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@藤堂side

7.4月1日21:22 仕事の相談@藤堂side

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「藤堂さん、たくさんうちの部あてに申請書、出されるじゃないですか。でも、ルールがまとまってないし、申請書に無駄も多いし、申請するのに時間かかると思うんです。」
確かにそうなんだ。でもまあ、俺はさくらに聞きに行く口実になるし、自分の出した申請書をさくらが受け付けてくれると思うだけで、ちょっと嬉しいから、最近は余り苦にならない。

俺は2杯目の焼酎を手にした。
「まあ、そうだね。でも、必要な手続きだから、管理職なんだし、ちゃんとやらなきゃと思ってるよ。」
さくらの前でちょっとカッコつける。まあ、全くの嘘ではない。
「ありがとうございます。そんなこと言ってくれるの、藤堂さんだけで、皆さん、めんどくさいことさせるなって顔されます。」
誰ださくらにそんな態度取る奴。

「で、例も入れて入力ルールをまとめたマニュアルと、あと、申請書自体の改善案を作ってみたんです。」

さくらがタブレットの画面に、マニュアルのドキュメントを表示させる。
俺はタブレットを受け取ってそのドキュメントを見る。
酔ってた頭が冴えてくる。
「うん。わかりやすい。これあったら、すごい助かる。」
「で、こっちが、改善案。」
さくらがキャプチャが画像を表示させる。

いい。さくら有能。
俺の部下だったら、どんどん仕事任せて、改善案出すフォローしてガンガン承認して、上に売り込んで昇進させる。
あの総務部長、こんな人財預かってなにやってんだ。もったいない。

「すごい、わかりやすい。無駄もない。いいじゃん。早くリリースして欲しいよ。」
「ホントですか?!藤堂さんが褒めてくれるなんで嬉しい!」
かわいいこと言ってる~
俺が返したタブレットをさくらは胸に抱え込む。

「でも、これリリースするにはうちのあの部長がOK出さないといけないんですよ。でもあの人、こういうのめんどくさがるだけなんです。」
せっかくさくらが頑張った仕事。さくらが頼ってくれたのに、俺にはあの部長にこのさくらの案を実現させることができそうもない。
「う~ん、どうにかなんないかな…。」
俺は考え込む。

「これ通れば、藤堂さん、少しは早く帰れるようになると思うんだけどな…」
「えっ?」
「あ」
さくらがまずいことを言ったというように口元抑えた。
俺のため?いや言葉のあやで、社内のみんなのことを言っているんだろう。そうだよな。
「えっと…はい。この間からずっと、藤堂さん特に遅くてだけどたくさん申請書出してたから…私も藤堂さん楽にできるよう頑張ろうって…」
いや、なに?それ、嬉しい。

「俺?」
「…はい。…あ、だって、ここんとこずっと藤堂さん、うちの稼ぎ頭なわけですし、藤堂さんが営業に集中できるのが、会社としては、一番じゃないですか!」
そういうこと。会社のため。
さくら、仕事熱心すぎる…。
でも、俺のこと、認めて、気にかけてくれてるのが嬉しい。

「ありがとね。」
あ、ヤバい。俺、やっぱり酔ってる。
さくらの頭、危うく撫でちゃうとこだった。無意識に腕が上がっていた。

うちの会社のルールとして、マニュアルは、作成部門の部長の承認したものを、社内のグループウェアにシステム部が登録して、共有する。
申請書は部長経由で取締役決裁の上でやはりグループウェア内にワークフローのフォーマットが作られる。
いずれにしても、部長が動かなきゃダメだ。

「さくらさん、非公式な資料としてでも、このマニュアル、みんなに使って貰おうよ。みんな絶対、助かるよ。
 今週、新入社員研修で、申請書の説明、するでしょ?」
「はい。」
「そこの資料として、マニュアルだけじゃなくて、コツをまとめましたって」
「なるほど、だったら、配布するのも自然ですね。私、マニュアル掲示板に登録してもらうことしか、考えてなかったです。藤堂さん、すごいです。」
さくらが、めちゃめちゃ喜んでくれて、誉めてくれて、嬉しい。こんなさくらは初めて見る。

「研修担当するの、主任なんですけど、部長はダメでも、主任なら話聞いてくれます。」
良かった、ちゃんと部内にさくらの助けになる人がいて。ちょっと妬けるが。

「研修資料は、新入社員の配属予定の部門のトレーナーにも共有されることになってるでしょ。全員じゃないだろうけど、OJTの時に確認する人たちもいるだろうから、トレーナーになる主任や係長クラスには広まるよ。」
「ガチガチのマニュアルの書式で作ってしまったので、体裁変えて、主任に相談してみます。」
さくら、めちゃくちゃ嬉しそうな笑顔。

「主任と話上手く行かなかったら、相談に来て?あと、俺にもデータ、欲しいな。俺の課の連中にさっそく使わせたい」
「はい!ありがとうございます!」
さくらにとって頼もしい先輩社員になれている。嬉しい。

さくらが俺の部下なら、毎日こんなやり取りが出来るんだろうなあ。でも、直属の部下に手を出すわけにはいかなくなるかあ。
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