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三章

学校見学に行きます!

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 そして私達は学園へと向かった。
 るんるんの子竜達がかわいいです。

 きゅるきゅると鳴く子竜達は楽しみで仕方がないといった様子だ。

 子竜達がお出かけするということはもちろん母竜達もついて来る。母竜達に乗って少し飛ぶと学園にはすぐに到着した。

 学園のグラウンドに着陸した母竜達はここで待っていてくれるようだ。流石に母竜達は校舎の中には入れませんもんね。
 今回は子竜達の引率のためにシアラさんも一緒に来てくれた。
 私、ヴォルフス様、シアラさん、そして子竜達で校舎の中へと向かう。

 校舎の入り口には壮年の男性が待っており、私達を出迎えてくれた。

「陛下、ようこそお越しくださいました」
「いや、礼を言うのはこちらの方だ。見学の申し出を快く受け入れてくれてありがとう学園長」
「いえいえ、こんなに間近で陛下や姫様をお目にかかる機会などそうそうありませんから生徒達も喜びます。ましてや子竜なんて竜舎で働かない限り見ることなどできないと思っておりました。本当にかわいらしいですね」

 学園長がうっとりとした目で子竜ズを見る。分かります、ほんとにかわいいですよね。今日はそれぞれネクタイとリボンを着けているからまるで仮装大会のようでより一層かわいい。

 改めて子竜のかわいさを噛み締めていると、学園長さんが私に話かけてきた。

「そうだ姫様、一つお耳に入れておきたいことが」
「? はい、なんでしょう」
「もしかしたら姫様のことを過剰に崇める生徒がいるかもしれないので、驚かれないように先に説明をと思いまして」
「崇める……ですか?」

 そう言われても私にはピンとこない。だけど、ヴォルフス様には心当たりがあたようだ。

「あ、そうだな、リアはあまり外に出ないから忘れていた。リア、この国には聖竜教という聖竜を信仰する者達がそこまで多くはないがいる。半分とはいえ、リアには聖竜の血が入っているから、もしかしたらその者達に拝まれたりすることはあるかもしれない」
「そうなんですね」

 まあ、私は半分だけですから聖竜教のみなさんもあんまり興味がないと思いますけど。むしろなんか、来たのがお母さんじゃなくてごめんなさいって気持ちです。

「いきなり拝まれたらリアはびっくりするかもしれないが、あまり驚かないでやってくれ。そこまで過激なものはいなから大丈夫だとは思うが」
「分かりました」

 そんなやり取りをした後、私達は校舎内に足を踏み入れた。そしてどうやら、贅沢なことに学園長さんが直々に学園内を案内してくれるようだ。


「――わぁ、同じ部屋が何個もあるんですね」

 教室は廊下側にも窓があったので、廊下からも教室内の様子がよく見える。みんな座ってますけどやっぱり大きいですね。
 自分よりも大きい人達がたくさん座っている様子はやっぱり少し威圧感があった。使っている机とイスも私が家で使っているものより大きいですし。

 今は授業中らしく、みんな真剣に先生の方を見て話しを聞いている。

 その時ふと、一人の生徒がこちらを見た。
 私と目があった男の子は、びっくりしたのか徐々に目を見開いていき、パクパクと口を開閉させる、授業中だから騒いじゃいけないと思ったんですかね。偉いです。
 目があったままだと少し気まずいのでちょこちょこっと手を振ってみた。
 あ、こんなことしたら邪魔ですかね? 
 男子生徒は先生じゃなくてこちらをガン見しちゃってますし。

「――あ、こら、飛び出さないでください」

 シアラさんの声がしたのでそちらを見ると、シアラさんに抱っこされている子竜達が身を乗り出して教室の中を覗き込んでいるところだった。
 子竜達を落としてはならないとシアラさんが一歩教室の方に近付くと、子竜達はべったりと教室の窓に張り付く。ほんとに興味津々ですね。
 窓にペタっとくっつく小さな前脚がとてもかわいらしい。

 すると、いよいよ他の生徒や先生もこちらに気付いたようだ。
 最初の男子生徒と同じようにみんなこっちを見て大きく目を見開く。あ、先生もだ。

「おやおや、みんなに気付かれてしまいましたね。姫様、子竜ちゃん達、せっかくですし中で少し授業を受けてみますか?」
「「「きゅっ!?」」」
「いいんですか?」
「はい」

 学園長の言葉に、私はちらりとヴォルフス様を見上げる。子竜達も同じようにヴォルフス様を見上げた。

「それじゃあ学園長の厚意に甘えることにしよう。だが、授業の途中に入ると邪魔になるから次の時間に少し混ぜてもらおう」
「「「「!」」」」

 そして、私達は次の時間にこのクラスに混ぜてもらうことになった。

 こちらの会話が聞こえていたのか、教室の中から「よっしゃあ」とか「姫様と子竜ちゃん達がくるとかやばい」とかいう呟きが聞こえてくる。

 たぶん、歓迎されてるんですよね?

 とりあえず、学生みたいなことが出来るのは楽しみだった。

 私も、制服を着てちょっと舞い上がっているのかもしれない。











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