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第一章

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「本当に何もない所だなぁ」

ユキルディス・フォン・ユンゲートの第一声はこれだった。
そして、彼の目の前に広がる光景はこの一言に集約されていた。

ここはユンゲート領、ユキルディスが貰い受けた領地だ。
しかし、ここはユキルディスが暮らすマルテスト王国の中でも有名な瑕疵かし物件だ。
植物はほとんど自生せず、水もなく、あるのは隣国に近い岩山ばかり。
つまり生き物が住めるような場所ではない。
なぜ、この土地をユキルディスが貰い受けたのかと言うと貴族の習わしであり、彼とその家族との折り合いが良くなかったからだ。

事の全てを話すにはまずユキルディスが産まれる前から話さなくてはいけない。
彼、ユキルディス・フォン・ユンゲートは転生者なのだ。


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