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パパさまとの交流
しおりを挟む「キティ」
「あ、パパさま」
廊下で遭遇したパパさまにヒョイっと抱き上げられる。最近はよくあることだ。
「一緒にジークハルトの所に行こうね」
「ジークに用事?」
「うん」
そしてわたしはパパさまに抱っこされたまま来た道を戻って行った。
「ジークハルト、明日一日を家族水入らずデーにしようと思う」
「…………は?」
パパさまの突然の申し出にジークはちょっと驚いた顔になる。レアだね。
「せっかくキティと親子になったのに、ジークハルトがいるから一向に仲を深められないんだよ!? 一日くらい親子水入らずデーをくれてもいいだろ? 君は水なんだよ! うぉーたー!!」
「叔父上……」
パパさまの熱弁にジークがちょっと引いてる。
「いいだろ!? 僕は娘と二人っきりで過ごしたいんだ!!」
興奮したパパさまにギュムギュムと抱き締められる。ちょっとくるちい。
「キティとピクニックに行って夜は僕の部屋で一緒にお泊りするんだ!!!」
パパさまはまるで駄々っ子みたいにわめく。そんなパパさまに流石のジークも折れたみたいだ。
「……分かった。いいだろう」
「よかった。これからは最低でも月に一度は水入らずデーをもらうからね。文句は一切聞かないよ」
「……」
ジークは不満そうな顔をしてるけど無言だ。これは許可したってことでいいのかな……?
「やったねキティ! じゃあさっそく明日は僕と二人でピクニックに行こうね。夜は僕が子守唄を歌って寝かしつけてあげるからね」
「……うぃ」
おおう、展開が早い……。
***
「おはようキティ」
「……おは……?」
朝、目が覚めたらパパさまの顔が目の前にあった。びっくり。
隣で寝ていた筈のジークを見たら、呆れ果てた顔でパパさまを見ていた。
「叔父上、ここは一応俺の部屋だから無断で入ってこられても困るのだが……?」
「キティは寝顔もかわいいねぇ。ずっと見てても飽きないよ」
どうやら、ちょっと前に来て私の寝顔を観察してたようだ。
今日はよだれ垂らしてなかったのかな。と思ったらハンカチで口元を拭われた。むぅ。
パパさまが持ってきたワンピースに着替えると。おでこにチュッとされた。
「かあいい! 流石僕の娘。今日はパパのお膝で朝ご飯食べようね。あ、朝ご飯はジークハルトも一緒でいいよ?」
「……」
無言のジークをよそにパパさまは私を抱き上げて食堂に向かった。パパさまつよ~い。
一人ポツンと残された室内でジークハルトは呟いた。
「叔父上の親バカは健在だな……」
***
「さあキティ、ピクニックに行こうか」
「あい。ジーク、いってきます」
「ああ。楽しんでこい」
ジークに手を振り、城を出発する。
そして私はパパさまに抱っこされて湖に連れてこられた。
「きれいな湖だねぇ」
「でしょう?」
片手にお昼ごはんなどの入った籠を持ったパパさまは自慢気に頷いている。
「よし、ちょっと湖に入ってみようか」
パパは籠を芝生の上に置いてそう言った。
私達は裸足になって湖の水に足を浸けた。
「つめたいっ!」
「ハハッ、冷たいねぇ」
パパさまに自然に手をとられる。そしてそのまま手を繋いで湖の中を散策した。
「ふふっ、今日はお邪魔虫がいなくて快適だねぇ」
水遊びの後は地面に敷物を敷き、その上に座ったパパさまの太ももに私は頭をのせて耳かきを受けている。別にわざわざ外でやらなくてもいいと思うけど、今やりたい気分らしい。パパさまの母性が半端ない。
「どうですか~?」
「にゅむむむ……」
とってもきもちいいです。
カリカリと絶妙な力加減で耳の中をかかれる。ごくらくごくらく。
ポカポカな日差しと相まって眠くなるにゃあ……。
「は~い、反対側向いて~」
「あい」
私はクルンと反対側を向いた。
そしてもう片方の耳もきれいにしてもらう。そうしているうちに私は眠ってしまった。
***
頭を撫でられる感覚で私の意識は浮上する。
「あ、キティ起きた?」
「……おきた?」
「ふふっ、なんで逆に聞いてくるの? ちゃんとかわいいおめめが見えてるよ」
微笑んだパパさまに優しく頭を撫でられる。
「ちょっと時間過ぎちゃったけど、お昼ごはん食べようか」
「うん」
お昼ごはんを食べ、暫くゆっくりした後私達は魔王城に帰還した。
「ジークただいま」
「ああ、おかえり」
出迎えてくれたジークにギュッとハグされる。すると、グイっとパパさまに引っ張られ、ジークから引き離された。
「叔父上……」
「今日は僕がキティを独占する日だから」
魔王であるジークに睨まれても一歩も引かず、パパ様はニッコリ笑った。つおい……。
その後はジークの入る隙もないくらいひたすらパパさまと戯れた。
そうして夜はパパさまのやたら上手い子守唄を聞きながら一緒に寝た。
聞き入っちゃって逆に眠れなかったよ。
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