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第一章
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「…………そんな。アルバ、貴方は私を裏切っていたの?」
「ん?私は誰も信じていない。ただ、マリアを愛しているだけだ。この世に信じれるものがあるのか?貴族に産まれたからには役目がある。それを全うしなくてはいけない。それは産まれた時からの責務であり、定めだ。領地・領民を守り、ひいては国を守る。それだけだ…………どんな事があっても、例えどんな手段を取ることになっても」
「「お坊っちゃま」」
「「………………」」
「…………アルバ・ナーシェル子爵、それがそなたの考えか?」
「責務であり、役目であり、定めです、国王様」
「「………………」」
誰も何も言えなかった。
ただ愛情なく、貴族としての役目とその手段だけを教え込まされ、その役目さえも奪われ、唯一愛した相手を奪われ、虚偽の話で固められ、愛した相手に嫌悪・憎悪され、認めてもらいたかった両親や弟を自ら手にかけ、その際も両親と弟が自らの罪悪感から逃げるために謝られるだけで認めて貰えず、愛した相手を失った憐れな男がそこにいた。
アルバを裁くことに国王は躊躇した。
あまりにも、あまりにも壮絶な人生を生きてきたアルバを本当に裁いて良いのかと悩んだ。
このまま裁いてはアルバには何の救いもない。
もともと、虐待に対しての罰は同様の事を、同様の年月課せられ、斬首とすることだ。
勿論、行いが残虐であればあるほどその傾向が強くなる。
しかし、アルバはすでに似た行いを、アイリス以上の年月行われてきていた。
その弊害事態アルバ自身に現れている。
すでに心は崩壊され、誰も信じていない。
もしかしたら、唯一愛したとされるマリアも信じていない可能性もある。
ここでアルバを裁くのは過重の罰になるのではないかと言うことだ。
だが、アルバ自身が厳罰を望んでいる。
アルバがアイリスにしたことは関わりを持たないこと。
これ事態も誰の関わりを奪うと言うのかとなる。
アルバにしてみればクリムゾン伯爵をアイリスが継げるように出来ればそれで良いのだ。
むしろ、誰とも関わることを望んでいない。
罰とはそれを受けて何の苦痛も、反省もなければ意味を持たない。
ならば、極刑、死を望むアルバに対しての罰は生き続けることではないか。
しかし、ただ生きるのでは自決しかねない。
それでは意味がない。
アルバには責務がなければならない。
アルバの人生は役割、責務で決められているようなものだった。
「アルバ・ナーシェル子爵。ナーシェル子爵位と領地返還を受けよう。そして、そなたの望むようにナーシェル子爵家執事であるランドロールはクリムゾン伯爵家に戻すように。勿論、隷属魔法は解いて」
「はい、勿論です。ありがとうございます、国王様」
アルバは国王の判断に頷いた。
それこそ、アルバが望んでいることだった。
しかし、そこで異を唱えたのはランドロールだった。
「お待ち下さい!私はいくら隷属魔法をかけられていたからと言えど、アイリスお嬢様に酷い態度を取ったのは事実です!」
「うむ」
「私が隷属魔法を解かれ、クリムゾン伯爵家に戻るのでは何の咎も受けていません!」
「ランドロール、それで良い」
「旦那様!」
「お前にクリムゾン伯爵家の領地経営を学ばせたのは私がいなくても経営できる様にだ。お前まで咎を受けては誰がそれを行う」
「しかし!」
二人の言い合いを見ていた国王はふっと疑問に思った。
ランドロールはアイリスとマリアを助けるためにやって来た。
いくら隷属魔法をかけられていても命を懸ければ二人を救えたはずだ。
それが今までアルバに仕えてきた。
それだけではなく、共に罪を償おうとしている。
いったい、それは何のためか。
国王はそれをランドロールに聞いた。
「ん?私は誰も信じていない。ただ、マリアを愛しているだけだ。この世に信じれるものがあるのか?貴族に産まれたからには役目がある。それを全うしなくてはいけない。それは産まれた時からの責務であり、定めだ。領地・領民を守り、ひいては国を守る。それだけだ…………どんな事があっても、例えどんな手段を取ることになっても」
「「お坊っちゃま」」
「「………………」」
「…………アルバ・ナーシェル子爵、それがそなたの考えか?」
「責務であり、役目であり、定めです、国王様」
「「………………」」
誰も何も言えなかった。
ただ愛情なく、貴族としての役目とその手段だけを教え込まされ、その役目さえも奪われ、唯一愛した相手を奪われ、虚偽の話で固められ、愛した相手に嫌悪・憎悪され、認めてもらいたかった両親や弟を自ら手にかけ、その際も両親と弟が自らの罪悪感から逃げるために謝られるだけで認めて貰えず、愛した相手を失った憐れな男がそこにいた。
アルバを裁くことに国王は躊躇した。
あまりにも、あまりにも壮絶な人生を生きてきたアルバを本当に裁いて良いのかと悩んだ。
このまま裁いてはアルバには何の救いもない。
もともと、虐待に対しての罰は同様の事を、同様の年月課せられ、斬首とすることだ。
勿論、行いが残虐であればあるほどその傾向が強くなる。
しかし、アルバはすでに似た行いを、アイリス以上の年月行われてきていた。
その弊害事態アルバ自身に現れている。
すでに心は崩壊され、誰も信じていない。
もしかしたら、唯一愛したとされるマリアも信じていない可能性もある。
ここでアルバを裁くのは過重の罰になるのではないかと言うことだ。
だが、アルバ自身が厳罰を望んでいる。
アルバがアイリスにしたことは関わりを持たないこと。
これ事態も誰の関わりを奪うと言うのかとなる。
アルバにしてみればクリムゾン伯爵をアイリスが継げるように出来ればそれで良いのだ。
むしろ、誰とも関わることを望んでいない。
罰とはそれを受けて何の苦痛も、反省もなければ意味を持たない。
ならば、極刑、死を望むアルバに対しての罰は生き続けることではないか。
しかし、ただ生きるのでは自決しかねない。
それでは意味がない。
アルバには責務がなければならない。
アルバの人生は役割、責務で決められているようなものだった。
「アルバ・ナーシェル子爵。ナーシェル子爵位と領地返還を受けよう。そして、そなたの望むようにナーシェル子爵家執事であるランドロールはクリムゾン伯爵家に戻すように。勿論、隷属魔法は解いて」
「はい、勿論です。ありがとうございます、国王様」
アルバは国王の判断に頷いた。
それこそ、アルバが望んでいることだった。
しかし、そこで異を唱えたのはランドロールだった。
「お待ち下さい!私はいくら隷属魔法をかけられていたからと言えど、アイリスお嬢様に酷い態度を取ったのは事実です!」
「うむ」
「私が隷属魔法を解かれ、クリムゾン伯爵家に戻るのでは何の咎も受けていません!」
「ランドロール、それで良い」
「旦那様!」
「お前にクリムゾン伯爵家の領地経営を学ばせたのは私がいなくても経営できる様にだ。お前まで咎を受けては誰がそれを行う」
「しかし!」
二人の言い合いを見ていた国王はふっと疑問に思った。
ランドロールはアイリスとマリアを助けるためにやって来た。
いくら隷属魔法をかけられていても命を懸ければ二人を救えたはずだ。
それが今までアルバに仕えてきた。
それだけではなく、共に罪を償おうとしている。
いったい、それは何のためか。
国王はそれをランドロールに聞いた。
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