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第2章 第7話 鼎への尋問 そして脱出開始
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「っ…!ここは…?」
部屋の電気が突然つき、眩しい光によって鼎は目覚めた。手には手錠が付いていて、自身が囚われている事はすぐに分かった。
「気がついたか」
「アンタは…」
デスクを挟んだ向こう側にいたのは、研究施設の管理人のボディーガードである敦也だった。この時点で鼎は、自分を捕らえたのは彼らである事を理解した。
「依頼を受けてこの施設を探り、資料を持ち出そうとしたらしいな」
やはりというか、敦也は鼎のリュックサックの中もチェックしていた。既に中身はデスクの上に並べられている状態だった。
「全て没収させてもらう。資料以外にも危険な物を持ち運んでいたみたいだしな」
デスクの上には鼎が持ち込んでいた試作ウイルスプログラムも置いてあった。敦也も危険な物だと理解しているのか、あまり触れようとはしなかった。
「さてと…お前は金目当てでブラックエリア関係の依頼を受ける愚か者なのか?それとも、別の目的があってこの施設に侵入したのか答えてもらおうか」
「人を…捜して、いる」
「その人物はこの研究施設と関係があるのか?」
「ええ…エリア013に住んでる子。何故、貴方達は013のアバターの抜け殻を集めているの?」
鼎は逆に敦也に対して、アバターの抜け殻を集めている理由を聞いた。素直に答える訳は無いが、相手のペースを少しでも崩したかった。
「エリア013を仕切っているのはヤクザだ。あの手合いの連中は金で釣ればどんな事でもやる」
「そうやって裏社会の人間を利用して、アナザーアース内で誘拐しているのね…」
敦也が質問に答えたのは意外だったが、これは鼎にとっても予想の範疇だった。鼎は聞き出せるだけ聞き出そうと思い始めていた。
「ヤクザが貴方たちの事を嗅ぎ回ってたらどうするの?」
「その時はそいつも素材にしますよ。そうすれば、現実世界には二度と戻れないからな」
「…自分達が捕らえたユーザーの意識を現実世界に帰していないのね…それぞれの人生を気にした事は無いの?」
「無いな。目的を果たす為、個々の事情を気にする暇は無い」
鼎は人を実験材料としか見ていない敦也達に対して、憤りを感じていた。その怒りを隠しながら、反撃する隙を窺っていた。
「…管理人が戦っていた子は、どうしてるの?」
「お前と同じように、捕らえてある。随分アバターを改造していたみたいだな」
「…私達を、どうするつもり?」
「お前は記憶消去処理をしてから解放する。あの桃香とか言う女は…使い道がありそうだな」
桃香はブラックエリアで活動しているユーザー…消えてもおかしくない人間だ。このままだと、まず助からないと考えた方が良さそうだ。
「さてと…お前が持ち込んだ物資について聞かせてもらおうか」
やはりというか、リュックサックの中に入っていた物の中で一番重量があってサイズも大きい、試作ウイルスプログラムを最優先で調べようとしていた。危険性は理解しているらしく、敦也は慎重に調べていた。
「厳重なロックが掛かっているな…どれ程危険なプログラムを組んだんだ?」
「起動してみたら分かるんじゃない?」
「…この場で起動すれば、私もお前もタダでは済まない。破棄させてもらおう」
「くっ…」
「起動装置かもしれない怪しい機械は全て回収した。ウイルスプログラムを処分したら、危険でない物だけ返してやる」
「ふぅん…」
鼎は自身の服に取り付けていた"ある物"が外されていなかったので、余裕を取り戻し始めていた。勿論、気付かれる可能性はあるので、油断は出来ないが。
「おい、これを起動させるスイッチはどれだ?装置が多すぎて分からない…」
「それと…それと、それだけど」
「ふん…他にも隠しているだろう」
「だったら、デスクの上に置いた物全部片っ端から調べればいいじゃない」
敦也はデスクの上にある物に手を伸ば…さずに、鼎が着ている衣服を調べ始めた。彼は、鼎がまだ何か隠し持っている可能性を考えていたのだ。
「このコントローラーは…なるほど、これもウイルスプログラムの起動装置か」
「っ……」
敦也から見れば、鼎は観念している様な表情に見えた。敦也は、今度こそ鼎がプログラムを起動する手段を失ったと確信した。
(まだ…もっと近づいて…)
鼎は、敦也が一番ウイルスプログラムの影響を受ける位置に立つのを待っていた。ウイルスプログラムを処分しようとした敦也が、装置を手に持った瞬間に鼎は服の袖に隠してあった、紙のように薄い指紋認証式のスイッチに指を当てた。
「何っ…ガっあアA aっっっ?!」
ウイルスプログラムが起動すると、装置が展開して内部に仕掛けられていたスクリーンもコードを映し出す。敦也は咄嗟にそれを見ない様にしようとしたが、既に手遅れだった。
(うっ…頭、痛い…でも、逃げないと!)
「GアAぁ…」
ウイルスプログラムの影響をすぐ近くで受けた敦也は、パニック状態に陥っている。鼎はそんな敦也を放置して、尋問室からの脱出を目指した。
「キーは…服のポケット…っ!…随分不用心なんですね…」
「nぁッ…」
鼎は冷静に敦也の服のポケットからカードキーを奪って、尋問室を脱出した。廊下へと飛び出した鼎は、加奈と桃香を探すために急いだ。
(大丈夫…私なら、絶対助けられる!)
