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7章(終章) 美しいホシ
105.ホシ(8/9)
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「地球防衛隊の隊員は元々地球が好きで、しかも実際に地球で育った記憶を持っているからね。感覚がかなり地球人なんだよ。荒井さんがコンタクトを取っている地球人愛護協会の宇宙人たちは外から地球を見ているだけだから、価値観も全然ちがって怖い印象なんじゃないかな」
これは後々、パパに聞いた話。
銀太郎が荒井さんの前でわざわざ怖い顔をしていたのは、荒井さんがイメージする宇宙人を演じたためだ。
仕事中は地球人が質問すらできないくらい怖い存在らしいし、私も何度か怖い銀太郎を見ている。でも、基本的にコミュ力が高くて友好的で明るくて笑顔で……つまり、銀太郎には宇宙人らしさが足りないということだ。
「まあ銀太郎たちは、自分が半分くらい地球人になっているなんて考えもしないだろうけれどね」
パパは笑っていた。
「地球は宇宙の天然記念物あつかいらしいよ。だから今の環境を保持するために勝手に隕石から守ってくれるし、ただ地球人をながめて満足している。宇宙人の目的は、支配ではなくて保護なんだ。でも、地球人から見ればかなり強引で一方的だから、やっぱり侵略だと感じるかもしれない。宇宙人が堂々とコンニチハなんて姿を現す日は来ないのかもね」
「ふう……ん。あっ、そうだ。ねえパパ。『ナクペンダサーナ』ってどういう意味?」
「へっ⁉︎」
「銀太郎が言っていたの。うちに来た時から同じような言葉を何回か聞いたんだけど、ナク……ペンダ?」
「……そう。えーとねえ……」
パパはスマートフォンの翻訳アプリを開いて、ローマ字読みそのままのアルファベットを入力した。
「はい、これ」
それだけ言って、日本語訳が表示された画面を見せてくれた。
「……」
銀太郎、コレ私に何度も言ったよね?
意味不明だったから、ぜんっぜん伝わっていないのだけど?
いくら言っても伝わらなかったら、言わないのと同じでしょう⁉︎
もっと恥ずかしくなるようなことをさんざん言っておいて、肝心な言葉は伝えてくれなかったんじゃない。
『……もっと大事なコトは、心で伝える。言葉なくても伝わる。でも、地球人は言葉ほしい……ワタシの心、伝わるといいでし』
銀太郎はそう言っていたけれど。
心で伝えるとか、なんかカッコイイこと言っちゃっているふうだったけれど……。
地球人はテレパシーが使えないんだからっ、ちゃんと伝わる言葉で言えーーーーっ!!
これは後々、パパに聞いた話。
銀太郎が荒井さんの前でわざわざ怖い顔をしていたのは、荒井さんがイメージする宇宙人を演じたためだ。
仕事中は地球人が質問すらできないくらい怖い存在らしいし、私も何度か怖い銀太郎を見ている。でも、基本的にコミュ力が高くて友好的で明るくて笑顔で……つまり、銀太郎には宇宙人らしさが足りないということだ。
「まあ銀太郎たちは、自分が半分くらい地球人になっているなんて考えもしないだろうけれどね」
パパは笑っていた。
「地球は宇宙の天然記念物あつかいらしいよ。だから今の環境を保持するために勝手に隕石から守ってくれるし、ただ地球人をながめて満足している。宇宙人の目的は、支配ではなくて保護なんだ。でも、地球人から見ればかなり強引で一方的だから、やっぱり侵略だと感じるかもしれない。宇宙人が堂々とコンニチハなんて姿を現す日は来ないのかもね」
「ふう……ん。あっ、そうだ。ねえパパ。『ナクペンダサーナ』ってどういう意味?」
「へっ⁉︎」
「銀太郎が言っていたの。うちに来た時から同じような言葉を何回か聞いたんだけど、ナク……ペンダ?」
「……そう。えーとねえ……」
パパはスマートフォンの翻訳アプリを開いて、ローマ字読みそのままのアルファベットを入力した。
「はい、これ」
それだけ言って、日本語訳が表示された画面を見せてくれた。
「……」
銀太郎、コレ私に何度も言ったよね?
意味不明だったから、ぜんっぜん伝わっていないのだけど?
いくら言っても伝わらなかったら、言わないのと同じでしょう⁉︎
もっと恥ずかしくなるようなことをさんざん言っておいて、肝心な言葉は伝えてくれなかったんじゃない。
『……もっと大事なコトは、心で伝える。言葉なくても伝わる。でも、地球人は言葉ほしい……ワタシの心、伝わるといいでし』
銀太郎はそう言っていたけれど。
心で伝えるとか、なんかカッコイイこと言っちゃっているふうだったけれど……。
地球人はテレパシーが使えないんだからっ、ちゃんと伝わる言葉で言えーーーーっ!!
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