「……ここ、トイレとお風呂は共用なんだね」
先ほどまで魅力的に見えていた部屋に興味がなくなって、今度は欠点が目に入るようになった。
「お風呂は共用だが、トイレは各階にあるから、そこまで悪い条件とは思わないが。ハウスキーパーが建物全体の掃除もしてくれると言うし」
「うーん……」
「まあ、次の候補を見に行こうか」
サーヤが興味をなくしたのに気づき、ローレンツは少し困った顔をして言った。困らせたかったわけではないから、サーヤもそれに素直に従う。
伝書蜂という魔術で動く機械の蜂が飛んできて、『昼前に迎えに行くよ。君を連れていきたいところがあるんだ』という手紙が届けられたのだ。
伝書蜂は魔術で動くが、魔石を電池代わりにしているもののため、魔力がないサーヤにも使いこなせる。もともとは昔、別の世界から渡ってきた道具らしいが、この世界の人たちにも使いこなせたから普及しているらしい。サーヤはいそいそと返事を書き、蜂に持たせた。
そのときは、てっきりデートに誘われたと思っていたから、とてもウキウキしていた。
だから、手持ちの服の中からこの季節に着るのにぴったりで一番素敵に見えるものを選び、髪も念入りに梳かした。
この世界の人々は、元の世界でいうところのヨーロッパ風の顔立ちや髪色のため、彼らに合わせた服の中からサーヤに似合うものを探すのは来てすぐは難しかった。だが、今ではサーヤのための服が作られているから助かっている。
というよりも、ここに来たときに身につけていたセーラー服が可愛いと人気になり、それを真似た服が作られたことで、サーヤはちょっとしたファッションアイコンになっているのだ。三角襟の服といえば渡り人風で、この五年間、流行が衰えることはない。その上、サーヤに似合う色味の生地の展開も増えたため、今ではどこの店で仕立てても問題ない。
秋が深まってくると、この国は一気に寒くなる。その前に着ておきたいなと思って、晩夏用に仕立てたサックスブルーのワンピースに、オフホワイトの薄手のショールを合わせた。この国っぽさがやはり滲んでしまうが、鏡の中にいるのは十五歳の頃の自身が大人になったときに着ていそうだと思った、きれいなお姉さん系の服装だ。
デートだと思ったからそんなふうに張り切っていたのに、迎えに来たローレンツは開口一番言ったのだ。
「今日は、サーヤの新居を見に行くよ」
「あ……家探し、ですか」
ドアを開けるとそこにいたのは、いつもと変わらない姿のローレンツだった。それでもやはりかっこいいのだが、その服装と何でもない様子から、彼にとって今日が特別でないことがひと目でわかってしまう。
「ここにいたいといえばきっと残ることもできるだろうが、君もあまり神殿の世話になるのは嫌だろう?」
「それはもちろん。でも、まさか先生にわざわざ探させるつもりなんてなくて……」
サーヤが今いるのは、神殿が管理している建物の一室だ。残ることに決めた渡り人の多くが、ここを出て自力で暮らしていたという。だから、サーヤも当然そのつもりだった。仕事に行くのにも生活するのにも、ここは少し不便だからだ。何より、俗世とは切り離された神殿の雰囲気が、どうにも肌には馴染まなかったのだ。
「いくつか候補を見繕っているから、ひとつひとつ見ていこうか」
「はい」
デートではなく新居の内見だと聞いてサーヤの気持ちは一瞬下降したが、すぐに持ち直した。何であれ、ローレンツと出かけられるなら嬉しい。
この世界に来たばかりの頃は、本当に何をするにも彼がべったりだった。食事をするところ、服を買うところ、市民の広場など、行き方もそこでの正しい過ごし方もすべて彼が教えてくれた。
当然、地方の教会へ顔を出す際にも付き添ってくれたし、プライベートでの初めての遠出も彼と一緒だった。そのうちに友人となったターニャや他の歳の近い子たちと出かけられるようになると彼はついてこなくなったから、こうして二人きりで歩くのは久しぶりである。
