上 下
20 / 21
第一章

18

しおりを挟む
今まで上げた①から⑤の選択肢は最良もしくはマシなものだが、これから上げる選択肢は良くないものであり、最悪なものだ。

⑥ユンゲート領をアルフレッド領と統合し、アルフレッド領を継いだ者が治める。その際、ユキルディスは他貴族家か大商会に婿入りする。
⑦ユンゲート領の開拓は成人の儀でユキルディスの能力を試すためとして一時的に拝領したものと宣言し、ユキルディスはアルフレッド家に戻るがアルフレッド領とユンゲート領は現在のアルフレッド家の者が別々に統治する。
⑧ユンゲート領の開拓は成人の儀でユキルディスの能力を試すためとして一時的に拝領したものと宣言し、ユンゲート領を召し上げる。ユキルディスはアルフレッド家に戻るが当主は現在のアルフレッド家の者がなる。ユンゲート領はユキルディスと関わりのない者が統治する。
⑨ユンゲート領の開拓は成人の儀でユキルディスの能力を試すためとして一時的に拝領したものと宣言し、ユンゲート領を召し上げる。ユキルディスは他貴族家か大商会に婿入りする。ユンゲート領はユキルディスと関わりのない者が統治する。
⑩ユキルディスが大罪を犯したと冤罪をでっち上げ、ユキルディスを廃爵し、国外追放または厳罰・死罪を与える。その際にアルフレッド領とユンゲート領は現在のアルフレッド家の者が別々に統治する。
⑪ユキルディスが大罪を犯したと冤罪をでっち上げ、ユキルディスを廃爵し、国外追放または厳罰・死罪を与える。その際にアルフレッド領は現在のアルフレッド家の者が、ユンゲート領はユキルディスと関わりのない者が統治させる。
⑫ユキルディスが大罪を犯したと冤罪をでっち上げ、ユキルディスを廃爵し、ユキルディスの罪の責任を現在のアルフレッド家にも求め、アルフレッド家全員に国外追放または厳罰・死罪を与える。アルフレッド領もユンゲート領も召し上げる。統合もしくは別々に関わりのない者に拝領する。

この中で一番の悪手は⑫だが、⑩と⑪もかなりの悪手である。
既に冤罪と言っている時点で三つともアウトだ。
育てた領地を奪うだけでなく、罪人とするのだから、アウト以外のなにものでもない。

⑫に関してはジークフリードも罪に問うことになるが、ジークフリードの騎士としての功績があるから減刑される可能性が高く、あえてお咎め無しにすることも考えられる。
いや、ジークフリードの力を手元に置いておきたいがためにそうするだろうし、それを恩着せがましく伝えるだろう。
しかし、そんな事でジークフリードが靡くわけはない、自身が自由に動けるように受け入れたふりはするだろうが。

そして、この三つの場合、怒り狂ったジークフリードがユキルディスを救うために謀反を起こすのは目に見えてるし、ユキルディスを生かすために国を出ていくのも分かりきっている。
そして、ユキルディスの命を守るためにやはり国を落としにかかるのも予想できる。
ついでに⑫で一緒に罪に問われる実の家族に関してはそのまま助けず、むしろ死罪か死ぬより苦しい目にあえと思っているだろう事も予想できる。

⑧と⑨も問題だ。
領地を奪い、関係のない者が領主として君臨するのだから、ジークフリードが王家と領主となった者を許すはずがない。
ましてや、⑨の場合はユキルディスはアルフレッド家にも戻れず、婿養子になっている。
婿養子に関しては⑥もそうだが。

マルテスト王国では女当主を認めているので、婿養子ではほとんど権限がない。
何をするにも相手の許可を得る必要もあるので、相手次第になってしまう。
例え、ジークフリードが継いでその後をユキルディスの子供に継がせようとしても相手の承諾なしには出来ないし、そうなると相手方の条件をのむような形になるのでまともな条件にはならないかもしれない。
まともな条件にならなければ、相手方を潰してでもユキルディスを連れて帰り、ユキルディスに早々に跡目を継がせるか、アルフレッド家で一生世話をしかねない。
世話と言ってもアルフレッド家の者として嫁を貰い、アルフレッド家で生活させるという意味だ。

それにユキルディスの婿入り先が劣悪だった場合もジークフリードがその家を根絶やしにしてでもユキルディスを助け出すだろう。
いや、その前にユキルディスに会わせなかったら何かあると判断して手をうつ可能性も十二分に考えられる。
というより、乗り込むのは前提としてこの段階で根絶やしになる可能性もある。
万が一にでもユキルディスに危害を加えていたら、それを行った相手も婿入りを取り決めて許した王家も恨まれ、根絶やしにされる可能性もある。

⑦と⑧はユキルディスはアルフレッド家に戻ってはいるものの当主ではない。
それでは意味がないと言われる可能性は高いが、ジークフリードが継いだ方をユキルディスに継がせる可能性は高いだろう。
もう一つの方は諦めるしかないが。

ジークフリードが諦めるかどうかはユキルディス次第でもあるので、それは予測できない。

これだけの可能性があるので、ラインハルトはすぐにシュヴァルツに相談することにした。
出きるだけ、最上の条件となる『⑤ユキルディスがアルフレッド家の直系の血筋であるため、ユキルディスを頂点としてアルフレッド領とユンゲート領を統合、ユンゲート領が国境の領地であることを考慮し、爵位を辺境伯爵として陞爵される』を行えるように。
そして、ジークフリードを絶対に敵に回さないように。

