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第二話:冒険者ギルド
024:ギルドカードとレセプトカード
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「それから新人冒険者さんに1つだけアドバイスを。このギルドカードは登録された冒険者の証明書になりますし、魔物を討伐した際に魔力を感知して自動で記録もします。なので普段から持ち歩くようにしておいた方が良いですよ」
カードの記録が実績になり、クエストの証明などにも使われるらしい。
便利なシステムだ。
「実績がたまるとランクが上がるのか?」
「察しが良いんですね! その通りです。冒険者ランクは実績を積むことでD、C、B、Aと上がっていきます。さらに高難易度のクエストなどでギルドに認められる事で特別な階級であるSランク以上のランクに昇格することもできますよ」
「そうなのか。また後で詳しく聞かせてくれ」
「はい。いつでもお待ちしております。あ、それから、こちらもどうぞ」
去り際に、受付嬢が一枚のプレートを差し出してきた。
ギルドカードによく似たカードだ。
「これは?」
「私のレセプトカードです。受付係のギルドカードのようなものですよ。このカードがあれば担当として私を専属指名できるようになります」
「専属指名?」
「はい。ギルドには受付が持つ専属の依頼などがあるんですよ。それを受ける事ができるようになったりします」
受付係に求められる力は、物事を見極める力らしい。
クエストの依頼内容から難易度や必要な人材を見極め、そしてそれに対応した冒険者に依頼する事によってクエストの成功率があがるからだ。
その眼を認められた受付係はレセプトカードを作る事が許可され、その受付係が認めた冒険者にカードが贈られる。
受付嬢は「こう見えて、私も人気ある方なんですよ」と小さく胸を張った。
たわわな果実がタプンと揺れて少し目やり場に困る。
それから小悪魔的な笑みと共に、ささやくように付け加えた。
「けっこう特別待遇なんですからね?」
ふわふわした印象とのギャップにちょっとドキっとしてしまった。
「そんなものを何で俺に? 俺はまだ何の実績も持ってないはずだが……」
「ウフフ、クラウドさんは良い冒険者になりそうですから」
「そうなのか?」
「ただのカンですけどね。私のカンは良く当たるんですよ?」
特に根拠はないらしい。
便利な物らしいのでありがたく受け取っておこう。
「だったら、あらためてよろしく頼むよ」
「えぇ、こちらこそ。私はカトレアといいます。よろしくお願いしますね」
「よろしく、カトレアさん」
さて、これで俺の目的は完了だ。
無事に冒険者になることができたので、仕事のあてもできたわけだ。
次は宿だな。
まずは基本的な生活費の水準を把握しよう。
クエストを受けるのはそれからでも遅くない。
「宿を探されているとの事でしたが、新人冒険者さんにオススメなのはギルドの向かいにある【巨人の親指亭】です。少々せまいですが格安のお部屋が用意されていますよ」
「そうなのか。助かる」
俺の考えを見透かしたようにカトレアさんが教えてくれた。
サンの方はと言うと、まだ報告用のカウンターで手続きをしているようだ。
その後ろでは相変わらずオーディエンスが盛り上がっている。
サンもギルドで進めたい手続きが色々あるらしく終わるまでに時間がかかるとは先に聞いていた。
その間は自由にしていて良いとは言われていたので、さっそくカトレアさんに教えてもらった宿の様子でも見てみる事にしよう。
夜には夕飯の店を決めてあるので、後でそこに集合する手はずになっている。
時間はまだたっぷりと余裕がある。
「おい兄ちゃん、ちょっと待ちな」
声をかけられたのはギルドを出たところだった。
元の世界だったら格闘技でもやってそうな体格の大男が声をかけてきたのだ。
「兄ちゃん、さっき受付嬢から何か貰ってなかったか?」
「ん? あぁ、ギルドカードを作ってもらったが」
「おう、見てたぜ。でも、他にも貰ってたよな?」
なんでそんな俺に注目しているんだこの男は?
指名手配書には顔写真のようなものはなかったから、バレてはないと思うんだが。
背格好から推測される可能性はあるため、用心して答えを選ぶ。
とりあえず、問題なさそうな事だけ答えておこう。
「んん? あとはカトレアさんのカードをもらっただけだな」
それを聞いて男の額に血管が浮き出た。
なんか予想と違う反応だ。
「お、お前みたいな新入りのガキが!! いったいどんな卑怯な手を使ったんだ!?」
何か怒らせるような事を言った覚えはないのだが、どうやら俺がカトレアさんのレセプトカードをもらった事に怒っているようだ。
「おい新入り! 素直に謝った方が良いぜ?」
「このままじゃヤバイぞ!?」
男が大声を出すからだろう、通りかかった冒険者らしい人達も声をかけてきた。
「なんでだ? 俺はただ冒険者登録しただけなんだが」
「そいつはモロウ! カトレアちゃんの大ファンなんだよ! この辺りじゃ有名なんだ!」
「モロウはカトレアちゃんに近づく男には容赦しない! ヤバイことになる前に謝りな!?」
なるほど、嫉妬か。
たしかに特別待遇とは言っていたから、誰にでも渡しているわけではないのだろう。
それを俺がもらったから嫉妬している……と。
こいつはもらえなかったのかもしれないな。
別に仕事の話なのだから嫉妬することではないと思うのだが。
見た目は筋肉モリモリの大男だが、頭の中は小学生なのか?