部屋の電気が突然つき、眩しい光によって鼎は目覚めた。手には手錠が付いていて、自身が囚われている事はすぐに分かった。
「気がついたか」
「アンタは…」
デスクを挟んだ向こう側にいたのは、研究施設の管理人のボディーガードである敦也だった。この時点で鼎は、自分を捕らえたのは彼らである事を理解した。
「依頼を受けてこの施設を探り、資料を持ち出そうとしたらしいな」
やはりというか、敦也は鼎のリュックサックの中もチェックしていた。既に中身はデスクの上に並べられている状態だった。
「全て没収させてもらう。資料以外にも危険な物を持ち運んでいたみたいだしな」
デスクの上には鼎が持ち込んでいた試作ウイルスプログラムも置いてあった。敦也も危険な物だと理解しているのか、あまり触れようとはしなかった。
「さてと…お前は金目当てでブラックエリア関係の依頼を受ける愚か者なのか?それとも、別の目的があってこの施設に侵入したのか答えてもらおうか」
「人を…捜して、いる」
「その人物はこの研究施設と関係があるのか?」
「ええ…エリア013に住んでる子。何故、貴方達は013のアバターの抜け殻を集めているの?」
鼎は逆に敦也に対して、アバターの抜け殻を集めている理由を聞いた。素直に答える訳は無いが、相手のペースを少しでも崩したかった。
「エリア013を仕切っているのはヤクザだ。あの手合いの連中は金で釣ればどんな事でもやる」
「そうやって裏社会の人間を利用して、アナザーアース内で誘拐しているのね…」
敦也が質問に答えたのは意外だったが、これは鼎にとっても予想の範疇だった。鼎は聞き出せるだけ聞き出そうと思い始めていた。
「ヤクザが貴方たちの事を嗅ぎ回ってたらどうするの?」
「その時はそいつも素材にしますよ。そうすれば、現実世界には二度と戻れないからな」
「…自分達が捕らえたユーザーの意識を現実世界に帰していないのね…それぞれの人生を気にした事は無いの?」
「無いな。目的を果たす為、個々の事情を気にする暇は無い」
鼎は人を実験材料としか見ていない敦也達に対して、憤りを感じていた。その怒りを隠しながら、反撃する隙を窺っていた。
「…管理人が戦っていた子は、どうしてるの?」
「お前と同じように、捕らえてある。随分アバターを改造していたみたいだな」
「…私達を、どうするつもり?」
「お前は記憶消去処理をしてから解放する。あの桃香とか言う女は…使い道がありそうだな」
桃香はブラックエリアで活動しているユーザー…消えてもおかしくない人間だ。このままだと、まず助からないと考えた方が良さそうだ。
「さてと…お前が持ち込んだ物資について聞かせてもらおうか」
やはりというか、リュックサックの中に入っていた物の中で一番重量があってサイズも大きい、試作ウイルスプログラムを最優先で調べようとしていた。危険性は理解しているらしく、敦也は慎重に調べていた。
「厳重なロックが掛かっているな…どれ程危険なプログラムを組んだんだ?」
「起動してみたら分かるんじゃない?」
「…この場で起動すれば、私もお前もタダでは済まない。破棄させてもらおう」
「くっ…」
「起動装置かもしれない怪しい機械は全て回収した。ウイルスプログラムを処分したら、危険でない物だけ返してやる」
「ふぅん…」
鼎は自身の服に取り付けていた"ある物"が外されていなかったので、余裕を取り戻し始めていた。勿論、気付かれる可能性はあるので、油断は出来ないが。
「おい、これを起動させるスイッチはどれだ?装置が多すぎて分からない…」
「それと…それと、それだけど」
「ふん…他にも隠しているだろう」
「だったら、デスクの上に置いた物全部片っ端から調べればいいじゃない」
敦也はデスクの上にある物に手を伸ば…さずに、鼎が着ている衣服を調べ始めた。彼は、鼎がまだ何か隠し持っている可能性を考えていたのだ。
「このコントローラーは…なるほど、これもウイルスプログラムの起動装置か」
「っ……」
敦也から見れば、鼎は観念している様な表情に見えた。敦也は、今度こそ鼎がプログラムを起動する手段を失ったと確信した。
(まだ…もっと近づいて…)
鼎は、敦也が一番ウイルスプログラムの影響を受ける位置に立つのを待っていた。ウイルスプログラムを処分しようとした敦也が、装置を手に持った瞬間に鼎は服の袖に隠してあった、紙のように薄い指紋認証式のスイッチに指を当てた。
「何っ…ガっあアA aっっっ?!」
ウイルスプログラムが起動すると、装置が展開して内部に仕掛けられていたスクリーンもコードを映し出す。敦也は咄嗟にそれを見ない様にしようとしたが、既に手遅れだった。
(うっ…頭、痛い…でも、逃げないと!)
「GアAぁ…」
ウイルスプログラムの影響をすぐ近くで受けた敦也は、パニック状態に陥っている。鼎はそんな敦也を放置して、尋問室からの脱出を目指した。
「キーは…服のポケット…っ!…随分不用心なんですね…」
「nぁッ…」
鼎は冷静に敦也の服のポケットからカードキーを奪って、尋問室を脱出した。廊下へと飛び出した鼎は、加奈と桃香を探すために急いだ。
(大丈夫…私なら、絶対助けられる!)
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