102 / 105
第三章
1、助太刀①
しおりを挟む
俺たちが旅立ってから数日が経った。
旅路は実に順調だ。
なにせ馬車を引いているのが魔獣ランクAとSなのだ。滅多なことでは襲われないのだ。
ついでに滅多なこととは力試しの魔獣や賊、高ランク魔獣を横盗ろうとする輩等だ。
全員倒されて終わりだ。
正直、俺が馬車の調理場でご飯やお菓子を作っている間に片付いている。
この対応もエドを含めた面々で決めているらしい。
らしいと言うのはだいたいが俺が調理中にやって来るのだ。
おかげで俺は全く戦闘に関わっていない。
レベル上げのためにもやりたいのだが。
そんなことを話すと狩りの時だけは参加できるようになった。
何せ調理できるのが俺しかいない現実なので諦めてる。
「ユリウス、どうだ?」
『順調ですよ、今日は何も遭遇してませんので』
「確かに。俺がお菓子なんかを作り置きしてる日は何も来ないんだよなぁ」
『ですね』
「肉も昨日手に入れたから数日はいらないし」
『ふふ、そんなもんですよ』
「……そうなんだけど」
実に面白くない。
みんなは楽しんでいるが俺は伸び悩むから困る。
本当に俺が暇な時にも来て貰いたいものだ。
トラブルを望むのも何だがおかしいものだが仕方ない。
***
そんな日を何度も繰り返しているある日、俺がお菓子を作り終わったタイミングで馬車が止まった。
今日はガイの日だった。
俺は御者の席に出た。
「ガイ、どうかしたのか?」
『マコト、血の臭いがする』
「血の?どの辺りだ?」
『道からそれるけど、この林の中』
「それなら向かおう。確認してみよう」
『分かった』
俺は御者の席について手綱を持った。
実はうちは基本的に誰も御者の席につかない。
変な話だけど、何か異変があれば引いている本人が教えてくれるし、快適な馬車の中でみんなリラックスしている。
だけど、馬車を引くのは何故か全員好きなので日替わりで交代している。
全員物好きなのだ。
『マコト、もうすぐだ』
「そうだな。争う音が聞こえてきた、これは獣が相手じゃないな」
『だな』
聞こえてきた争う音は金属が激しくぶつかり合う音だ。
これは急いだ方がいいな。
着いた先には車輪が壊れた馬車を守る様に戦う者が2人、それを襲う者が5人いる。
馬車を守る様に戦う者たちは中々上等で似た服を着ているからどこかの貴族か大商会に仕えるものだろう。
反対の襲っている者たちは野性的な服装とでも言えばいいのか完全に賊だな。
守り手の方がかなり劣性のようだ。
これはどう考えても助けないと。
「ガイ、助けるぞ」
『ああ!』
「みんな、戦闘準備!賊に襲われている人たちがいるから助けるぞ」
「「ああ」」
「「はい」」
「うん」
ガイとグランには俺たちの馬車を守ってもらい、俺とレイとシエルで助太刀をして、エドとユリウスには馬車の方を任せるとしよう。
俺がそれを伝えるとガイは不満そうだったが他が納得したので渋々納得した。
「じゃあ、行くぞ」
「うん」
「「ああ」」
「「はい」」
「はーい」
俺は守り手に迫った剣を受け止めた。
「き、君たちは?」
「通りすがりだ、助太刀する」
「あ、ありがたい」
「レイはそっちの2人を、シエルは反対の2人を」
「わかりました」
「了解」
俺は守り手を背に庇って相手の剣をさばいた。
そこまで強いと言う感じはなかった。
ただ一撃が重い。
体格がいいからだろう。
これは長引けば腕を痛めそうだ。
俺は一撃を受け流し、双剣の柄で思いっきり相手の鳩尾を打った。
「うぐっ!こ、この!」
「浅い?いや、こいつが固いのか。全く面倒だな」
「なら、沈んどけ!」
「ごめんだね、お前が沈め」
俺は何度も何度も相手の剣を受け流しては鳩尾を柄で打った。
中々しぶとくて6~7回目でやっと沈んだ。
受け流していた剣の方も何かヤバそうだ。
次の町でメンテナンスして貰わないと。
いや、頑丈すぎない?こいつ。
旅路は実に順調だ。
なにせ馬車を引いているのが魔獣ランクAとSなのだ。滅多なことでは襲われないのだ。
ついでに滅多なこととは力試しの魔獣や賊、高ランク魔獣を横盗ろうとする輩等だ。
全員倒されて終わりだ。
正直、俺が馬車の調理場でご飯やお菓子を作っている間に片付いている。
この対応もエドを含めた面々で決めているらしい。
