【急募】4人同時に求婚してきた時の対処法～クセの強い彼らに溺愛されて困ってます～

まさか

「お、大きい……」

思わず声が漏れてしまうくらい巨大なお屋敷の前に私はいた。深呼吸をして、静かにインターホンを鳴らす。数秒して、綺麗な声の女性が出た。

「はい、こちら神ノ杜家です」
「あの、古川と言います。ご兄弟の皆様はいらっしゃるでしょうか」
「…古川様という知り合いはおりません」
「えっと、皆様が宿泊したペンションの…」

途端、インターホン越しでもわかるくらい、女性が大きなため息をついた。

「全く、これで何度目ですか…いいですかお嬢さん、あなたは騙されたんです、遊ばれたんです。ご兄弟の皆様方は全く本気ではありません。すぐにお立ち去りください」

ぶつっと音がして切れる。やっぱ、り…
それからどうやって家に戻ったのかは記憶がない。帰ってからも、何事にも身を入れられずにいた。何もやる気が起きなくて、何とはなしに玄関に出る。

「はあ…信じた私ってばかみたい。あんなに信じないようにって気を付けてたのに…」

何度目かわからないその愚痴に呼応するように、聞きなれない音が耳をくすぐった。え、この音って…一度だけ、私はこの音を聞いている。ばらばらばらと風が舞う音。何かが、近づいてくる音。
ヘリは私の真正面にぴたりと着地した。
まさか、まさか。