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第一章 化掃士起隕編 

第12話 起隕種

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「では、世成くん! 起隕種きいんしゅとはなんですか?」

「そんくらいは知ってますよ。イデアが使える原因となった人間の感情ですよね?」
 世成は自身満々に言った。

「その通り! 珍しく当たってるわね」
 胡桃は嬉しそうに微笑んだ。

「あまり馬鹿にしないでくださいよ、先生」

「これからも期待してるわよ、世成君。それでは、〝起隕きいん〟について少し深掘りするわね。起隕きいんするときには眼球周辺が光るんだけど世成君の起隕種きいんしゅアートは何色に光るか知ってる?」

「えっと……白色!」

「正解! かなり難しい問題だったけどよく分かったわね」

「いや~それほどでも~」

(今日は〝勘〟が冴えてるな~)

 (アカリ、雨)[絶対、飛鳥(さん)勘だろ、私でも知らなかったことだから……]

「残りの起隕種きいんしゅは、私が説明するね。現在確認されている起隕種きいんしゅは、全部で8種あります。デウンアートローザバネドイースティアハピアオーブです」

「そういや、ローザ隕集物オーブも1つの起隕種きいんしゅとしてカウントされるんだな~」

「そうよ、人間の場合は、感情や生命の状態が名前になっているから分かりやすいわ。そして起隕光きいんこうはそれぞれ、デウン→不明、アート→白、ローザ→赤、バネド→紫、イース→青、ティア→緑、ハピア→黄、オーブ→灰となっているわ」

「俺的にバネドは赤のイメージなんだけどな~」
 世成は捻くれたことを言っている。

「テストに出るから素直に覚えておくように、じゃあ刻君、推測でいいのだけどデウン起隕光きいんこうが不明な理由は何か分かる?」

 起隕種きいんしゅデウン起隕者きいんしゅはこの世で黒矢尽さん1人だけとされているので、観測されていないからだと思います」

「さすが刻君、正解だわ。だから彼は必然的に起隕種きいんしゅの中で、隕子量が1番多い起隕者きいんしゃを指す司隕師しいんし———俗称〝ナンバー〟ってことになるわけ。黒矢に関してはテストに出ないと思うけど起隕光きいんこうに関してはテストに出るから覚えておくように!」

「「「はーい」」」

 僕以外の3人は僕読みで返事をした。

「次も起隕きいんについて深掘りするわよ」

 3人は「またかよ」という歪んだ顔をした。

 僕は「はい!」と大きく返事をした。

(好奇心旺盛なこと……)
 アカリは僕を呆れた目で見た。

「皆んなもその中の1人に含まれている起隕者きいんしゃが爆発的に多い世代をなんて言うか知ってる?……世成君、言ってちょうだい!」

「〝黄金世代ニューエイジ〟」
 世成は堂々と答えた。

「おお~世成君何があったの?今日は冴えてるわね」

「訓練校の先生やトジの奴らに散々言われてきたし、何よりカッケーので覚えてました!」

「なるほど、世成君らしいわね。黄金世代ニューエイジは、主に2018から2022年に生まれた子供を指す言葉よ、明確な区切りがあるわけではないけどね。あなたたちは、この業界の救世主的な存在なの。だから、この言葉が作られたの、期待を込めてね。正直、この世代でシュタインをどうにかしないと、下手したら人類滅亡なんてことになるかもしれないからね」

「めっちゃプレッシャーかけてきますね。望むところですけど」
 世成は自身満々に宣言したが、僕とアカリ、雨は「人類滅亡」という言葉に震え慄いていた。

「まぁ、人類滅亡は言い過ぎかもしれないけど人類の代表として化掃かそうに努めてねってこと。そして、私が何が言いたいかというと、何故あなたちちの世代は起隕きいんしやすいかということです。これ誰か分かる人いる?」

 僕は、優等生のようにすぐ様手をまっすぐ上げた。

「僕たちは〝シュタインパクト〟とほぼ同時期に生まれたからです」

「大正解! 起隕きいんが起きるメカニズムを簡単に説明するわ。感情などによって体に吸隕きゅういんされた隕子量が一定量を超えると起隕きいんするの。黄金世代ニューエイジの多くは、まず生まれたことによって吸隕きゅういんし、それが布石となって起隕きいんしやくすなっているの」

「なるほど、私は生まれたことにより、ある程度吸隕きゅういんし、最終的にはティア起隕きいんしたってことか~」
 雨は納得したように呟いた。

起隕きいんに耐えきれず亡くなっている人もいるわ、そういう意味で皆んなは、もう一度試練を乗り越えて生まれてきた、とも言えるの。自分の命を大切にね」
 胡桃は、真剣な眼差しでそう伝えた。

 アカリは少し目線を下げた。

「今日はこれで授業を終わりにするわね、今からあなたたちが暮らす宿舎〝E05エデンゼロゴウ〟に案内するわ」

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