「どんなところ? お部屋可愛い?」
物件資料と思しきものを手に隣を歩くローレンツに、サーヤはニコニコと声をかけた。彼が自分のためにどんな部屋を選んでくれたのかが気になるのだ。
「可愛くはないかな。君がひとりで暮らしていく中で大事なのは、利便性と堅牢さだ。魔術で防壁と侵入探知もつけたいから、そのへんを許可してくれる家主の物件を中心に選んでいる」
はしゃぐサーヤとは対照的に、ローレンツは落ち着いている。歩きながら道を確認している様子だ。おそらく、生活圏の雰囲気と安全性についても確かめているのだろう。
「……絶対可愛くないじゃん。私、出窓のある部屋に住みたかったのに」
「出窓なんて以ての外だ。侵入しやすくなる造りじゃないか」
「でも、ターニャのおうちには出窓があるよ」
「あれは家族と暮らす戸建てだからだ。ひとり暮らしのための集合住宅では向かない造りだよ」
サーヤの要望を真っ向無視のローレンツは、言いながら足を止めた。どうやらひとつめの目的の物件についたらしい。
「ここ?」
「そう、ここの二階だよ」
サーヤは、目の前にあるのがなかなか洒落た外観の集合住宅だったため、たちまち機嫌を直した。
石造りの四階建てで、アールデコを思わせる金属製の装飾が各所に施されている。何部屋かにはその洒落た装飾でバルコニーがついていた。
エントランスから入って階段を登り始めたローレンツの背中を、サーヤはワクワクしながら追いかける。
「先生、ここ?」
「そうだよ。今鍵を開けるから」
走り出したい気持ちを抑え、サーヤがドアを開けてもらうのを待った。そして、開くや否や部屋の中に早足で入る。
そして、窓際までほとんど走る勢いで近づいていった。
「先生! バルコニーがある!」
「気にいると思った」
さっき外から見たとき、バルコニーがある部屋だったらいいなと思っていたのだ。それが叶って、サーヤは嬉しくなる。ローレンツがサーヤが気にいると思って選んでくれたのも感激だ。喜ぶサーヤを見て、ローレンツの表情も柔らかくなる。
「バルコニーはいいの……?」
「もちろん。そこに侵入者用の魔術を施す予定だ」
「物騒!」
バルコニーの用途に文句を言いつつも、サーヤはもうすっかりこの部屋を気に入っていた。二階だから見晴らしがいいとは言えないが、通りを目にすることができるのは嬉しい。
「ここは、役場や出版社なんかで働いている女性たちが多く暮らす集合住宅なんだ。私の一押しの点は、男子禁制ということかな」
バルコニーからの眺めに感激するサーヤに、さも重要であるかのようにローレンツは言う。だが、彼の一押しポイントは、サーヤにとって減点ポイントで一気に気持ちが萎えた。
「ふーん」
「大丈夫。ターニャたちは呼んでもいいよ。騒ぐのは当然だめだが」
「先生が遊びに来られないじゃない」
「そんなことより、サーヤが安全に暮らせることのほうが大事だ」
サーヤにとって大事なことを〝そんなこと〟と切り捨てられ、悲しい気分になる。というより、彼にとってはサーヤの部屋に遊びに来る予定も必要性もないのだろう。
「……ここ、トイレとお風呂は共用なんだね」
先ほどまで魅力的に見えていた部屋に興味がなくなって、今度は欠点が目に入るようになった。
「お風呂は共用だが、トイレは各階にあるから、そこまで悪い条件とは思わないが。ハウスキーパーが建物全体の掃除もしてくれると言うし」
「うーん……」
「まあ、次の候補を見に行こうか」
サーヤが興味をなくしたのに気づき、ローレンツは少し困った顔をして言った。困らせたかったわけではないから、サーヤもそれに素直に従う。
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