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第二十八話 インキュバスには犯されたくない その弐
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「…さ、先ほどはお見苦しいところをお見せして、誠に申し訳ございませんでした」
「い…いえ…うちの姉がなんかすみません…」
「ははは、そう照れるなアイレーン、可愛らしいイキ顔だったぞ♡ おっとルドヴィカ、可愛い妹とはいえ私の最愛の副官はやらないからな。決してつまみ食いしないように♡」
「いい加減にしろこのド変態将軍マジでぶっ殺すいつかぶっ殺す」
ルドヴィカが姉ソフィアの執務室を訪れてから30分後。
何ら関係ないルドヴィカの目の前で何十回となくクリイキさせられた挙句、涙やら汗やら潮やら愛液やらを巻き散らす様を晒しものにされたアイレーンは、呼吸を落ちつけてから軍服を身にまとうなり当然のことながら激怒した。
しかしながらソフィアは平然とした様子でアイレーンの尻をさわさわと撫でまわしている有様であり、実妹のルドヴィカとしては気まずいことこの上ない。
普段アールノート家の屋敷では常に毅然とした態度を取るソフィアのあまりの変貌ぶりに、ルドヴィカは「本当にこの人はあのソフィア姉様なのか」と怪しまざるを得なかった。
「すまんなルドヴィカ、この状態の私を見るのは初めてだろうから、さぞや驚いただろう。もともとお前は家族に対しても人見知りする子だったしな」
「は…はい…それはそうなんですけど…」
「というのも私は、男の眼があると対抗意識からつい恰好をつけてしまう癖があってな。父上や総帥の前では襟を正すが、もともとこれが本来の姿なんだ。もちろんさすがに実妹に手を出しはしないから安心してくれ、あっはっは♡」
(いやいや…実妹の目の前で平気でセックスできる女なんか安心できないって…)
「ソフィア将軍、そんなクソどうでもいいことよりもルドヴィカ様の質問に答えてさしあげるべきでは? 早いとこ仕事に戻らないとミハイル総帥にチクって将軍の座から引きずり落とすぞテメエ」
「おいおい、それはさすがに勘弁してくれ! 総帥に弱みを握られるのは何としてでも避けたい…」
つい先ほどまで「ソフィアしゃまっ♡♡♡ しゅきしゅきっ、だいしゅき♡♡♡ アイレーン以外の女なんか見ちゃらめえぇぇぇっ♡♡♡」などとあられもない喘ぎ声を発しながらソフィアに抱きついていたアイレーンが、今度は殺意を剥き出しにしてソフィアを睨みつけていることのギャップに、ルドヴィカは率直に「ツンギレ通り越して二重人格だろ」と思った。
しかしアイレーンの脅しが効いたのか、さしものソフィアも普段の精悍な顔つきへと戻って、所在なさげにソファに座り込むルドヴィカの正面へ腰を下ろす。
「…さすがは私の妹といったところか。まさにお前の推測の通りだ、ルドヴィカ」
「ではやはり、王国の重要人物が夢魔に取り憑かれている…ということなのですね」
「ああ。ただしこのことは軍部でも限られた人物しか知らない機密事項だ。決して口外しないでもらいたい…まあお前に限ってはその心配もないか」
ルドヴィカの極度の人嫌いを知るソフィアは、仮にルドヴィカが事実を知ったとてそれを吹聴する相手がいないと即座に理解したのか、声を顰めつつも夢魔に関わる機密事項を打ち明けてくれた。
「先月の話だ。騎士軍総帥にしてマイクラン公爵家の当主…ゴードン・マイクラン殿が、急病に倒れたということで療養に入られた」
「療養?」
「ああ、表向きは疲労ということになっているがな。だがゴードン総帥といえば、王国きっての剣の使い手にして“騎士の鑑”と謳われた豪傑。そのような御仁がたかだか疲労で療養に入るとは思えない…と訝しんだミハイル総帥が、独自に調査を遣わした」
(うっわ、厄介…。『休みたい時ぐらい休ませてやれよ』と思うのはわたしが元日本人だから…?)
