22 / 48
@さくらside
2.紅茶とチョコレート@さくらside
しおりを挟む
藤堂さんが申請書の件で総務部を訪ねた少し後、休憩室でコーヒーを淹れていた私に藤堂さんが声を掛けてくれた。
「さくらさん、お疲れ様。」
もちろんそこに藤堂さんがいるのは気づいていたけど、まさか私を認識してくれているなんて!しかも「さくらさん」?名前?総務部の中では同じ苗字の後輩が来てから下の名前で呼ばれるようになっていたけど、藤堂さんに下の名前で呼ばれるのは全然違う。
「あ、えっと、お疲れさまです。」
あ~私の馬鹿、もうちょっといい反応できないの?
「総務部の、さくらさんだよね。この間はありがと。」
藤堂さんにお礼言われるなんて…
「あ、いえ…。」
あまりの衝撃に本当につまらない反応しかできない。高峰美幸さんならかっこよく、楽しい返しができるんだろうな。
その後もエレベーターで、廊下で、すれ違いざま藤堂さんは挨拶してくれる。
「お疲れ様。」とか、時には「よっ」なんて軽く片手をあげて親し気に挨拶してくれる。そのたびに、私は心臓が口から飛び出そうになって、毎回ちょっと会釈するとかつまんない反応しかできない。いっそ藤堂さんから見えない透明人間になりたい!
2月に入って、藤堂さんはいつも以上に忙しそうで、昼も席で簡単に食べながら仕事し続けているし、社内のイントラ内での藤堂さんからの申請書の登録時間が深夜だったり早朝だったりする。
藤堂さんは自分の案件抱えながら、部下の教育して、フォローして、管理職として備品やら経費やらなんやかんやと申請も上げててとにかく仕事量が多い。
総務部の私が営業の藤堂さんの手助けはできないけど、前々から気になっていた申請書のわかりにくさを解消するための改善案やマニュアルを作ることにした。これが採用されれば、藤堂さんや営業の人たちの助けになるはず。
頑張っている藤堂さんを見て私もできることをやろうと思った。
上司からの指示でやることじゃないから、通常の仕事の合間や定時後に作業する。
大好きなチョコレートと、ノンカフェインのお茶を励みに。
その日、作業に熱中していたら、終電が近くて、帰る前に一杯お茶飲もうと休憩室に行ったら藤堂さんも残っているのが見えた。
いつも飲んでいるお茶とチョコレートを藤堂さんに持っていく。糖分で疲れを癒して欲しい。
いつもコーヒーをブラックで飲む藤堂さん。紅茶もお砂糖を入れずに持っていく。甘いもは嫌いかな?と思ったけど
「チョコレート、好き」
って。良かった。
「さくらさんのお楽しみ、悪いね。味わって食べるよ」
優しいな。私の方が癒されてしまった。
今日はちょっと気の利いたことができたな。私はニマニマしながら家に帰った。
「さくらさん、お疲れ様。」
もちろんそこに藤堂さんがいるのは気づいていたけど、まさか私を認識してくれているなんて!しかも「さくらさん」?名前?総務部の中では同じ苗字の後輩が来てから下の名前で呼ばれるようになっていたけど、藤堂さんに下の名前で呼ばれるのは全然違う。
「あ、えっと、お疲れさまです。」
あ~私の馬鹿、もうちょっといい反応できないの?
「総務部の、さくらさんだよね。この間はありがと。」
藤堂さんにお礼言われるなんて…
「あ、いえ…。」
あまりの衝撃に本当につまらない反応しかできない。高峰美幸さんならかっこよく、楽しい返しができるんだろうな。
その後もエレベーターで、廊下で、すれ違いざま藤堂さんは挨拶してくれる。
「お疲れ様。」とか、時には「よっ」なんて軽く片手をあげて親し気に挨拶してくれる。そのたびに、私は心臓が口から飛び出そうになって、毎回ちょっと会釈するとかつまんない反応しかできない。いっそ藤堂さんから見えない透明人間になりたい!
2月に入って、藤堂さんはいつも以上に忙しそうで、昼も席で簡単に食べながら仕事し続けているし、社内のイントラ内での藤堂さんからの申請書の登録時間が深夜だったり早朝だったりする。
藤堂さんは自分の案件抱えながら、部下の教育して、フォローして、管理職として備品やら経費やらなんやかんやと申請も上げててとにかく仕事量が多い。
総務部の私が営業の藤堂さんの手助けはできないけど、前々から気になっていた申請書のわかりにくさを解消するための改善案やマニュアルを作ることにした。これが採用されれば、藤堂さんや営業の人たちの助けになるはず。
頑張っている藤堂さんを見て私もできることをやろうと思った。
上司からの指示でやることじゃないから、通常の仕事の合間や定時後に作業する。
大好きなチョコレートと、ノンカフェインのお茶を励みに。
その日、作業に熱中していたら、終電が近くて、帰る前に一杯お茶飲もうと休憩室に行ったら藤堂さんも残っているのが見えた。
いつも飲んでいるお茶とチョコレートを藤堂さんに持っていく。糖分で疲れを癒して欲しい。
いつもコーヒーをブラックで飲む藤堂さん。紅茶もお砂糖を入れずに持っていく。甘いもは嫌いかな?と思ったけど
「チョコレート、好き」
って。良かった。
「さくらさんのお楽しみ、悪いね。味わって食べるよ」
優しいな。私の方が癒されてしまった。
今日はちょっと気の利いたことができたな。私はニマニマしながら家に帰った。
1
お気に入りに追加
65
あなたにおすすめの小説
鬼上官と、深夜のオフィス
99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」
間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。
けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……?
「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」
鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。
※性的な事柄をモチーフとしていますが
その描写は薄いです。
若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~
雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」
夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。
そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。
全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。
渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!?
合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡――
だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。
「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき……
《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる