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節くれだったサイラスの指先が、柔らかなカロクの舌を捏ねる。固く荒れた皮膚が滑らかな舌腹を擦る度に、ジンッと甘い疼きが喉の奥へと落ちた。

「‥‥っ‥ん」

カロクはその刺激を追って、自らサイラスの指に舌を絡ませる。拙いながらも必死に指をしゃぶるカロクに、ククッとサイラスは喉の奥で笑った。

サイラスはそんなカロクの様子を眺めながら、もう片方の手袋の指先に歯をかけた。そのまま軽く噛んで引き抜くと、ひたりとカロクの胸元へその手を下ろす。

「ここに触れるのは初めてだったな?」
「‥‥ッ‥」

サイラスはそう問いながらも、カロクの唇にもう1本指をねじ込んだ。2本の指で舌先を摘まれ、ビクンとカロクの肩が震える。

サイラスはそのまま制服のタイを外すと、器用に片手でボタンを外していく。はだけたシャツから覗く白い肌が、艶めかしく陽光を反射した。サイラスが想像していたよりも均整の取れた体が、清廉された色気を放つ。

顕になった胸元が外気に晒され、フルリとカロクは肌を粟立たせた。胸の突起が生理的にキュウと尖り、色の薄い飾りを際立たせる。まるで主張するかのごとく上向いたそれに、カロクは羞恥と期待にその瞳を伏せた。そんなカロクの様子に、サイラスはゴクリと生唾を飲み込む。
触れてはいけない禁欲的な雰囲気を持ちながらも、何かを期待するように淡く染まった目元にサイラスの理性がぐらりと揺れる。そんなサイラスをよそに、まるでトドメとばかりにカロクは疎かになった口の中の指先に舌を絡ませた。

「全く、どこで覚えたんだか‥」
「んぅ‥っ」

そう言ってサイラスはクッとあげた口角に、凶暴さを滲ませる。そのまま乱暴に指を引き抜くと、唾液で濡れた唇を自らのそれで塞ぎながらその体を壁へと押し付けた。

「ん‥‥っ!!」

不埒な指先がぬるりと唾液を塗りつけるように動いて、カロクはその瞳を開く。近すぎてぼやける視界に、サイラスの灰青が揺れた。いつも冷静なその瞳が、いつか見た荒々しい欲に染まっていて、カロクはゾクリと背筋を震わせた。

「ん‥っ、ん‥っ」

指先は、ゆっくりと谷間をなぞりながら固く尖る飾りへと落ちていく。

「は、ぁ‥‥っ!!」

サイラスはその唇を離すと同時に、左胸の飾りをピンッと弾いた。するとカロクの唇から艶めいた嬌声があがる。そのまま下から押し上げるように潰されれば、ジンと甘い疼きが腰へと落ちた。

「いやらしいなぁ、カロク。」
「ぁ‥‥ん、ん‥」

サイラスはククッと喉の奥で笑いながら、ツンと上向いた先端をゆっくりと嬲るように指の腹で転がす。唾液を纏った指先が、ヌルヌルと先端に擦れる度に、ジンジンともどかしい刺激が肌を伝った。

「サイラス、様‥っ」

カロクは強請るようにその名を呼ぶ。思った以上に甘えたその声に、カロクは羞恥から思わずサイラスを仰ぎ見た。

「‥‥っ」

期待と羞恥に揺れる瑠璃色に煽られて、サイラスは無意識に笑う。獲物を前にした肉食獣のようにクッとその灰青を細めると、ヒクリとカロクの喉が上下した。

「よく、見ていろよ‥?」

そう言ってサイラスは見せつけるように自らの舌先を差し出す。ぬらりと濡れて艷めく赤に、カロクはゴクリと唾を飲み込んだ。そんなカロクの様子にククッとサイラスは気を良くして笑うと、期待に反り立つもう片方の飾りへとその身を伏せた。

「あっ‥!!」

その瞬間、カロクが高く鳴いた。
焼けるように熱い粘膜がその先端を押しつぶす。そのまま細く尖らせた舌先が、突起をほじくり出すようにグリグリと抉れば、パチパチと眼裏で快楽が弾けた。

「ぁ、ぅ‥っ!!」

不意に舌腹で突起を覆うように吸いつかれ、ビクリとカロクの腰が震えた。そんな舌の動きに合わせるように、左胸の飾りを摘まれれば、意図せぬ嬌声が唇からこぼれ落ちる。

「そん、な‥っ!! 両方‥‥っんぅ‥!!」

片方をきつく吸われたかと思えば、もう片方を宥めるように優しく撫でられる。かと思えば不意にキュッときつく摘まれれ、今度はもう片方の飾りを焦らすように舌先がなぞる。

感じた事の無い快感に、堪えきれない吐息がこぼれる。しかしそこだけでは達せないのか、熱ばかりが下肢へと溜まっていき、きつく制服のボトムを押し上げていた。

そんなカロクの様子にサイラスが灰青を細めて笑う。ちゅるり、とわざと水音を立てながら突起を吸い上げてから僅かに上体を起こすと、ゆっくりとカロクの中心へと触れた。

「さて、どこまで知りたい‥?」

そう落としたサイラスは、カロク以上に凄絶な色気を孕んでいた。
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