「そうして明らかになったのが、ゴードン総帥の度を越した男娼遊び…というわけだ」
「…へ? 男娼?」
「ああ。なんでも少女と見まがうような外見の男娼を買っては、廃人になるまでいたぶり尽くすらしい」
思ってもみなかった単語が聞こえてきて、ルドヴィカはポカンと間の抜けた表情を浮かべてしまう。
というのもソフィアが先に申した通り、ゴードン・マイクランといえば国内では“騎士の鑑”と謳われるほどの傑物で、魔道に頼らない実力と公明正大な人柄により国民からの支持も厚い。
妻を愛し、子を慈しみ、主君への忠義に生きる、それこそがゴードン・マイクラン公爵という人物である、というのはさしものルドヴィカですら知っているローゼリアの共通認識だ。
そんな人物がそのように悪趣味な男娼遊びに呆けているというのは、英雄色を好むという言葉があることを差し引いても、ルドヴィカにとっては意外に思えたのである。
「そこでゴードン総帥の身体に残る魔導履歴を参照したところ、精力増大効果のある活性魔法を幾度となく自身に施していることが判明した」
(いやサラッと言ってるけど、魔導履歴を本人の同意なく参照するのって違法…。まあクロエ様にかけてた諸々の魔法のこととかバレてるあたり、あのオスガキにはそういうの関係ないんだろうけど…)
「そしてこれまでゴードン総帥にいたぶられていた男娼たちは、その殆どが魔力を枯渇寸前まで吸収されていた。これが何を意味するかわかるか?」
「えっと、つまり…。ゴードン総帥は性行為を通じて男娼から魔力を吸い取り、男娼を犯すために更に自分に精力増大の魔法を施していた…ということですか?」
「さすがは魔導学院を首席で卒業した秀才だな。だがひとつ奇妙な点が残る、それは…」
「ゴードンの脳筋馬鹿野郎ごときの魔力じゃあ、対人における魔力吸収なんてできっこない、ってことだよぉ~♪」
今この時に絶対に聞きたくなかった声が聞こえてきたので、ルドヴィカとソフィアは同時に「は!?」と素っ頓狂な声を漏らした。
2人が振り向いた先には案の定、外行き用らしき赤いケープ(あざといことにフリルとリボン付き)を羽織ったミハイル総帥その人がおり、天使のそれとしか言いようのない愛らしい笑みを携えている。
真っ先にアイレーンが敬礼すると、遅れてソフィアも立ち上がって敬礼の体勢を取り、軍人ではないルドヴィカは困惑しつつも会釈した。
「つまるところ精力増大の活性魔法も、男娼からの魔力吸収も、ゴードン自身の意志でやっていることじゃないわけ! わかる?」
「は…はぁ…」
「考えられるのは実体を持たない魔物に取り憑かれて、ゴードン自身の内部からそれらの魔法を施されているということ…。つまり夢魔に取り憑かれた可能性が最も高い! というのが僕とヴェイグの共同見解なの♡」
「えっ…お父様もご存じなんですか!?」
「当たり前じゃん、この国じゃボクを凌ぐ魔導の専門家なんだから~。ちなみに討伐方法の究明にルドヴィカ嬢を推薦したのもヴェイグだよん♡」
(お父様ぁ~~~~~っ!! 余計なことをしてくれやがったなぁ~~~っ!!)
思わぬところで身内に背後から撃たれたことを知ったルドヴィカは、今生の実父への殺意で腸が煮えくり返りそうだったが、何とか抑え込んだ。
事実、討伐方法の明らかになっていない魔物の討伐を依頼するならば、国内でも数少ない魔物の研究家であるルドヴィカが適任であることは間違いないのだが、ルドヴィカの自己認識では自分は魔物の研究家ではなく異種姦の探求者なのだ。
そのため「お門違いもいいところだ」と大声で叫びたい気分ではあったが、まさかそんなことを大声で宣言できるわけもないので、今はただ押し黙るよりほかない。
「ちなみにちなみに! 今のところ、ルドヴィカ嬢的にはどういう見解なの? 実体のない夢魔を討伐する手段はあると思う?」
「え、えーっと…」
ミハイルからの突然の質問に困惑しつつ、ルドヴィカは頭の中の情報を整理する。
以前モードが推測した通り、王国の重要人物…即ちゴードンが夢魔に取り憑かれていることが確定した。
つまるところ此度の依頼は、ゴードンに憑りついている夢魔を討伐し、彼を本来の姿に戻すことこそが目的だというわけだ。
肝心の討伐方法だが、ルドヴィカは過去に一度、夢魔と同じく“実体を持たない魔物”に分類される魔物を討伐したことがある。
かつてスピンドルの森にて出逢い、ルドヴィカの乳首をこれでもかと舐り倒してくれた樹の魔物、魔人樹だ。
魔人樹はその姿かたちから植物型の魔物と勘違いされやすいが、実体を持たぬ魔物が樹に憑りつくことで誕生するので、生態的には夢魔に近い。
そして魔人樹は樹という“実体を持つ器”を得たことでその無敵性を失い、ルドヴィカの炎魔法で樹もろとも焼かれ尽くしたことで死に至った。
夢魔も同じく何らかの形で『実体を得る』ことができれば討伐することは可能なのでは、というのが現状のルドヴィカの見解だ。
「(でもな~…だからってゴードン総帥ごとぶっ殺すわけにもいかないし、まずは総帥から夢魔を引っぺがす方法を探した方がいいよな~…)すみません、まだ何とも…」
「ふぅ~ん? ま、事は一刻を争うから、なる早でお願いね~♡」
「…って総帥、いったい何のためにお越しになられたんですか? ルドヴィカがここにいることを知ってたわけではないでしょう」
