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大切な思い出
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その日を境に社にはひっきりなしに人の気配を感じるようになった。どうやら尊が噂を広めてくれたらしい。神様は取っ付きやすい、普通のいい人だって。ほかの友達を社に招き入れる日も出てきた。最初は笑顔が強ばっていた神様も、段々とその顔がほぐれていくのが、わかった。
そうやって、周りに人の気配があるのが当たり前になったある日。掃除をしていると、彼にしては珍しく、どこも壊れていない、綺麗な箱がでてきた。しかも最近も使われているのか、ホコリひとつ被っていない。そんなもの、今まで見たことがなかったから。なんとなく気になって、シキを呼ぶ。
「シキー!この箱なんですか?」
「おう!……ってあーその箱か。ついに見つかっちまったな」
「見つかった、とは?」
うーんと微妙な顔でシキは言う。
「大切なものが入ってるから。今までお前にバレないように、たまに置き場を変えてたんだ」
「へー……大雑把なあなたが、そんなことを……」
自然、俺の頭には中身は何か、という問いが浮かび上がる。視線で開けてもいいかと問えば、シキはまあ、別に大丈夫だぞ!という顔で頷いた。
中身は、手紙だった。それも、大量の。
「シキ!これ!」
「あはは……なんかやっぱちょっと恥ずかしいな!」
一枚一枚手に取ると、だいぶ読み込まれたらしい。俺が送った時よりも随分とボロボロになっている。
「……引いたか?でも、読むの楽しくってな!今でもついつい読んじゃうんだ」
へへへと、照れくさそうに笑うシキ。俺はただただ、胸がいっぱいだった。
「っ……嬉しいです」
そんな顔を見られたくなくて、シキの胸板にぐりぐりと顔を埋める。
「なら、よかった~!ちょっと心配だったんだよな、嫌われないかって」
「そんなわけ!俺があなたを嫌いになるなんてそんなこと……」
ありえません、と言いかけて止まる。俺今、だいぶ恥ずかしいことを言っているのでは?ちらりと視線をあげれば、シキは花が綻んだように笑っていた。
「……ありがとな!!!俺も、何があってもお前が大好きだぞ!!!」
ぎゅうっと抱きしめられる。暖かくて落ち着く、優しい香り。たまには本音を言うのも悪くないか、なんて思って、俺は再度シキに顔を埋めた。
そうやって、周りに人の気配があるのが当たり前になったある日。掃除をしていると、彼にしては珍しく、どこも壊れていない、綺麗な箱がでてきた。しかも最近も使われているのか、ホコリひとつ被っていない。そんなもの、今まで見たことがなかったから。なんとなく気になって、シキを呼ぶ。
「シキー!この箱なんですか?」
「おう!……ってあーその箱か。ついに見つかっちまったな」
「見つかった、とは?」
うーんと微妙な顔でシキは言う。
「大切なものが入ってるから。今までお前にバレないように、たまに置き場を変えてたんだ」
「へー……大雑把なあなたが、そんなことを……」
自然、俺の頭には中身は何か、という問いが浮かび上がる。視線で開けてもいいかと問えば、シキはまあ、別に大丈夫だぞ!という顔で頷いた。
中身は、手紙だった。それも、大量の。
「シキ!これ!」
「あはは……なんかやっぱちょっと恥ずかしいな!」
一枚一枚手に取ると、だいぶ読み込まれたらしい。俺が送った時よりも随分とボロボロになっている。
「……引いたか?でも、読むの楽しくってな!今でもついつい読んじゃうんだ」
へへへと、照れくさそうに笑うシキ。俺はただただ、胸がいっぱいだった。
「っ……嬉しいです」
そんな顔を見られたくなくて、シキの胸板にぐりぐりと顔を埋める。
「なら、よかった~!ちょっと心配だったんだよな、嫌われないかって」
「そんなわけ!俺があなたを嫌いになるなんてそんなこと……」
ありえません、と言いかけて止まる。俺今、だいぶ恥ずかしいことを言っているのでは?ちらりと視線をあげれば、シキは花が綻んだように笑っていた。
「……ありがとな!!!俺も、何があってもお前が大好きだぞ!!!」
ぎゅうっと抱きしめられる。暖かくて落ち着く、優しい香り。たまには本音を言うのも悪くないか、なんて思って、俺は再度シキに顔を埋めた。
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