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5章 星からのキカン
48.キカン(14/20)
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わりと平静に聞いている私を見て、パパは安心したみたいだった。
「もう知っていた? 気づいていた? さっき一回驚いたから、もうビックリしない?」
「うーん……銀太郎の存在を知っているから、そんなものなのかなって思うくらい」
「よかった。だから、話しやすいよ。いきなり全部はショックが大きいだろうからね」
パパはうれしそうだ。パパを理解してもらえるからというよりも、単純に家族と宇宙人の話ができることを喜んでいる気がする。
「お母さんには訊かないの? 銀太郎が元地球人のフェザだったことは知らないよ?」
銀太郎が育った東アフリカを夢の中で見せてもらったのは私だけだ。
「お母さんは大丈夫だよ。いつだって、どんな現実だって受け入れてくれるから」
お母さん、信頼されているんだ。
「オカーサン様、ケイちゃんのオタカラでし」
銀太郎の言葉にパパは素直にうなずいている。
わあ、なんだか私の方が照れちゃうな。
「パパはね、地球防衛隊の人たちをサポートする仕事がしたかったんだ。地球防衛隊なんてもちろんウワサでしかなかったけれど、ほんのわずかでも宇宙人に関わっている可能性があるのは防衛省か宇宙航空研究開発機構かなあって、勢いでね」
「オタクパワー全開……」
「あはは、本当に。でも、パパの情熱は国家機密をも溶かしたんだ。こうして、ちゃんと採用してもらったからね」
確かに。
「それで最初の勤務先が、地球防衛隊の訓練基地だったんだよ。詳しい場所は言えないけれど、これはその時の写真。初めて銀太郎に会ったころだね」
「ワタシが地球防衛隊に入ったのと同じ時期にケイちゃんも来たのでし。だからドーキでしよ」
「いやあ、同期だなんて。パイロットと同列にあつかってもらうのは恐れ多いでしょう」
パパ、すごくうれしそうだ。なんだかノロケ話を聞かされているみたい。
「銀太郎はパパと二十年近くも一緒にお仕事しているんだね」
「えっ」
キャッキャといちゃついているパパと銀太郎の動きが同時に止まった。
なに、その意外そうな顔は。
「あー……そうだよね。もうそんなになるのか」
「そうでした。ケイちゃん、見た目ほぼ同じ。アバター変わらないから、忘れていまづた」
「アバターってなによ? 銀太郎とちがって人間はアバターじゃないでしょう。銀太郎こそ、いつから銀色のツルツルになっちゃったの? この写真の超イケメンお兄さんの姿はどうなっちゃったのよ?」
「アオイ様、お言葉でしが地球の人間もアバターでしよ。いつかきっとわかりまし。私の姿は、地球防衛隊に正式に入隊した時変わりました。地球人の姿のままでは防衛隊の任務に耐えられませんでし。銀色は、宇宙服みたいなものでし。地球人の宇宙飛行士、ワレワレに近いスーツ着ていましよ?」
「任務……」
藤井君に見せてもらった、隕石に体当たりするUFOが目に浮かんだ。
そうだ。
銀太郎は、地球人を守ってくれるパイロットだ。
地球人として育った銀太郎は、自分が宇宙人だと自覚して元々パイロットを目指していたことを思い出して、訓練基地に来たんだ。
そのころの姿が、この写真のフェザ……。
「もう知っていた? 気づいていた? さっき一回驚いたから、もうビックリしない?」
「うーん……銀太郎の存在を知っているから、そんなものなのかなって思うくらい」
「よかった。だから、話しやすいよ。いきなり全部はショックが大きいだろうからね」
パパはうれしそうだ。パパを理解してもらえるからというよりも、単純に家族と宇宙人の話ができることを喜んでいる気がする。
「お母さんには訊かないの? 銀太郎が元地球人のフェザだったことは知らないよ?」
銀太郎が育った東アフリカを夢の中で見せてもらったのは私だけだ。
「お母さんは大丈夫だよ。いつだって、どんな現実だって受け入れてくれるから」
お母さん、信頼されているんだ。
「オカーサン様、ケイちゃんのオタカラでし」
銀太郎の言葉にパパは素直にうなずいている。
わあ、なんだか私の方が照れちゃうな。
「パパはね、地球防衛隊の人たちをサポートする仕事がしたかったんだ。地球防衛隊なんてもちろんウワサでしかなかったけれど、ほんのわずかでも宇宙人に関わっている可能性があるのは防衛省か宇宙航空研究開発機構かなあって、勢いでね」
「オタクパワー全開……」
「あはは、本当に。でも、パパの情熱は国家機密をも溶かしたんだ。こうして、ちゃんと採用してもらったからね」
確かに。
「それで最初の勤務先が、地球防衛隊の訓練基地だったんだよ。詳しい場所は言えないけれど、これはその時の写真。初めて銀太郎に会ったころだね」
「ワタシが地球防衛隊に入ったのと同じ時期にケイちゃんも来たのでし。だからドーキでしよ」
「いやあ、同期だなんて。パイロットと同列にあつかってもらうのは恐れ多いでしょう」
パパ、すごくうれしそうだ。なんだかノロケ話を聞かされているみたい。
「銀太郎はパパと二十年近くも一緒にお仕事しているんだね」
「えっ」
キャッキャといちゃついているパパと銀太郎の動きが同時に止まった。
なに、その意外そうな顔は。
「あー……そうだよね。もうそんなになるのか」
「そうでした。ケイちゃん、見た目ほぼ同じ。アバター変わらないから、忘れていまづた」
「アバターってなによ? 銀太郎とちがって人間はアバターじゃないでしょう。銀太郎こそ、いつから銀色のツルツルになっちゃったの? この写真の超イケメンお兄さんの姿はどうなっちゃったのよ?」
「アオイ様、お言葉でしが地球の人間もアバターでしよ。いつかきっとわかりまし。私の姿は、地球防衛隊に正式に入隊した時変わりました。地球人の姿のままでは防衛隊の任務に耐えられませんでし。銀色は、宇宙服みたいなものでし。地球人の宇宙飛行士、ワレワレに近いスーツ着ていましよ?」
「任務……」
藤井君に見せてもらった、隕石に体当たりするUFOが目に浮かんだ。
そうだ。
銀太郎は、地球人を守ってくれるパイロットだ。
地球人として育った銀太郎は、自分が宇宙人だと自覚して元々パイロットを目指していたことを思い出して、訓練基地に来たんだ。
そのころの姿が、この写真のフェザ……。
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