「それは完全に偶然だったんだけどぉ、騎士軍のお偉いから『お前んとこの将軍の女遊びどうにかしろ』っていちゃもんつけられて~? まさかボクの可愛い部下がそんなことするはずないよね~…って確かめに来たのぉ♡ で、どうなのソフィアぁ?」
「うっ…! そ、総帥、それはその…これにはワケがありまして…!」
「…ふっ、自業自得ね」
ミハイルの無邪気を装った真っ黒な微笑みに、ソフィアは青い顔で冷や汗をかき、アイレーンは心底楽しそうにほくそ笑む。
知りたい情報も取得し、このまま居残って面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだと即座に判断したルドヴィカは、脱兎のごとき勢いで「じゃあわたしは研究に戻りますんで!」とその場を後にしたのだった。
* * *
【一度憑りついた魔物を引き剥がす方法…でし?】
「そう、何かない?」
執務室を後にしたルドヴィカは、実はずっと潜伏魔法で姿を消しながら傍に控えていたスレミーに、さっそく質問を投げかけた。
次にすべきは夢魔の被害者であるゴードン・マイクランから夢魔を引き剥がすことであるが、いったいどのようにすれば魔物と人間を分離させられるかは、さしものルドヴィカにも全く想像がつかない。
現代に生息している魔物の生態を知るには、他ならぬ魔物のスレミーに頼るのが最も確実と言えよう。
【一番手っ取り早いのは宿主が死ぬことでしね! でも今回はそれだと不味いでしよね?】
「そうよ、あんたも人間社会ってものがわかってきたわね。なんとかゴードン総帥を生かしたまま、魔物だけを分離させたいんだけど…」
【うーん、なかなか難しいでしね~…。夢魔以外にも生き物に寄生するタイプの魔物はたくさんいるでしけど、宿主が死ぬまで寄生し続けるのが基本中の基本でし。そっちの方が魔力を安定して摂れるでしからね~】
「案外魔物も安定した暮らしを求めてるものなのね、なんか世知辛…。じゃあ仮に、ゴードン総帥に禁欲してもらって、宿主経由での魔力吸収ができないようにしたとしたら? 魔力が摂れなくなって、魔物も寄生先を変えるんじゃ?」
【でも宿主が役に立たなくなったら、スレミーだったら喰い殺しちゃうでしよ? 夢魔も同じだと思うでし!】
「そうだった、こいつら元をただせば人喰い種族だった…。異種姦プレイのしすぎでたまに忘れるけど…」
やはり既に取り憑かれた状態から人間と魔物を分離させるのは至難の業らしく、頼みのスレミーも頭(にあたる部位はないのだが)をうんうんと悩ませている。
しかしながらここで馬鹿正直に「ゴードン総帥ごと殺せば夢魔を討伐できます」などと言ったとして、それが聞き入れられるはずもなければ、そんなことを言ってのけたルドヴィカの立場も危うい。
いったいどうしたものか、とルドヴィカが深く思考に耽っていると、どこからともなく聞き覚えのある朗らかな声が聞こえてきた。
「おお! そこにいるのはルドヴィカ・アールノートではないか!」
「へ? …って、ク、クロエ様!?」
ルドヴィカに声をかけるなり猛スピードで駆け寄ってきた人物は、現在はソフィア率いる魔道軍第二師団に身を置いているというローゼリアの王女、クロエその人だった。
クロエは人懐っこい快活な笑みを浮かべながら、自身に何度となく忘却魔法と時間逆行魔法を施している人物にそれとは知らず近づいてくる。
「久しいな、ルドヴィカよ! 古代竜討伐の折には随分と迷惑をかけてしまった! 改めてすまない!」
「い、いえ、その、大したことはしてないんで…」
「しかしお前とこんなところで相まみえるとは思ってもみなかったぞ。姉君のソフィア将軍に用があるのか? ならば、このクロエが執務室まで案内してやろう!」
「だ、大丈夫です、もう用事は終わったんで…!」
遠慮なしにグイグイと距離を詰めてくるクロエに対して、ルドヴィカは何とかこの場をやり過ごそうと目を逸らす。
今自分がこうしてミハイルに難題を押し付けられているのは、元をただせばクロエと関わったことが発端であるので、ルドヴィカとしてはなるべくもう関わりたくないのだ。
しかし当のクロエにはそんな意識は勿論無いので、これまで窮地を救ってくれた相手(だと思っている)ルドヴィカに親しみを抱くのは無理もないことだった。
「わ、わたしのことは放っておいてもらっていいんで…。クロエ様は軍のお仕事に戻ってください、ほんとお願いしますので…」
「案ずるな、今日は休息日だ! よく休むことも兵の務めだからな!」
「(ああああもおおおタイミング悪ううううう…!)じゃ、じゃあお休みを満喫してください、わたしはこれで…」
「おお、クロエ王女殿下! こんなところにおられたのですね!」
「む?」
次から次へと増えてくる人の気配に、ルドヴィカのストレス指数がどっと倍増していく。
今度は何かと思って声のする方へ振り向けば、王国騎士軍の白い軍服を身にまとった貴族風の優男が、前髪を撫でつけながらクロエのもとへと歩み寄ってきた。
「おお、ジュード殿! 約束の時間にはまだ早いはずでは?」
「申し訳ありません。このジュード、王女殿下との逢瀬が待ちきれず…。いち早くはせ参じた次第でございます」
(なんか知らんけどわたし帰ってよさそうだな、よし帰ろう! いくよスレミー!)
