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宰相様

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「チヨ殿」

学者さんと話をし終えて、一息ついていると宰相だと教えてもらった人から急に話しかけられた。

「はい、なんですか?」
「……あの方は幼い頃から様々な不遇に見舞われてきた。顔の傷も、片目が見えないのも、全て幼き頃、第一王子という理由で襲われて負った傷だ……怖くは、ないのか」

怖くないか。そういえば昼にもこんなこと言われたな。怖くて話しかけられないとか何とか。でもザキって別にいい領主だし、偉そうなところはあるけどビンタ許してくれたし、なんだかんだいい人では?それに傷くらい別にどうということはないし。そう素直に伝えれば驚かれる。と同時に、頭を下げられた。

「さ、宰相様!?こんなとこ他の人に見られでもしたら……」
「我らが王の本質をわかって下さり、ありがとう……本当にありがとう」

肩を震わす彼に、何気なく思い出す。そういえば宰相様は王の教育係でもあったそうだ。幼い頃から彼を育ててきた、いわば父親なのだろう。そんな暖かな雰囲気を感じとった。

「それはそれとして、でございます」

急に真顔になる宰相様。

「王を叩いたというのは真ですか」

……この後私はこってり絞られたのだった。
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