【急募】4人同時に求婚してきた時の対処法～クセの強い彼らに溺愛されて困ってます～

宮治様と

ようやくリビングに辿りついた私は息も絶え絶えで。いや、今の何事！？東京ではこれも普通！？あ、でもお勉強って言ってた……善、意？でもそんなわけ……と、そこに、甘ったるい声が響いてきた。

「ねえ宮治さまあ、これからどこ行くんです～？お付き合いしますよお」
「書庫があるって聞いてね。そこに向かおうかと思ったんだけど……あ、みささん、ちょうどいいところに」

未だ熱い頬をパタパタ仰いで、表情を通常通り取り繕ってから、振り向く。

「はい、なんでしょうか宮治様」
「ここの書庫を見たいのだけれど、君が管理していると聞いてね。よかったら、案内してくれないかい？」
「はい、もちろんです……ですが、本当に私が好きな本を集めただけです。それでもよければ」

宮治様は、にっこりと頷いた。

ぺたぺたと、足音だけが響く。書庫はワインと一緒に地下にあった。灯りをつけても薄暗い。手元に懐中電灯をもって進む。

「へえ、ワインもあるんだ。保存状況としては最高だね」
「今からでも、良かったら出しますよ」
「本当かい？なら、お言葉に甘えようかな」

なんて話してるうちに書庫につく。どうぞ、と扉を開けて中に促す。

「ありがとう……これは」
「？何かおかしな点でもありましたでしょうか？」
「僕がずっと探していた本だ……！ずっと探していたんだけれど、見つからなかったんだよ。出版数も少なくてね？昔の本だから電子書籍もないし。ああ、やっと……ってごめんね。一方的に話し続けて」
「いえ……！すっっっっごく分かります！！！私もこの作者さん大好きで、ずっと探してて、近所の古本屋でたまたま見つけたんです！！！」
「本当かい？じゃあ、あれも読んだことあるかな……」

そのまましばらく。いけないことだとは分かりつつも、つい楽しくて本談義に参加してしまう。こんなに趣味が合う人がいるなんて！そんな気持ちだった。