「…おや、そこの魔導士は? 見たところ軍属ではないようですが」
「おお、2人は初対面か? この者はアールノート伯爵家の三女、ルドヴィカ・アールノートだ! これまで幾度となくわたしの窮地を救ってくれた恩人でな!」
(あああああもおおおお余計なことすんなってええええええええ!)
何の悪気もなく会話の輪にルドヴィカを放り込んだクロエを恨めしく思いながら、家名を出された手前一応の挨拶は済ませなければと、ルドヴィカが問題の優男に向き直る。
優男は明らかに敵意剥き出しの眼でルドヴィカを睨みつけていたので全く気は乗らなかったが、貴族に生まれた以上はある程度の相応しい振る舞いをしなければ、後で父にどんな文句をつけられるかわかったものではない。
「は…初めまして。アールノート伯爵家当主ヴェイグの娘、ルドヴィカ・アールノートと申します」
「…マイクラン公爵家当主ゴードンが長子、ジュード・マイクランだ」
(え…マイクラン公爵家?)
まさかこの優男が、今まさに問題の渦中にいる男、ゴードン・マイクランの息子だったとは。
ルドヴィカはよくできた偶然に驚きつつも、“騎士の鑑”と謳われた男の息子にしては随分となよなよした男だな、とそんなことを思った。
とはいえ名門貴族の出でありながら重度のド変態であるルドヴィカは、他人のことをあれこれと言える立場ではないのだが。
一応最低限の挨拶を終えたルドヴィカはそれ以上何も言わず、ジュードもルドヴィカにかまける時間などないと思ったのか、一転して愛想のいい笑みを浮かべてクロエへと向き直った。
「馬車を用意しておりますので、殿下さえよければ今すぐにでも参りましょう。あなた様の声を聞ければ、我が父もきっと喜びます」
「うむ、承知した。しかしあのゴードンが疲労で倒れるとは…俄かには信じられんな」
「…え? ク、クロエ様、それって…」
「む、知らないのか? マイクラン公爵家当主のゴードンは現在療養中でな。これからわたしも見舞いに赴くところなのだ」
「…えっ、えーーーっ!?」
クロエがけろっと言いのけた発言内容に、ルドヴィカが思わず間の抜けた声を上げる。
無論、ゴードンが療養中と称して男娼遊びに耽っていることは知っているので、それに驚いたわけではない。
問題は、他ならぬゴードンのもとに、よりにもよってクロエが赴くということだ。
ミハイル曰く、クロエは老若男女問わず他社の理性を狂わせる謎の魔性の持ち主であり、今まで数えきれないほど処女喪失からの快楽堕ちを繰り返しているという。
そんな人物が、夢魔によって精力増大の活性魔法が絶えず施されているという、姓欲の塊ことゴードンのもとを訪れるというのは…。
(ネギがカモ背負って地雷原に特攻するようなものでしょ、そんなのーーー!!)
