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3、ガチャで決めるそうです

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「なので、これで決めます~」

女神が片手を上げると巨大なガチャマシンが6台現れ、そこには『行き先』『種族』『職業』『スキル』『能力』『加護』の文字が書かれていた。
親しみのあるガチャマシンが現れたのでなんとも言えない顔を全員がしていた。

「まずはこのマシンで『行き先』と『種族』と『職業』を決めますね~。『スキル』『能力』『加護』はあなた方が今まで生きてきた中で積んできた『善行』で引けますが、『悪行』が多かったり、均等であれば引くことは出来ませんので~」
「と言うことは『スキル』も『能力』も『加護』もなく、異世界にいく場合もあるのか?」
「『スキル』は完全に無いわけではないですよ~。『職業』に合った『スキル』が1つは付きます~。ただ、ここで引いた方が良いやつが当たることが多いですね~。ついでに『善行』で引けるのは『職業』がもう1回と『スキル』と『能力』と『加護』の中からご自分で選んでくださいね~。『職業』が2つになるのはこのマシンで引いた場合のみです~」

女神の説明にほとんどの者が戸惑い、一部の者が不敵な顔をしていた。
『行き先』『種族』『職業』以外のガチャマシンを回すには『善行』が必要になる。
それはどれ程自身にあるか分からないからだ。

積んでいるつもりで積めてなく、知らず知らず積んでいるのが『善行』である。
ついでに『悪行』に関してもそうだろう。
積むつもりがなくても積んでいたり、それとは気づいていないもしくは感じてもいないたちの悪い『悪行』なんてたくさんある。
つまり、ほとんどの者が自信がないのだ。

女神はそんな面々をまるっと無視して話を進める。
そこを気にしていては話が進まないし、女神の仕事が終わらないからだ。

「ではでは、皆さんが気になっている~、どれだけ回せるかを見てみますね~。面倒臭いのでご自身の頭の上に回せる回数を出しますね~。回した数だけ数字が減ります~。なので、最低は3ですよ~…………そーれ!」
「「「「「…………」」」」」

女神のかけ声で全員の頭の上に数字が現れた。
だが、それ以前に気の抜けたかけ声に何とも言えない顔をした者が多くいた。

気を取り直して全員が自身の頭の上を見た。
そこには確かに数字が浮かび上がっていた。
各々が自身の数字を確認すると今度は他人の数字が気になり、全員が周りを見渡した。

そこでの数字は様々だった。
女神が言うように『3』が一番少ない数字だった。
その『3』と言う数字が頭の上に出ているのは大体、自信満々に不敵な顔をしていた者たちだった。

「何で俺が3なんだよ!」
「おかしいわよ、私が3なんて!」

自信満々だっただけに納得できないようで叫んでいたが、女神はそれを無視した。
騒いでる面々はそれでも女神に文句を言っていた。

迷惑そうにしながらも我関せずと言う体を誰もがとっていた。
現代人にありがちな光景だ。
誰だって巻き込まれたくはないのだ。

それでも周りを見ていると大体は『4』から『8』の数字が多かった。
わりと善行の方が多い者が集まっていた。

その中でも目についた数字がある。
それは『12』と言う、この場で唯一の二桁数字だった。
誰もが目についた。
その数字を持っていたのは葵だった。

「何で、こんなヤツが二桁もあるんだ!」
「ずるいわよ!」
「公平にしろ!」
「何が『善行』だよ!ただの依怙贔屓だろ!」
「こんなブサイクを贔屓するなよ!」

言いたい放題である。
葵は決してブサイクではない。
昔、流行った(?)高身長・高学歴・高収入の三高の持ち主であり、程好く鍛えられているので体格もわりと良く、現在は髪を伸ばしっぱにしているから見えないが顔も整っている。
瞳も切れ長だが鋭くはなく、泣き黒子がそれを柔らかくしている。
性格も穏やかな方なので、それも顔に出ている。

そんな葵は騒いでいる面々を見て呆れていた。
最初に女神から差があると言われているのに、公平を言うのはおかしいし、あまりにも我が儘だ。
彼らが騒いでいるのはただ自身の数字が多くなかったからだ。

散々喚いた後、どうにもならないと判断すると一人の柄の悪そうな男が葵に掴みかかろうとした。
葵は一瞬驚いたが、それなりに鍛えており、昔にヤンチャもしていたので迎え撃とうと構えた。
だが、柄の悪そうな男が葵に掴みかかるのはかなわなかった。
理由は女神が止めたのだ。

「はいはい、やめましょうね~。見苦しいですよ~。騒いでいる方々は元々『地獄行き』からこちらに選抜されたので数字が少ないのは仕方ないんですよ~。ご自身の生前の言動が大元ですのでどんなに言っても変わりませんよ~」

女神は騒いでいた面々を一纏めにすると光の檻のような物を出して、そこに押し込んだ。
見た目は檻なのに防音機能があるらしく、口は騒いでいるのに音声が全く聞こえなかった。



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