何故、ここまでシュヴァルツたちがジークフリードを敵に回すのを恐れるかというと理由がある。














しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【魔力商人】の僕は異世界を商売繫盛で成り上がる~追放で海に捨てられた為、海上ギルド建てたら実力も売上も波に乗って異世界最強に~

きょろ
ファンタジー
飛ぶ鳥を落とす勢いで、たちまち一目を置かれる存在となったギルド【フレイムナイツ】 この剣と魔法の異世界では、数多の冒険者達が日々活躍していた。 基本は4人編成のパーティから始まるが、ランクや実績を重ねたパーティは人数を増やし、自分達でギルド経営をする事が多い。 この世界では、10歳になると全ての人間が“職種適正”を受け、その適正で【剣士】や【魔法使い】といった職種が決まる。そうして、決まった職種と生まれ持った魔力を合わせて冒険者となる人が多い。 そんな中で、パーティ結成から1年しか経たないにも関わらず、その確かな実力で頭角を現してきたギルド……フレイムナイツー。 ギルドには【剣士】【魔法使い】【ヒーラー】【タンク】等の花形の職種が当然メインだが、ギルド経営となるとその他にも【経営】【建設】【武器職人】等々のサポート職種もとても重要になってくる。 フレイムナイツのマスターで剣士の『ラウギリ・フェアレーター』 彼を含めた、信頼できる幼馴染み4人とパーティ結成したのが全ての始まり―。 ラウギリの目標は異世界一の最強ギルドを築き上げる事。 実力も仲間も手に入れ、どんどん成長していくラウギリとその仲間達が織り成す怒涛の異世界成り上がりストーリー!! ………ではなく、 「無能で役立たずなお前はもういらねぇ!俺のギルドの邪魔だ!消え失せろッ!」 「え……そんな……嘘だよね……?僕達は幼馴染みで……ここまで皆で頑張ってきたのに……!」 「頑張ったのは“私達”ね!【商人】のアンタは何もしていない!仕方なくお世話してあげてたのよ。アンタはもう要らないの」 信じて疑わなかったラウギリと幼馴染達……。仲間達から突如お荷物扱いされ、挙句にギルド追放で海のど真ん中に放り棄てられた【商人】担当、『ジル・インフィニート』のお話――。 「そういえば……ギルドって沢山あるけど、この“海”には1つも無いよね……」 役立たずと捨てられたジルであったが、開花した能力と商才で1からギルドを立ち上げたら何故か実力者ばかり集まり、気が付いたら最強勢力を誇る異世界No.1のギルドになっちゃいました。 婚約破棄された人魚に蛙と融合した武術家、剣を抜けない最強剣士に追放された聖女から訳アリ悪役令嬢までその他諸々……。 変わり者だが実力者揃いのジルのギルドは瞬く間に異世界を揺るがす程の存在となり、国の護衛から魔王軍との戦いまで、波乱万丈な日々がジル達を迎える―。

引きこもり転生エルフ、仕方なく旅に出る

Greis
ファンタジー
旧題:引きこもり転生エルフ、強制的に旅に出される ・2021/10/29 第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞 こちらの賞をアルファポリス様から頂く事が出来ました。 実家暮らし、25歳のぽっちゃり会社員の俺は、日ごろの不摂生がたたり、読書中に死亡。転生先は、剣と魔法の世界の一種族、エルフだ。一分一秒も無駄にできない前世に比べると、だいぶのんびりしている今世の生活の方が、自分に合っていた。次第に、兄や姉、友人などが、見分のために外に出ていくのを見送る俺を、心配しだす両親や師匠たち。そしてついに、(強制的に)旅に出ることになりました。 ※のんびり進むので、戦闘に関しては、話数が進んでからになりますので、ご注意ください。

勇者パーティを追放されそうになった俺は、泣いて縋って何とか残り『元のDQNに戻る事にした』どうせ俺が生きている間には滅びんだろう!

石のやっさん
ファンタジー
今度の主人公はマジで腐っている。基本悪党、だけど自分のルールあり! パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のリヒトは、とうとう勇者でありパーティリーダーのドルマンにクビを宣告されてしまう。幼馴染も全員ドルマンの物で、全員から下に見られているのが解った。 だが、意外にも主人公は馬鹿にされながらも残る道を選んだ。 『もう友達じゃ無いんだな』そう心に誓った彼は…勇者達を骨の髄までしゃぶり尽くす事を決意した。 此処迄するのか…そう思う『ざまぁ』を貴方に 前世のDQNに戻る事を決意した、暗黒面に落ちた外道魔法戦士…このざまぁは知らないうちに世界を壊す。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

凡人領主は優秀な弟妹に爵位を譲りたい〜勘違いと深読みで、何故か崇拝されるんですが、胃が痛いので勘弁してください

黄舞
ファンタジー
クライエ子爵家の長男として生まれたアークは、行方不明になった両親に代わり、新領主となった。 自分になんの才能もないことを自覚しているアークは、優秀すぎる双子の弟妹に爵位を譲りたいと思っているのだが、なぜか二人は兄を崇め奉る始末。 崇拝するものも侮るものも皆、アークの無自覚に引き起こすゴタゴタに巻き込まれ、彼の凄さ(凄くない)を思い知らされていく。 勘違い系コメディです。 主人公は初めからずっと強くならない予定です。

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります

古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。 一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。 一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。 どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。 ※他サイト様でも掲載しております。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

処理中です...