異世界ツアーしませんか?

ゑゐる

文字の大きさ
上 下
75 / 243

075 貴族です

しおりを挟む
 ここは、ワウラの街です。

 わたしは昼食を終えて、猫耳亭を出ました。

男 A 「お前がアンナか?」
アンナ「そうですが、なにか?」
男 A 「一緒にこい」
アンナ「どちらまで?」
男 A 「ワウラ伯爵様のお屋敷だ」

 貴族?

アンナ「お断りします」

『転移』


*    *    *


 教会の近くに転移しました。

 わたしは、貴族に関わる気はありません。
 どうせ不愉快な思いをするだけです。時間の無駄です。

 これから行くのは、教会の孤児院です。
 いつも街の清掃は孤児達がしています。
 もちろんわたしが報酬を支払っていますが、子供に労働をさせるのは気が引けます。
 そのお礼に、差し入れをするためです。

男 B 「お前がアンナだな」

 またですか。
 待ち伏せされていますね。さっきとは別の人です。

アンナ「何か御用でしょうか」
男 B 「伯爵様の屋敷に来てもらうぞ」
アンナ「お断りします」

 わたしは走って、礼拝堂に入りました。
 中では、神官と信者数人が祈りを捧げています。
 教会の中までは、追って来ないでしょう。

男 B 「おい待て。これはワウラ伯爵様の命令だ」

 教会の中まで、追って来ました。

男 B 「一緒に来い」

 男が、わたしの腕をつかむ瞬間・・・
 教会の中がまぶしく光りました。

女神 「無礼者。アンナに対する無礼は許さぬ」

 後ろを振り返ると女神像が光り輝いていました。
 男は硬直したまま呆然としています。

女神 「ワウラ伯爵、その名しかと聞いた、
    これから伯爵に神罰を与える。」

 女神像の輝くが増しました。

女神「よいか、二度目は無いと思え。今度アンナに手を出せば、
   この国を滅ぼすゆえ、覚悟せよ」

 女神像の光が消えて、男は逃げて行きました。

アンナ「お騒がせしました」

 皆さん、呆然としています。
 わたしも礼拝堂を出ました。

 わたしが、礼拝堂に逃げ込んだせいで、大事おおごとになりました。
 孤児院に行くはずでしたが、敷居しきいが高いです。

 わたしは、お菓子が入ったバスケット、けん玉と竹馬を孤児院に転移させました。

 『お菓子とおもちゃを置いていきます。 アンナ』
 と書いた紙をバスケットに入れてあります。
 あ、遊び方の説明が・・・
 いえ、心配はいりません。子供は遊びの天才です。
 自分達で遊び方を考えるでしょう。


*    *    *


 次にわたしが向かったのは、ルパンさんのパン屋です。
 午前中、村で話をしたときに、チーズの売れ行きが今ひとつと言われたので、チーズ料理のレシピを教えることにしました。

アンナ「ルパンさん、こんにちは」
ルパン「おう。いまちょうど手が空いたところだ」
アンナ「生クリームの件ですが、
    アキノ商会が取り扱うことになりました」
ルパン「そうか。わかった」
アンナ「それと・・・今オーブン使えますか」
ルパン「ああ。まだ火が入ってる」
アンナ「それでは、お菓子のレシピを教えます」
ルパン「ほんとか。楽しみだ。」

 材料は、クリームチーズ、生クリーム、砂糖、玉子、小麦粉です。
 それらを混ぜて、オーブンで焼きます。

 バスクチーズケーキです。

 問題は、クッキングシートがないことです。
 仕方がないので、容器の底を二重にして、側面は
 串を入れて、ケーキを取り出すことにしました。

 わたしは材料を混ぜて、オーブンで焼きます。

 数十分後、完成しました。試食します。

 ぱくっ。

ルパン「うめー」
アンナ「ありがとうございます」
ルパン「アンナさんは天才だ」

 すみません。これはインターネットのレシピです。

     *

 試食後、女神ローラの分を確保して、パン屋を出ました。
 今度はダノンさんの食堂に向かいます。

アンナ「ダノンさん、こんにちは」
ダノン「ひょっとして、新作か?」
アンナ「はい。今オーブン使えますか」
ダノン「ああ、大丈夫だ」
アンナ「今日は二品作ります」
ダノン「わかった」

 一品目はピラフです。
 この街には米料理がないので、人気が出るといいですね。
 作り方は、小さく切った具材と米をスープで炊くでけです。

アンナ「これはピラフという料理です。
    具材とスープは代えてもいいので、工夫してください」
ダノン「この米は、前に教えてくれたクスクスに似ているな」
アンナ「はい。同じような感覚で使える食材です」

 ピラフを炊き始めました。その間にもう一品作ります。

 わたしはアイテムボックスから、発酵済みのパン
 生地を取り出して円形に広げました。
 トマトソースを塗り、具材とチーズをのせます。

 ピザです。

アンナ「これはピザという料理です。
    これも具材とソースを代えてもいいです」
ダノン「わかった」

 わたしはピザをオーブンに入れます。
 ピザを出し入れする道具、ピザピールは自作しました。

 数分後、ピザが焼けました。
 取り出して、カットします。

アンナ「どうぞ。熱いですよ」

 ぱくっ。

ダノン「あつっ・・・んま・・・うまい」
アンナ「ありがとうございます」
ダノン「アンナさんは料理の天才だよ」

 すみません。これもインターネットのレシピです。

 わたしは、ローラの分を確保しました。

 その後、ピラフも炊きあがり、試食しました。
 ダノンさんからの評価も高いです。
 わたしはピラフに合うインディカ米を提供して、食堂を出ました。



 次は猫耳亭に向かいます。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。 全力でお母さんと幸せを手に入れます ーーー カムイイムカです 今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします 少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^ 最後まで行かないシリーズですのでご了承ください 23話でおしまいになります

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...