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2章 婚約と新たな火種

婚約発表と創造神の加護

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 王子達との顔合わせが終わるとアルバーン国王陛下は王城から王都広場と呼ばれる王城の門の前にある場所が見渡せる演説用の部屋に向かった。

 王国民たちはその王都広場と呼ばれる場所に集まりアルバーン国王陛下の声をきく。

 今回演説を行う人はアルバーン国王陛下、マリア王女、俺、アイズ教皇の4人だ。

 アイズ教皇が演説を行う理由は、俺の創造神様の加護をこの目でちゃんと見たため嘘ではないと、世界中に知らせるためだ。

 教皇が認めればそれを否定できる人物など、いないようなものだ。

 演説が行われる10分前、話す順序の最終確認を俺はしていた。

 一番目に話すことはマリア王女との婚約について。

 二番目は創造神様から加護を授かったこと。

 3番目に公爵の爵位を貰ってアルバーン王国の貴族であることを示すことだ。

「アーマンくん緊張してる?」

「もちろん緊張しています。大勢の人が見ている中で話すなど思ってなかったので」

「大丈夫よ。演説の時はお辞儀だけすればいいって私のお父様が言ってたじゃない。それにアーマンくんのお父さんやお母さんも近くで見守ってくれるのだから」

「そうですね。私はマリア王女がそこまで緊張していないことが驚きです」

「私は王家の血を引く1人として小さい時から、大勢の人の前に出ていたから今更緊張なんてしないよ」

 そう言うとマリア王女は両手の手のひらを出してきた。

「どうしたんですか?」

「手を握って」

 よく分からないが手を握れと言われたので両手でマリア王女の手を握った。

「むむむむむ~~はい! もう大丈夫!」

「え? 何が大丈夫なんですか」

「アーマンくんの緊張はもうありません! 私の勇気をあげたから!」

「プッ! あはははははははははは」

「なんで笑うの! 真面目だったのに!」

「いや、すみません。真剣そうに何やってるのかなと思ったら勇気をくれてるなんて思わなかったです」

「もう! これお母様が私が緊張してる時にやってくれて、それで緊張解けたから同じことしてあげたのに笑うなんて!」

 マリア王女に気にされるほど緊張していたと思わなかった。

「でももう大丈夫です。マリア王女様から勇気もらえましたからもう緊張は解けました。ありがとうございます」

「それなら良かった!」

 会話が終わると同時くらいに遂にアーマンの人生が大きく変わる演説が始まった……




###

「アルバーン王国に住む王国民よ! 本日は私の娘である第一王女マリア・アルバーンの婚約発表のために集まってくれて嬉しく思う!」

「婚約発表の終わったあと、他にも重大な発表があるために少し話が長くなることを予め伝えておく」

 婚約発表のあとに重大な発表があると知らなかった王国民たちはざわつき始めた。

「婚約発表より大切なことってなんだ?」「第一王子か第二王子が結婚でもするのか?」などと近くにいる人達で予想をし始めた。

 貴族たちも何のことか分からず、一般王国民と同じように予想を広げていた。

「静寂に!」

 シーン……

「では婚約発表をはじめる」

 アルバーン国王陛下は俺とマリア王女に来るように目で合図を出したためすぐに王国民の前に出た。

「第一王女マリアの婚約者であるアーマン・ヘンドリクス・ペネシットだ」

 俺がお辞儀すると、そういう決まりがあるのか一般市民からは盛大な拍手が贈られた。

 逆に貴族達は第一王女の婚約者が子爵の子だと知り、不愉快な気分になっていた。

 なぜ子爵程度の子供が王家の王女と婚約出来るなど、何か不正をしたか弱みを握られてるなどとありもしない疑いを向けているように見えた。

 アルバーン国王陛下もこれに気がついていたが無視して婚約の続きをしていた。

「では婚約の儀式をこれから行う」

 婚約の儀式は簡単だ。俺が片膝をつき、マリア王女がだす右手のこうにキスをするだけだ。

 それを行えば婚約は成立したことになる。

 本番となると少し緊張したがマリア王女のくれた勇気があったのか固まることなく動くことが出来た。

 マリア王女が右手を出してきたので片膝をつき手の甲にキスをした。

 その瞬間、先程より盛大な拍手が贈られた。

「これにて婚約発表は終わりとする!」

 そうしてマリア王女だけ退出していき、それと入れ替わりでアイズ教皇が出てきた。

 王国民は混乱していた。

 重大な発表のはずなのになぜそこにアイズ教皇が出てくるのかと……

「今回は先程紹介したマリアの婚約者であるアーマン・ヘンドリクス・ペネシットのことについてだ。その証言人としてアイズ教皇を呼ばせてもらった。これは人類に大きく関わることのため心して聞いてほしい」

 遂に俺の創造神の加護について話す時が来た。

「アーマンは人類や亜人の中で初めて創造神様からの加護を授かった者だ!」

 全体が静まり返った………… 
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