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第二章

11、馬車制作工房①

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 さぁ、契約魔獣登録も終わったのでリュウイチさんに連れられて馬車の制作工房に向かった。
 あ、魔獣たちは現在、健康診断を受けている。
 魔獣を契約した時には必ずしているようだ。
 馬車のタイプのために連れて行くべきか考えたけど、今回は発注はするが必要材料を聞きに行くことがメインなので置いて行った。
 話は戻して、この街でも馬車の制作工房は幾つかあるがそれでもリュウイチさんが信頼している場所に案内してくれるらしい。どうもリュウイチさんたち『ガーディアンズ』も馬車は所有していらしく、制作や修繕などを任せている工房でかなり信頼できるんだと。
 まぁ、リュウイチさんたちのお馴染みさんなら俺たちも信頼できるというモノだ。
 何が必要になるかが気になる所だが。
 その工房は東通りの職人通りにあった。そこは職人通りでもそれこそ奥の方に位置していた。
 前に来た時はここまではいかなかったなぁ。中央通りに近い魔石や素材を売っている所しか見てなかったし、前にいくつか見た馬車を扱っている店は兼業工房で馬車だけではなく、家具なんかも売っているような場所だった。
 今向かっている工房は馬車オンリーの店らしい。
 なるほど、専用店なら力の入りようが違うのだろうな。
 そう思っていると工房についたらしい。
 そこは馬車専用工房『ミシリア』という場所だ。
「邪魔するぜ」
「ありゃ?リュウイチさん、どうかしましたか?」
「おう、ヴァリス。いや、今日は紹介だ」
「紹介?」
「おう!こいつら、冒険者で最近チームを組んだ『ブルーローズ』のマコトとエドだ」
「初めまして、『ブルーローズ』のマコト・モモセです」
「エドワード・グレイスです」
「おお!話題の二人がチームを組んだんですね!!僕はここ『ミシリア』の受付をしています。ヴァリス・ミシリアです」
 なんとも元気な少年だった。獣人なんだろうな、耳としっぽがある。そのしっぽは勢いよく振られている。うん、可愛らしい子だわ。ロップイヤーかな?垂れた耳やふっわふっわの小さな丸い尻尾が可愛い。見た目は15・6かな?
 それはそうと俺たち話題なの?ま、気にしないけど。
 でも、そうか。この『ミシリア』はファミリーネームなのな。家族経営なのか?
「それで、おやっさんは?」
「父さんなら奥の工房にいるよ。呼んでくる!!」
 そういうと脱兎の如く走り去っていった。元気があっていいわ。
 しばらく待っていると少年と同じウサギの獣人の男性が出てきた。
 うん?おやっさんって感じではないぞ。かけた眼鏡が似合っている好青年な感じ。細身だし。
「いらっしゃい、リュウイチさん」
「おう、おやっさん。今日はこいつらが馬車が欲しいらしくてな。紹介に来たんだ」
「リュウイチさんの紹介なら安心ですね。それとおやっさんという呼び方はやめてくださいよ~」
「いいじゃねぇか」
 いや、不釣合いだからやめてほしい、俺的にも。
 このウサギの好青年が俺たちの方を見た。
「初めまして、『ブルーローズ』のマコト・モモセです」
「同じく、エドワード・グレイスです」
「はじめまして。私はここ『ミシリア』の亭主兼職人のランビー・ミシリアです。今回は馬車のお求めだとか?」
「はい」
「分かりました。では、こちらで詳しくお話を聞かせてください」
「はい」
 俺たちはランビーさんに案内されて、商談用のテーブルセットに向かった。
 俺たち全員が座るとヴァリス君が全員分の飲み物を持ってきてくれた。なんとも働き者のいい子だ。
 ランビーさんはヴァリス君の頭を撫ぜてから、受付の方に戻るように言った。ヴァリス君もそれに素直に従っている。
「いい子ですね」
「はい。いつも、手伝いをしてくれて助かります」
 子供自慢は世界共通なのだろうな、子供を褒められ頬を緩ませているランビーさんは微笑ましい。
 さぁ、馬車発注のための話し合いだ。
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