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3章 未知とのセッショク
16.セッショク(1/9)
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翌朝、教室であいさつをしたのは藤井君の方からだった。
「おはよう川上さん、昨日の人って誰?」
いきなり銀太郎のことだ。
昨日は、藤井君に漢字テストを返したまではよかったけれど、吉田さんに割り込まれて銀太郎が乱入して、さんざんだった。
藤井君は銀太郎のテンションの高さにあぜんとしていたし、あれだけ注目されて目立っていたから、やっぱり気になるよね。
私のことは怒っていないみたい。よかった。
「え、と。親戚のお兄さんで帰国子女で……ウチに遊びに来ている人なの」
帰国子女設定は大事だ。これでだいたい乗り切れる気がした。
「まだ川上さんの家にいるの? それなら、また……会えないかな」
「えっ⁉︎ 銀太郎に会いたいの? なんで?」
あまりにも意外で、思わず聞いてしまった。
「その……実は……」
藤井君はためらいながら、通学カバンの横につけていたキーホルダーをこっそりと見せてくれた。
見覚えのある銀色。わざわざビニールケースに入れてキーホルダー風になっているけれど、これは明らかに……。
「宇宙人バッジ……」
「そう。わかってくれてよかった」
藤井君はホッとしたように深呼吸をしてから、うれしそうな笑顔を見せた。
ここにもUFOオタクがーーーーっ⁉︎
銀太郎は確かに昨日バッジをつけていた。
UFO愛好家は仲間を見つけるためにバッジをつけているってパパが言っていたけれど、本当にホイホイ見つかるんだ。すごい。
藤井君は銀太郎が宇宙人だとは思っていないだろうから、自分がどれだけラッキーかを知らない。
銀太郎は宇宙人です! って、藤井君に教えてあげたい!
もし私が街で蓮君とすれちがったのに気づかなかったら、後で知った時に絶望する。……でも、蓮君がいるって誰かが騒いで蓮君が困るのはもっとイヤだな。
こういうことは、勝手に教えたら絶対ダメだよね?
「川上さん?」
「あっ、ごめん。え、と、銀太郎に訊いてみる。私からも、会ってくれるようにお願いしてみるから」
「本当に? ありがとう。もし会ってくれるなら、僕の家に来てほしいんだ」
藤井君の、家⁉︎
「おはよう川上さん、昨日の人って誰?」
いきなり銀太郎のことだ。
昨日は、藤井君に漢字テストを返したまではよかったけれど、吉田さんに割り込まれて銀太郎が乱入して、さんざんだった。
藤井君は銀太郎のテンションの高さにあぜんとしていたし、あれだけ注目されて目立っていたから、やっぱり気になるよね。
私のことは怒っていないみたい。よかった。
「え、と。親戚のお兄さんで帰国子女で……ウチに遊びに来ている人なの」
帰国子女設定は大事だ。これでだいたい乗り切れる気がした。
「まだ川上さんの家にいるの? それなら、また……会えないかな」
「えっ⁉︎ 銀太郎に会いたいの? なんで?」
あまりにも意外で、思わず聞いてしまった。
「その……実は……」
藤井君はためらいながら、通学カバンの横につけていたキーホルダーをこっそりと見せてくれた。
見覚えのある銀色。わざわざビニールケースに入れてキーホルダー風になっているけれど、これは明らかに……。
「宇宙人バッジ……」
「そう。わかってくれてよかった」
藤井君はホッとしたように深呼吸をしてから、うれしそうな笑顔を見せた。
ここにもUFOオタクがーーーーっ⁉︎
銀太郎は確かに昨日バッジをつけていた。
UFO愛好家は仲間を見つけるためにバッジをつけているってパパが言っていたけれど、本当にホイホイ見つかるんだ。すごい。
藤井君は銀太郎が宇宙人だとは思っていないだろうから、自分がどれだけラッキーかを知らない。
銀太郎は宇宙人です! って、藤井君に教えてあげたい!
もし私が街で蓮君とすれちがったのに気づかなかったら、後で知った時に絶望する。……でも、蓮君がいるって誰かが騒いで蓮君が困るのはもっとイヤだな。
こういうことは、勝手に教えたら絶対ダメだよね?
「川上さん?」
「あっ、ごめん。え、と、銀太郎に訊いてみる。私からも、会ってくれるようにお願いしてみるから」
「本当に? ありがとう。もし会ってくれるなら、僕の家に来てほしいんだ」
藤井君の、家⁉︎
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