「ではルドヴィカ、名残惜しいがわたしはこれで…」
「すみません!! それわたしも一緒に行っていいですか!?」
【え!? ご主人様、どうしたでしか!? あんなに人間大嫌いだったでしのに!】
「おぉ!? そうか、ルドヴィカもゴードンの身を案じているのだな! さすがはローゼリアの英雄、民の支持が厚いようで何よりだ! ジュード殿、ルドヴィカも同行して構わんな?」
「で…殿下が仰るなら…構いませんが…ぐぬぬ…」
咄嗟に口をついて出た主人の言葉にスレミーが身体をぷるぷると震わせながら驚愕し、当のルドヴィカも発言の数秒後には「あれ、わたしなんでこんなこと言い出した?」と後悔する羽目になったが、無論クロエがそんなことに気付くはずもなかった。
「い…いえ…うちの姉がなんかすみません…」
「ははは、そう照れるなアイレーン、可愛らしいイキ顔だったぞ♡ おっとルドヴィカ、可愛い妹とはいえ私の最愛の副官はやらないからな。決してつまみ食いしないように♡」
「いい加減にしろこのド変態将軍マジでぶっ殺すいつかぶっ殺す」
ルドヴィカが姉ソフィアの執務室を訪れてから30分後。
何ら関係ないルドヴィカの目の前で何十回となくクリイキさせられた挙句、涙やら汗やら潮やら愛液やらを巻き散らす様を晒しものにされたアイレーンは、呼吸を落ちつけてから軍服を身にまとうなり当然のことながら激怒した。
しかしながらソフィアは平然とした様子でアイレーンの尻をさわさわと撫でまわしている有様であり、実妹のルドヴィカとしては気まずいことこの上ない。
普段アールノート家の屋敷では常に毅然とした態度を取るソフィアのあまりの変貌ぶりに、ルドヴィカは「本当にこの人はあのソフィア姉様なのか」と怪しまざるを得なかった。
「すまんなルドヴィカ、この状態の私を見るのは初めてだろうから、さぞや驚いただろう。もともとお前は家族に対しても人見知りする子だったしな」
「は…はい…それはそうなんですけど…」
「というのも私は、男の眼があると対抗意識からつい恰好をつけてしまう癖があってな。父上や総帥の前では襟を正すが、もともとこれが本来の姿なんだ。もちろんさすがに実妹に手を出しはしないから安心してくれ、あっはっは♡」
(いやいや…実妹の目の前で平気でセックスできる女なんか安心できないって…)
「ソフィア将軍、そんなクソどうでもいいことよりもルドヴィカ様の質問に答えてさしあげるべきでは? 早いとこ仕事に戻らないとミハイル総帥にチクって将軍の座から引きずり落とすぞテメエ」
「おいおい、それはさすがに勘弁してくれ! 総帥に弱みを握られるのは何としてでも避けたい…」
つい先ほどまで「ソフィアしゃまっ♡♡♡ しゅきしゅきっ、だいしゅき♡♡♡ アイレーン以外の女なんか見ちゃらめえぇぇぇっ♡♡♡」などとあられもない喘ぎ声を発しながらソフィアに抱きついていたアイレーンが、今度は殺意を剥き出しにしてソフィアを睨みつけていることのギャップに、ルドヴィカは率直に「ツンギレ通り越して二重人格だろ」と思った。
しかしアイレーンの脅しが効いたのか、さしものソフィアも普段の精悍な顔つきへと戻って、所在なさげにソファに座り込むルドヴィカの正面へ腰を下ろす。
「…さすがは私の妹といったところか。まさにお前の推測の通りだ、ルドヴィカ」
「ではやはり、王国の重要人物が夢魔に取り憑かれている…ということなのですね」
「ああ。ただしこのことは軍部でも限られた人物しか知らない機密事項だ。決して口外しないでもらいたい…まあお前に限ってはその心配もないか」
ルドヴィカの極度の人嫌いを知るソフィアは、仮にルドヴィカが事実を知ったとてそれを吹聴する相手がいないと即座に理解したのか、声を顰めつつも夢魔に関わる機密事項を打ち明けてくれた。
「先月の話だ。騎士軍総帥にしてマイクラン公爵家の当主…ゴードン・マイクラン殿が、急病に倒れたということで療養に入られた」
「療養?」
「ああ、表向きは疲労ということになっているがな。だがゴードン総帥といえば、王国きっての剣の使い手にして“騎士の鑑”と謳われた豪傑。そのような御仁がたかだか疲労で療養に入るとは思えない…と訝しんだミハイル総帥が、独自に調査を遣わした」
(うっわ、厄介…。『休みたい時ぐらい休ませてやれよ』と思うのはわたしが元日本人だから…?)
「そうして明らかになったのが、ゴードン総帥の度を越した男娼遊び…というわけだ」
「…へ? 男娼?」
「ああ。なんでも少女と見まがうような外見の男娼を買っては、廃人になるまでいたぶり尽くすらしい」
思ってもみなかった単語が聞こえてきて、ルドヴィカはポカンと間の抜けた表情を浮かべてしまう。
というのもソフィアが先に申した通り、ゴードン・マイクランといえば国内では“騎士の鑑”と謳われるほどの傑物で、魔道に頼らない実力と公明正大な人柄により国民からの支持も厚い。
妻を愛し、子を慈しみ、主君への忠義に生きる、それこそがゴードン・マイクラン公爵という人物である、というのはさしものルドヴィカですら知っているローゼリアの共通認識だ。
そんな人物がそのように悪趣味な男娼遊びに呆けているというのは、英雄色を好むという言葉があることを差し引いても、ルドヴィカにとっては意外に思えたのである。
「そこでゴードン総帥の身体に残る魔導履歴を参照したところ、精力増大効果のある活性魔法を幾度となく自身に施していることが判明した」
(いやサラッと言ってるけど、魔導履歴を本人の同意なく参照するのって違法…。まあクロエ様にかけてた諸々の魔法のこととかバレてるあたり、あのオスガキにはそういうの関係ないんだろうけど…)
「そしてこれまでゴードン総帥にいたぶられていた男娼たちは、その殆どが魔力を枯渇寸前まで吸収されていた。これが何を意味するかわかるか?」
「えっと、つまり…。ゴードン総帥は性行為を通じて男娼から魔力を吸い取り、男娼を犯すために更に自分に精力増大の魔法を施していた…ということですか?」
「さすがは魔導学院を首席で卒業した秀才だな。だがひとつ奇妙な点が残る、それは…」
「ゴードンの脳筋馬鹿野郎ごときの魔力じゃあ、対人における魔力吸収なんてできっこない、ってことだよぉ~♪」
今この時に絶対に聞きたくなかった声が聞こえてきたので、ルドヴィカとソフィアは同時に「は!?」と素っ頓狂な声を漏らした。
2人が振り向いた先には案の定、外行き用らしき赤いケープ(あざといことにフリルとリボン付き)を羽織ったミハイル総帥その人がおり、天使のそれとしか言いようのない愛らしい笑みを携えている。
真っ先にアイレーンが敬礼すると、遅れてソフィアも立ち上がって敬礼の体勢を取り、軍人ではないルドヴィカは困惑しつつも会釈した。
「つまるところ精力増大の活性魔法も、男娼からの魔力吸収も、ゴードン自身の意志でやっていることじゃないわけ! わかる?」
「は…はぁ…」
「考えられるのは実体を持たない魔物に取り憑かれて、ゴードン自身の内部からそれらの魔法を施されているということ…。つまり夢魔に取り憑かれた可能性が最も高い! というのが僕とヴェイグの共同見解なの♡」
「えっ…お父様もご存じなんですか!?」
「当たり前じゃん、この国じゃボクを凌ぐ魔導の専門家なんだから~。ちなみに討伐方法の究明にルドヴィカ嬢を推薦したのもヴェイグだよん♡」
(お父様ぁ~~~~~っ!! 余計なことをしてくれやがったなぁ~~~っ!!)
思わぬところで身内に背後から撃たれたことを知ったルドヴィカは、今生の実父への殺意で腸が煮えくり返りそうだったが、何とか抑え込んだ。
事実、討伐方法の明らかになっていない魔物の討伐を依頼するならば、国内でも数少ない魔物の研究家であるルドヴィカが適任であることは間違いないのだが、ルドヴィカの自己認識では自分は魔物の研究家ではなく異種姦の探求者なのだ。
そのため「お門違いもいいところだ」と大声で叫びたい気分ではあったが、まさかそんなことを大声で宣言できるわけもないので、今はただ押し黙るよりほかない。
「ちなみにちなみに! 今のところ、ルドヴィカ嬢的にはどういう見解なの? 実体のない夢魔を討伐する手段はあると思う?」
「え、えーっと…」
ミハイルからの突然の質問に困惑しつつ、ルドヴィカは頭の中の情報を整理する。
以前モードが推測した通り、王国の重要人物…即ちゴードンが夢魔に取り憑かれていることが確定した。
つまるところ此度の依頼は、ゴードンに憑りついている夢魔を討伐し、彼を本来の姿に戻すことこそが目的だというわけだ。
肝心の討伐方法だが、ルドヴィカは過去に一度、夢魔と同じく“実体を持たない魔物”に分類される魔物を討伐したことがある。
かつてスピンドルの森にて出逢い、ルドヴィカの乳首をこれでもかと舐り倒してくれた樹の魔物、魔人樹だ。
魔人樹はその姿かたちから植物型の魔物と勘違いされやすいが、実体を持たぬ魔物が樹に憑りつくことで誕生するので、生態的には夢魔に近い。
そして魔人樹は樹という“実体を持つ器”を得たことでその無敵性を失い、ルドヴィカの炎魔法で樹もろとも焼かれ尽くしたことで死に至った。
夢魔も同じく何らかの形で『実体を得る』ことができれば討伐することは可能なのでは、というのが現状のルドヴィカの見解だ。
「(でもな~…だからってゴードン総帥ごとぶっ殺すわけにもいかないし、まずは総帥から夢魔を引っぺがす方法を探した方がいいよな~…)すみません、まだ何とも…」
「ふぅ~ん? ま、事は一刻を争うから、なる早でお願いね~♡」
「…って総帥、いったい何のためにお越しになられたんですか? ルドヴィカがここにいることを知ってたわけではないでしょう」
「それは完全に偶然だったんだけどぉ、騎士軍のお偉いから『お前んとこの将軍の女遊びどうにかしろ』っていちゃもんつけられて~? まさかボクの可愛い部下がそんなことするはずないよね~…って確かめに来たのぉ♡ で、どうなのソフィアぁ?」
「うっ…! そ、総帥、それはその…これにはワケがありまして…!」
「…ふっ、自業自得ね」
ミハイルの無邪気を装った真っ黒な微笑みに、ソフィアは青い顔で冷や汗をかき、アイレーンは心底楽しそうにほくそ笑む。
知りたい情報も取得し、このまま居残って面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだと即座に判断したルドヴィカは、脱兎のごとき勢いで「じゃあわたしは研究に戻りますんで!」とその場を後にしたのだった。
* * *
【一度憑りついた魔物を引き剥がす方法…でし?】
「そう、何かない?」
執務室を後にしたルドヴィカは、実はずっと潜伏魔法で姿を消しながら傍に控えていたスレミーに、さっそく質問を投げかけた。
次にすべきは夢魔の被害者であるゴードン・マイクランから夢魔を引き剥がすことであるが、いったいどのようにすれば魔物と人間を分離させられるかは、さしものルドヴィカにも全く想像がつかない。
現代に生息している魔物の生態を知るには、他ならぬ魔物のスレミーに頼るのが最も確実と言えよう。
【一番手っ取り早いのは宿主が死ぬことでしね! でも今回はそれだと不味いでしよね?】
「そうよ、あんたも人間社会ってものがわかってきたわね。なんとかゴードン総帥を生かしたまま、魔物だけを分離させたいんだけど…」
【うーん、なかなか難しいでしね~…。夢魔以外にも生き物に寄生するタイプの魔物はたくさんいるでしけど、宿主が死ぬまで寄生し続けるのが基本中の基本でし。そっちの方が魔力を安定して摂れるでしからね~】
「案外魔物も安定した暮らしを求めてるものなのね、なんか世知辛…。じゃあ仮に、ゴードン総帥に禁欲してもらって、宿主経由での魔力吸収ができないようにしたとしたら? 魔力が摂れなくなって、魔物も寄生先を変えるんじゃ?」
【でも宿主が役に立たなくなったら、スレミーだったら喰い殺しちゃうでしよ? 夢魔も同じだと思うでし!】
「そうだった、こいつら元をただせば人喰い種族だった…。異種姦プレイのしすぎでたまに忘れるけど…」
やはり既に取り憑かれた状態から人間と魔物を分離させるのは至難の業らしく、頼みのスレミーも頭(にあたる部位はないのだが)をうんうんと悩ませている。
しかしながらここで馬鹿正直に「ゴードン総帥ごと殺せば夢魔を討伐できます」などと言ったとして、それが聞き入れられるはずもなければ、そんなことを言ってのけたルドヴィカの立場も危うい。
いったいどうしたものか、とルドヴィカが深く思考に耽っていると、どこからともなく聞き覚えのある朗らかな声が聞こえてきた。
「おお! そこにいるのはルドヴィカ・アールノートではないか!」
「へ? …って、ク、クロエ様!?」
ルドヴィカに声をかけるなり猛スピードで駆け寄ってきた人物は、現在はソフィア率いる魔道軍第二師団に身を置いているというローゼリアの王女、クロエその人だった。
クロエは人懐っこい快活な笑みを浮かべながら、自身に何度となく忘却魔法と時間逆行魔法を施している人物にそれとは知らず近づいてくる。
「久しいな、ルドヴィカよ! 古代竜討伐の折には随分と迷惑をかけてしまった! 改めてすまない!」
「い、いえ、その、大したことはしてないんで…」
「しかしお前とこんなところで相まみえるとは思ってもみなかったぞ。姉君のソフィア将軍に用があるのか? ならば、このクロエが執務室まで案内してやろう!」
「だ、大丈夫です、もう用事は終わったんで…!」
遠慮なしにグイグイと距離を詰めてくるクロエに対して、ルドヴィカは何とかこの場をやり過ごそうと目を逸らす。
今自分がこうしてミハイルに難題を押し付けられているのは、元をただせばクロエと関わったことが発端であるので、ルドヴィカとしてはなるべくもう関わりたくないのだ。
しかし当のクロエにはそんな意識は勿論無いので、これまで窮地を救ってくれた相手(だと思っている)ルドヴィカに親しみを抱くのは無理もないことだった。
「わ、わたしのことは放っておいてもらっていいんで…。クロエ様は軍のお仕事に戻ってください、ほんとお願いしますので…」
「案ずるな、今日は休息日だ! よく休むことも兵の務めだからな!」
「(ああああもおおおタイミング悪ううううう…!)じゃ、じゃあお休みを満喫してください、わたしはこれで…」
「おお、クロエ王女殿下! こんなところにおられたのですね!」
「む?」
次から次へと増えてくる人の気配に、ルドヴィカのストレス指数がどっと倍増していく。
今度は何かと思って声のする方へ振り向けば、王国騎士軍の白い軍服を身にまとった貴族風の優男が、前髪を撫でつけながらクロエのもとへと歩み寄ってきた。
「おお、ジュード殿! 約束の時間にはまだ早いはずでは?」
「申し訳ありません。このジュード、王女殿下との逢瀬が待ちきれず…。いち早くはせ参じた次第でございます」
(なんか知らんけどわたし帰ってよさそうだな、よし帰ろう! いくよスレミー!)
