異世界ツアーしませんか?

ゑゐる

文字の大きさ
上 下
228 / 243

228 修学旅行3日目です 8

しおりを挟む
 ここは、密林に囲まれた湖の岸辺です。

 スピノサウルスとティラノサウルスが戦っています。縄張り争いかもしれません。
 いま互いににらみ合っています。

ティラ「グルル・・・」
スピノ「ガァー・・・」

実況 「スピノが一歩下がった。
    ティラノは・・・一歩下がった?」

実況 「ティラノが離れていきます」

実況 「振り返りました」

解説 「命拾いしたな・・・お前がな・・・
    そう言っているようですね」
実況 「ティラノは密林に向かっています」

実況 「ドロー。決着つかず、引き分けです。
    ティラノサウルス、密林に姿を消しました。
    そしてスピノサウルスも水中に姿を消しました」

実況 「引き分けに終わりましたが、
    戦いを振り返ってみてどうですか?」
解説 「決着はつきませんでしたが、迫力ありましたね。
    力押しだけでなく、頭脳戦もよかったです」
実況 「はい。王者決定とはいきませんでしたが、名勝負でした。
    ご覧の皆さんも、いい思い出になった思います」

実況 「本日の恐竜対決は終了です。それでは皆さん、また来週」
男子 「来週もあるのかよ」
女子 「 ww バカ ww 」

ローラ「面白かったわ」

 実況と解説が面白すぎです。

女子 「すごかったね」
女子 「うん、よかった」
男子 「すげえ動画が撮れた」
男子 「俺も。これ人に見せたら実写だって信じるかな」
男子 「信じないかもな」

 当然わたしも動画を撮影しました。
 恐竜はどちらも大きな怪我はしていません。よかったです。

志村 「大迫力のすごい戦いでした。
    生徒たちのいい思い出になりますね」
アンナ「はい」

アンナ「それでは次の場所に移動します」

 わたしはMTVを上昇させました。

アンナ「転移」


*    *    *


 私たちは草原の上空に転移しました。

 MTVの中は恐竜対決の件でざわざわしています。

アンナ「下をご覧ください」

女子 「また恐竜?」

 わたしはMTVの高度を下げました。

アンナ「ティラノサウルスです」

男子 「さっきのティラノサウルスと違う」
男子 「羽毛がある」
志村 「どういうことですか?」
アンナ「なぜ羽毛があるのか、わかりません。生息環境なのか、
    突然変異なのか、魔素の影響なのか。原因は不明です。
    異世界には羽毛有りと羽毛無し、
    二種類のティラノサウルスがいます」

 ティラノサウルスは全長11m、全身がこげ茶色の羽毛で覆われています。

志村 「地球に生息していたのは、どちらですか?」
アンナ「今のところ、わたしにもわかりません」
志村 「そうですか」
アンナ「地球で新たに発見される化石次第だと思います」

男子 「すげえな」
男子 「羽毛があるって、なんか変じゃね」
男子 「うん、ダサい」
男子 「そうか、これはこれでありだろ」
女子 「私は嫌いじゃない」
女子 「もふもふ恐竜」

 賛否両論ですね。

 いま羽毛ティラノサウルスは草原の中を歩いています。

女子 「なんか大きな鳥みたいだね」
女子 「着ぐるみっぽい」
女子 「 ww たしかに」
女子 「かわいいかも」

 湖が見えてきました。前回の恐竜ツアーで来たところです。

ローラ「きれいな湖ね」

 水辺にいた動物は恐竜の気配に気付き逃げていきます。
 しかし鳥の群れが残っています。
 ティラノサウルスは捕食するため、鳥に向かいますが逃げられました。

女子 「残念」
女子 「鳥は簡単に捕まらないよね」

ティラ「グルル・・・」

 ティラノサウルスは湖を見つめています。
 目線の先にある離れた対岸には、別の恐竜がいます。

アンナ「湖の対岸に恐竜がいます。そちらに向かいます」

 MTVは、その恐竜に向かって湖の上空を飛行します。

 岸辺に近づきました。

アンナ「あそこに恐竜がいますが、皆さんわかりますか?」
男子 「どこ?」
女子 「どこにいるの?」
男子 「わかった、あれか」
女子 「私にも見える」
男子 「ニュータイプかよ。俺には見えねえぞ」

 わたしはその恐竜に接近しました。

生徒 「わかった」

 ほとんどの生徒がわかったようです。

アンナ「この恐竜は、ヨシダサウルスと言います」
男子 「よしだ?」
アンナ「はい、ツアー客の吉田さんが発見した新種の恐竜です」
男子 「だからヨシダサウルス・・・」

 ヨシダサウルスは全長15m、頭の高さは6mです。
 全身が緑と茶色のまだら模様で、迷彩服のようです。
 鼻の上に大きな角があり、上あごから二本の牙が突き出しています。
 そして後頭部から尻尾の先までギザギザの突起があります。
 二足歩行の恐竜ですが、発達した前肢は腕のようです。

ローラ「かっこいいわ」
男子 「すげえ」
男子 「なんだよこれ、怪獣かよ」
女子 「すごいね」
女子 「イケメンすぎる」

志村 「地球にも生息していた恐竜ですか?」
アンナ「わかりません。地球に生息していた可能性はありますが、
    化石は発見されていないと思います。
    異世界独自の恐竜かもしれません」
志村 「そうですか。それにしてもすごい恐竜ですね」

男子 「異世界の恐竜、ヤバすぎだろ」
男子 「地球でも化石発見されるといいな」
男子 「こんなヤバいやつ、地球にいない気がする」
男子 「そうかもな」

 MTVには光学迷彩をかけてありますが、こちらを見ています。位置がわかるのでしょうか。

ヨシダ「グォー・・・・・・」

男子 「すげえ迫力」
男子 「貫禄あるな」
男子 「恐竜対決したら、王者確定だろ」
男子 「ああ、間違いない」

アンナ「そろそろ飛行島に戻ります」
男子 「あと1分だけ」
アンナ「わかりました」

 あと1分間観察して戻ることにしました。

     *

アンナ「それでは戻ります」

 わたしはMTVを上昇させました。

女子 「バイバーイ」

アンナ「転移」



 私たちは飛行島に戻ります。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】

小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。 他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。 それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。 友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。 レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。 そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。 レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

処理中です...