「やれやれ……」
とりあえず指名手配がバレたりしているわけではなさそうなので安心だ。
こんなところで目立ちたくはないから、あまり騒がないでもらいたいものだが……
さて、どうするか。
カードの記録が実績になり、クエストの証明などにも使われるらしい。
便利なシステムだ。
「実績がたまるとランクが上がるのか?」
「察しが良いんですね! その通りです。冒険者ランクは実績を積むことでD、C、B、Aと上がっていきます。さらに高難易度のクエストなどでギルドに認められる事で特別な階級であるSランク以上のランクに昇格することもできますよ」
「そうなのか。また後で詳しく聞かせてくれ」
「はい。いつでもお待ちしております。あ、それから、こちらもどうぞ」
去り際に、受付嬢が一枚のプレートを差し出してきた。
ギルドカードによく似たカードだ。
「これは?」
「私のレセプトカードです。受付係のギルドカードのようなものですよ。このカードがあれば担当として私を専属指名できるようになります」
「専属指名?」
「はい。ギルドには受付が持つ専属の依頼などがあるんですよ。それを受ける事ができるようになったりします」
受付係に求められる力は、物事を見極める力らしい。
クエストの依頼内容から難易度や必要な人材を見極め、そしてそれに対応した冒険者に依頼する事によってクエストの成功率があがるからだ。
その眼を認められた受付係はレセプトカードを作る事が許可され、その受付係が認めた冒険者にカードが贈られる。
受付嬢は「こう見えて、私も人気ある方なんですよ」と小さく胸を張った。
たわわな果実がタプンと揺れて少し目やり場に困る。
それから小悪魔的な笑みと共に、ささやくように付け加えた。
「けっこう特別待遇なんですからね?」
ふわふわした印象とのギャップにちょっとドキっとしてしまった。
「そんなものを何で俺に? 俺はまだ何の実績も持ってないはずだが……」
「ウフフ、クラウドさんは良い冒険者になりそうですから」
「そうなのか?」
「ただのカンですけどね。私のカンは良く当たるんですよ?」
特に根拠はないらしい。
便利な物らしいのでありがたく受け取っておこう。
「だったら、あらためてよろしく頼むよ」
「えぇ、こちらこそ。私はカトレアといいます。よろしくお願いしますね」
「よろしく、カトレアさん」
さて、これで俺の目的は完了だ。
無事に冒険者になることができたので、仕事のあてもできたわけだ。
次は宿だな。
まずは基本的な生活費の水準を把握しよう。
クエストを受けるのはそれからでも遅くない。
「宿を探されているとの事でしたが、新人冒険者さんにオススメなのはギルドの向かいにある【巨人の親指亭】です。少々せまいですが格安のお部屋が用意されていますよ」
「そうなのか。助かる」
俺の考えを見透かしたようにカトレアさんが教えてくれた。
サンの方はと言うと、まだ報告用のカウンターで手続きをしているようだ。
その後ろでは相変わらずオーディエンスが盛り上がっている。
サンもギルドで進めたい手続きが色々あるらしく終わるまでに時間がかかるとは先に聞いていた。
その間は自由にしていて良いとは言われていたので、さっそくカトレアさんに教えてもらった宿の様子でも見てみる事にしよう。
夜には夕飯の店を決めてあるので、後でそこに集合する手はずになっている。
時間はまだたっぷりと余裕がある。
「おい兄ちゃん、ちょっと待ちな」
声をかけられたのはギルドを出たところだった。
元の世界だったら格闘技でもやってそうな体格の大男が声をかけてきたのだ。
「兄ちゃん、さっき受付嬢から何か貰ってなかったか?」
「ん? あぁ、ギルドカードを作ってもらったが」
「おう、見てたぜ。でも、他にも貰ってたよな?」
なんでそんな俺に注目しているんだこの男は?
指名手配書には顔写真のようなものはなかったから、バレてはないと思うんだが。
背格好から推測される可能性はあるため、用心して答えを選ぶ。
とりあえず、問題なさそうな事だけ答えておこう。
「んん? あとはカトレアさんのカードをもらっただけだな」
それを聞いて男の額に血管が浮き出た。
なんか予想と違う反応だ。
「お、お前みたいな新入りのガキが!! いったいどんな卑怯な手を使ったんだ!?」
何か怒らせるような事を言った覚えはないのだが、どうやら俺がカトレアさんのレセプトカードをもらった事に怒っているようだ。
「おい新入り! 素直に謝った方が良いぜ?」
「このままじゃヤバイぞ!?」
男が大声を出すからだろう、通りかかった冒険者らしい人達も声をかけてきた。
「なんでだ? 俺はただ冒険者登録しただけなんだが」
「そいつはモロウ! カトレアちゃんの大ファンなんだよ! この辺りじゃ有名なんだ!」
「モロウはカトレアちゃんに近づく男には容赦しない! ヤバイことになる前に謝りな!?」
なるほど、嫉妬か。
たしかに特別待遇とは言っていたから、誰にでも渡しているわけではないのだろう。
それを俺がもらったから嫉妬している……と。
こいつはもらえなかったのかもしれないな。
別に仕事の話なのだから嫉妬することではないと思うのだが。
見た目は筋肉モリモリの大男だが、頭の中は小学生なのか?
「やれやれ……」
とりあえず指名手配がバレたりしているわけではなさそうなので安心だ。
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