らしいと言うのはだいたいが俺が調理中にやって来るのだ。
おかげで俺は全く戦闘に関わっていない。
レベル上げのためにもやりたいのだが。
そんなことを話すと狩りの時だけは参加できるようになった。
何せ調理できるのが俺しかいない現実なので諦めてる。
「ユリウス、どうだ?」
『順調ですよ、今日は何も遭遇してませんので』
「確かに。俺がお菓子なんかを作り置きしてる日は何も来ないんだよなぁ」
『ですね』
「肉も昨日手に入れたから数日はいらないし」
『ふふ、そんなもんですよ』
「……そうなんだけど」
実に面白くない。
みんなは楽しんでいるが俺は伸び悩むから困る。
本当に俺が暇な時にも来て貰いたいものだ。
トラブルを望むのも何だがおかしいものだが仕方ない。
***
そんな日を何度も繰り返しているある日、俺がお菓子を作り終わったタイミングで馬車が止まった。
今日はガイの日だった。
俺は御者の席に出た。
「ガイ、どうかしたのか?」
『マコト、血の臭いがする』
「血の?どの辺りだ?」
『道からそれるけど、この林の中』
「それなら向かおう。確認してみよう」
『分かった』
俺は御者の席について手綱を持った。
実はうちは基本的に誰も御者の席につかない。
変な話だけど、何か異変があれば引いている本人が教えてくれるし、快適な馬車の中でみんなリラックスしている。
だけど、馬車を引くのは何故か全員好きなので日替わりで交代している。
全員物好きなのだ。
『マコト、もうすぐだ』
「そうだな。争う音が聞こえてきた、これは獣が相手じゃないな」
『だな』
聞こえてきた争う音は金属が激しくぶつかり合う音だ。
これは急いだ方がいいな。
着いた先には車輪が壊れた馬車を守る様に戦う者が2人、それを襲う者が5人いる。
馬車を守る様に戦う者たちは中々上等で似た服を着ているからどこかの貴族か大商会に仕えるものだろう。
反対の襲っている者たちは野性的な服装とでも言えばいいのか完全に賊だな。
守り手の方がかなり劣性のようだ。
これはどう考えても助けないと。
「ガイ、助けるぞ」
『ああ!』
「みんな、戦闘準備!賊に襲われている人たちがいるから助けるぞ」
「「ああ」」
「「はい」」
「うん」
ガイとグランには俺たちの馬車を守ってもらい、俺とレイとシエルで助太刀をして、エドとユリウスには馬車の方を任せるとしよう。
俺がそれを伝えるとガイは不満そうだったが他が納得したので渋々納得した。
「じゃあ、行くぞ」
「うん」
「「ああ」」
「「はい」」
「はーい」
俺は守り手に迫った剣を受け止めた。
「き、君たちは?」
「通りすがりだ、助太刀する」
「あ、ありがたい」
「レイはそっちの2人を、シエルは反対の2人を」
「わかりました」
「了解」
俺は守り手を背に庇って相手の剣をさばいた。
そこまで強いと言う感じはなかった。
ただ一撃が重い。
体格がいいからだろう。
これは長引けば腕を痛めそうだ。
俺は一撃を受け流し、双剣の柄で思いっきり相手の鳩尾を打った。
「うぐっ!こ、この!」
「浅い?いや、こいつが固いのか。全く面倒だな」
「なら、沈んどけ!」
「ごめんだね、お前が沈め」
俺は何度も何度も相手の剣を受け流しては鳩尾を柄で打った。
中々しぶとくて6~7回目でやっと沈んだ。
受け流していた剣の方も何かヤバそうだ。
次の町でメンテナンスして貰わないと。
いや、頑丈すぎない?こいつ。
10
お気に入りに追加
1,348
あなたにおすすめの小説
謎の能力【壁】で始まる異世界スローライフ~40才独身男のちょっとエッチな異世界開拓記! ついでに世界も救っとけ!~
骨折さん
ファンタジー
なんか良く分からない理由で異世界に呼び出された独身サラリーマン、前川 来人。
どうやら神でも予見し得なかった理由で死んでしまったらしい。
そういった者は強い力を持つはずだと来人を異世界に呼んだ神は言った。
世界を救えと来人に言った……のだが、来人に与えられた能力は壁を生み出す力のみだった。
「聖剣とか成長促進とかがよかったんですが……」
来人がいるのは魔族領と呼ばれる危険な平原。危険な獣や人間の敵である魔物もいるだろう。
このままでは命が危ない! チート【壁】を利用して生き残ることが出来るのか!?
