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第一章 化掃士起隕編
第22話 次戦双戦①
しおりを挟む巳門アカリ
宇都宮雨
VS
六草進之助
殻九里おとり
ルール
僕は試合が終わりA戦闘室の横にあるチームごとに用意されている観戦室に入った。観戦室も戦闘室と同様に壁面は真っ白で広さは約10畳ほど、フィールド内を様々な角度から映しているモニターが幾つかあり、その前にテーブルとそれを囲うように椅子が5脚置かれてあった。そのうちの2脚に雨とアカリが座っていた。
「「お疲れ様、日出!」」
アカリと雨が立ち上がった。
「すいません勝てませんでした……」
僕は、目線を下にしながら細々とした声で返事した。そして、僕は試合で起きたことを詳細かつ簡潔に説明した。
「なるほど、雨の理について勘付かれている可能性が高いのね」
「そうです。世成の理は相手チームも知っているはずなので。次の試合で相手チームはかなり警戒してくると思います」
「大丈夫ですよ刻さん! アカリちゃんと入念に作戦を立てましたから!」
「そうよ日出、安心して、私たち負けるつもりないから!」
「分かりました。信じてます」
雨とアカリは深く頷いた。
「世成がいないようですけどトイレですか?」
「あの馬鹿、『やっておきたいことがある~』とか言って日出の試合が終わった後にどこかに行ったわ」
「なるほど….‥」
僕には見当もつかなかった。
「私たち、そろそろ時間だから行ってくるわね。あと、さっきの試合はモニターにあるQRコードを記憶機で読み込むと自分の端末に保存できるらしいから忘れないようにね」
「了解、そうしておきます。では、お2人さん頑張ってください! 声は届きませんが応援してます」
2人は手を高く挙げ観戦室を後にした。
アカリと雨はフィールド内に足を踏み入れた。
フィールドを隈なく目を通してみたがさきほどと変化は無さそうだった。
前から2人の男女が歩いてきた。男子の方は体格は横にも縦にも大きいが顔は穏やかでそれほど威圧感はなかった。反対に女子の方はアカリたちとさほど変わらない体型で横の男子と並んで見ると尚更小さく見えた。
「巳門アカリよ、よろしく」
「宇都宮雨と言います。よろしくお願いします」
「せーの!」
相手の2人は急に掛け声をかけた。
「おいは六草進之助!」
「私は殻九里おとり!」
「「2人合わせて~ロッキューコンビ!」」
2人は掌と指でそれぞれ6と9を示しながら腕を突き出した。
(だっさ~、苗字の六と九からとったのね、安直だわ~)
アカリは口をポカンとあけた。
「それカッコいいですね‼︎ アカリちゃん私たちもしますか?」
雨は目をキラキラさせていた。
「いやいや大丈夫だから、雨ちゃん。今は試合に集中しよう!」
雨も変なとこあるからな~
「私もしたかったのにな~」
雨は肩を落とした。
「おとりちゃん! 今日も完璧に決まったな~ポ・ー・ズ!」
進之助はそう言いながらもう一度ジェスチャーをした。
「やっぱり練習した甲斐あったね~。アカリンも遠慮せずマネしていいのよ?」
アカリは不気味な笑顔作った。
(コイツらには負けられない、というか負けるわけない、ポーズの練習する奴らなんかに!あと私の名前を気安く呼ぶな!)
アカリは内心悶々としていた。
「うんうん元気でよろしい! マッスルマッスル! じゃあ第二種目ペイントボール始めるぜ。〝制限時間は10分〟ルールは端末に送ったお通りだ。質問ある人いるか?」
「はーい、ゴリラせんせー質問でーす」
おとりが手をあけだ。
「……ゴリゴリ。で、質問とはなんだい?」
ゴリラは俺の理のことかそれとも比喩なのか……
「ルール説明にはボールの偽造、強化は禁止とあったけど例えば、銃にボールを装填して弾丸のように発射するのはアリですか?」
「それはセーフだ。ボール自体を強化してる訳じゃないからね。ボール自体を強化しなければセーフと考えてもらって大丈夫だ」
「了解でーす」
おとりは口を大きく開けながら同意した。
(相手にはボールを発射できる理がいると考えるのが自然よね? でも信用するのは危険だわ、とりあえず距離をとるべき)
アカリは思考を巡らせた。雨も頷いてアカリとコンタクトをとった。
そうこうしているうちにデジタル時計が600にセットされ、その下に得点用の0の表示が2つ並んでいた。
「自分のフィールド側に表示されている数字が自分たちの稼いだ点数になるボールは、壁の後ろにあるから間違えて踏みつけないようにな。そして初戦と同様、理の強化はアリだ。健闘を祈る、マッスルマッスル!」
「ピーッ」という音とともに第二戦が始まった。
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