「…おや、そこの魔導士は? 見たところ軍属ではないようですが」
「おお、2人は初対面か? この者はアールノート伯爵家の三女、ルドヴィカ・アールノートだ! これまで幾度となくわたしの窮地を救ってくれた恩人でな!」
(あああああもおおおお余計なことすんなってええええええええ!)
何の悪気もなく会話の輪にルドヴィカを放り込んだクロエを恨めしく思いながら、家名を出された手前一応の挨拶は済ませなければと、ルドヴィカが問題の優男に向き直る。
優男は明らかに敵意剥き出しの眼でルドヴィカを睨みつけていたので全く気は乗らなかったが、貴族に生まれた以上はある程度の相応しい振る舞いをしなければ、後で父にどんな文句をつけられるかわかったものではない。
「は…初めまして。アールノート伯爵家当主ヴェイグの娘、ルドヴィカ・アールノートと申します」
「…マイクラン公爵家当主ゴードンが長子、ジュード・マイクランだ」
(え…マイクラン公爵家?)
まさかこの優男が、今まさに問題の渦中にいる男、ゴードン・マイクランの息子だったとは。
ルドヴィカはよくできた偶然に驚きつつも、“騎士の鑑”と謳われた男の息子にしては随分となよなよした男だな、とそんなことを思った。
とはいえ名門貴族の出でありながら重度のド変態であるルドヴィカは、他人のことをあれこれと言える立場ではないのだが。
一応最低限の挨拶を終えたルドヴィカはそれ以上何も言わず、ジュードもルドヴィカにかまける時間などないと思ったのか、一転して愛想のいい笑みを浮かべてクロエへと向き直った。
「馬車を用意しておりますので、殿下さえよければ今すぐにでも参りましょう。あなた様の声を聞ければ、我が父もきっと喜びます」
「うむ、承知した。しかしあのゴードンが疲労で倒れるとは…俄かには信じられんな」
「…え? ク、クロエ様、それって…」
「む、知らないのか? マイクラン公爵家当主のゴードンは現在療養中でな。これからわたしも見舞いに赴くところなのだ」
「…えっ、えーーーっ!?」
クロエがけろっと言いのけた発言内容に、ルドヴィカが思わず間の抜けた声を上げる。
無論、ゴードンが療養中と称して男娼遊びに耽っていることは知っているので、それに驚いたわけではない。
問題は、他ならぬゴードンのもとに、よりにもよってクロエが赴くということだ。
ミハイル曰く、クロエは老若男女問わず他社の理性を狂わせる謎の魔性の持ち主であり、今まで数えきれないほど処女喪失からの快楽堕ちを繰り返しているという。
そんな人物が、夢魔によって精力増大の活性魔法が絶えず施されているという、姓欲の塊ことゴードンのもとを訪れるというのは…。
(ネギがカモ背負って地雷原に特攻するようなものでしょ、そんなのーーー!!)
「ではルドヴィカ、名残惜しいがわたしはこれで…」
「すみません!! それわたしも一緒に行っていいですか!?」
【え!? ご主人様、どうしたでしか!? あんなに人間大嫌いだったでしのに!】
「おぉ!? そうか、ルドヴィカもゴードンの身を案じているのだな! さすがはローゼリアの英雄、民の支持が厚いようで何よりだ! ジュード殿、ルドヴィカも同行して構わんな?」
「で…殿下が仰るなら…構いませんが…ぐぬぬ…」
咄嗟に口をついて出た主人の言葉にスレミーが身体をぷるぷると震わせながら驚愕し、当のルドヴィカも発言の数秒後には「あれ、わたしなんでこんなこと言い出した?」と後悔する羽目になったが、無論クロエがそんなことに気付くはずもなかった。
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