壁だぜ!? 無理なんじゃない!?
これは前川 来人が【壁】という力のみを使い、サバイバルからのスローライフ、そして助けた可愛い女の子達(色々と拗らせちゃってるけど)とイチャイチャしたり、村を作ったりしつつ、いつの間にか世界を救うことになったちょっとエッチな男の物語である!
※☆がついているエピソードはちょっとエッチです。R15の範囲内で書いてありますが、苦手な方はご注意下さい。
※カクヨムでは公開停止になってしまいました。大変お騒がせいたしました。
「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした
御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。
異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。
女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。
――しかし、彼は知らなかった。
転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――
世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜
ワキヤク
ファンタジー
その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。
そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。
創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。
普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。
魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。
まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。
制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。
これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
良家で才能溢れる新人が加入するので、お前は要らないと追放された後、偶然お金を落とした穴が実はガチャで全財産突っ込んだら最強になりました
ぽいづん
ファンタジー
ウェブ・ステイは剣士としてパーティに加入しそこそこ活躍する日々を過ごしていた。
そんなある日、パーティリーダーからいい話と悪い話があると言われ、いい話は新メンバー、剣士ワット・ファフナーの加入。悪い話は……ウェブ・ステイの追放だった……
失意のウェブは気がつくと街外れをフラフラと歩き、石に躓いて転んだ。その拍子にポケットの中の銅貨1枚がコロコロと転がり、小さな穴に落ちていった。
その時、彼の目の前に銅貨3枚でガチャが引けます。という文字が現れたのだった。
※小説家になろうにも投稿しています。
退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話
菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。
そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。
超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。
極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。
生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!?
これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。
ドロップキング 〜 平均的な才能の冒険者ですが、ドロップアイテムが異常です。 〜
出汁の素
ファンタジー
アレックスは、地方の騎士爵家の五男。食い扶持を得る為に13歳で冒険者学校に通い始めた、極々一般的な冒険者。
これと言った特技はなく、冒険者としては平凡な才能しか持たない戦士として、冒険者学校3か月の授業を終え、最低ランクHランクの認定を受け、実地研修としての初ダンジョンアタックを冒険者学校の同級生で組んだパーティーでで挑んだ。
そんなアレックスが、初めてモンスターを倒した時に手に入れたドロップアイテムが異常だった。
のちにドロップキングと呼ばれる冒険者と、仲間達の成長ストーリーここに開幕する。
第一章は、1カ月以内に2人で1000体のモンスターを倒せば一気にEランクに昇格出来る冒険者学校の最終試験ダンジョンアタック研修から、クラン設立までのお話。
第二章は、設立したクラン アクア。その本部となる街アクアを中心としたお話。
第三章は、クラン アクアのオーナーアリアの婚約破棄から始まる、ドタバタなお話。
第四章は、帝都での混乱から派生した戦いのお話(ざまぁ要素を含む)。
1章20話(除く閑話)予定です。
-------------------------------------------------------------
書いて出し状態で、1話2,000字~3,000字程度予定ですが、大きくぶれがあります。
全部書きあがってから、情景描写、戦闘描写、心理描写等を増やしていく予定です。
下手な文章で申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる