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君の影を夢で見た。<元使用人×主人 >
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首元には、雅治がつけた首輪。雅治がいないときは、繋がれた鎖。
雅治が家に帰ってくれば、暇さえあればセックス。
自由なんてない、監禁生活。そんな、変化のない毎日。
だけど、千春は今までの人生で一番満たされていた。
すぐとなりには、雅治がいるのだ。そして、自分を縛ってくれる。
自分の存在を、縛ってくれるのだ。
縛るよりも、千春は縛られる方が症にあっていた。
元々、千春はおっとりしているし、雅治に執着はしていても、自分から何かをすることはあまりなかった。
あの理英の息子、ということで期待されても、千春はいつもその期待に答えられることはなかった。
誰かに必要とされることもない。
劣等感から、消え入りたくなる時もあった。
その寂しさから、傍にいる雅治を傷つけたことも多々あった。
「ね、人は一人では生きていけないってさ」
情事後。
千春の身体を弄る雅治に、千春は呟いた。
千春の突然の言葉に、雅治は怪訝に眉間に皺をよせる。
「なんだ、突然」
「淋しかった。ずっと。俺は誰にも必要とされてないって思ったから。だから、雅治を縛っていたんだ。俺の玩具にしてた…」
今思えば、幼い頃の自分は、ただ寂しかったんだと思う。
寂しかったから、あんなに、雅治を縛り付けていたのだ。
自分の弱い心のせいで、随分雅治にはひどいことをしてきたと思う。
申し訳ない。同時に。
このままの監禁生活が長く続けばいいと、そう、願ってしまう。
雅治にとって、この生活は、〝いいもの〟ではないと気づいているのに。
雅治は千春を見て、時折イラついた表情をしていると知っているのに。
それでも、願ってしまう。
このまま、ずっと、雅治が自分を縛ってくれますように…と。
「きっと、父さんも寂しかったんだ…」
理英のことを口にした時、雅治の目が、鋭く冷たいものになる。
千春以上に、雅治は理英を未だに恨んでいるんだろう。
愛撫をしていた手が止まった。
「父さんは、だから、雅治の父さんを自分のものにしたんだ。一人ぼっちになりたくなかったから…」
「それが、俺たち家族にやったことと何の関係もない」
「そだね・・・、」
自分たちがやってきたことは、けして許されるものじゃない。
こうして、雅治に嫌悪混じった瞳で見られて当然なのだ。
「でも、俺は今お前と一緒にいられて嬉しいよ」
千春は、そういって、雅治の胸に顔を寄せる。
ドクドク…、と、雅治の胸がなる。この音を聞くと安心する自分がいる。
少し汗ばんだ雅治の肌。触れ合うだけで、こんなにも気持ちがいい。
「俺はお前がわからない」
困惑気味に、雅治は呟いた。
「俺も」
それに、千春も答える。
「でも、今はとても楽なんだ。雅治との生活が…。俺は、今が一番好き。こうしているのが、一番」
「千春」
「好きだよ…雅治」
愛してるー。
千春はいつものように屈託なく笑い、愛を告げる。
雅治は、黙ってそれに口づけで応えた。
愛してる?
その答えに言葉はいらなかった。
ただ、傍にいてくれれば。
それだけで、千春は良かったのだ。
自由もなにもかも、いらない。
ただ、雅治さえ、いれば。
言葉も自由も、地位も名声も、自分さえ、いらなかった。
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首元には、雅治がつけた首輪。雅治がいないときは、繋がれた鎖。
雅治が家に帰ってくれば、暇さえあればセックス。
自由なんてない、監禁生活。そんな、変化のない毎日。
だけど、千春は今までの人生で一番満たされていた。
すぐとなりには、雅治がいるのだ。そして、自分を縛ってくれる。
自分の存在を、縛ってくれるのだ。
縛るよりも、千春は縛られる方が症にあっていた。
元々、千春はおっとりしているし、雅治に執着はしていても、自分から何かをすることはあまりなかった。
あの理英の息子、ということで期待されても、千春はいつもその期待に答えられることはなかった。
誰かに必要とされることもない。
劣等感から、消え入りたくなる時もあった。
その寂しさから、傍にいる雅治を傷つけたことも多々あった。
「ね、人は一人では生きていけないってさ」
情事後。
千春の身体を弄る雅治に、千春は呟いた。
千春の突然の言葉に、雅治は怪訝に眉間に皺をよせる。
「なんだ、突然」
「淋しかった。ずっと。俺は誰にも必要とされてないって思ったから。だから、雅治を縛っていたんだ。俺の玩具にしてた…」
今思えば、幼い頃の自分は、ただ寂しかったんだと思う。
寂しかったから、あんなに、雅治を縛り付けていたのだ。
自分の弱い心のせいで、随分雅治にはひどいことをしてきたと思う。
申し訳ない。同時に。
このままの監禁生活が長く続けばいいと、そう、願ってしまう。
雅治にとって、この生活は、〝いいもの〟ではないと気づいているのに。
雅治は千春を見て、時折イラついた表情をしていると知っているのに。
それでも、願ってしまう。
このまま、ずっと、雅治が自分を縛ってくれますように…と。
「きっと、父さんも寂しかったんだ…」
理英のことを口にした時、雅治の目が、鋭く冷たいものになる。
千春以上に、雅治は理英を未だに恨んでいるんだろう。
愛撫をしていた手が止まった。
「父さんは、だから、雅治の父さんを自分のものにしたんだ。一人ぼっちになりたくなかったから…」
「それが、俺たち家族にやったことと何の関係もない」
「そだね・・・、」
自分たちがやってきたことは、けして許されるものじゃない。
こうして、雅治に嫌悪混じった瞳で見られて当然なのだ。
「でも、俺は今お前と一緒にいられて嬉しいよ」
千春は、そういって、雅治の胸に顔を寄せる。
ドクドク…、と、雅治の胸がなる。この音を聞くと安心する自分がいる。
少し汗ばんだ雅治の肌。触れ合うだけで、こんなにも気持ちがいい。
「俺はお前がわからない」
困惑気味に、雅治は呟いた。
「俺も」
それに、千春も答える。
「でも、今はとても楽なんだ。雅治との生活が…。俺は、今が一番好き。こうしているのが、一番」
「千春」
「好きだよ…雅治」
愛してるー。
千春はいつものように屈託なく笑い、愛を告げる。
雅治は、黙ってそれに口づけで応えた。
愛してる?
その答えに言葉はいらなかった。
ただ、傍にいてくれれば。
それだけで、千春は良かったのだ。
自由もなにもかも、いらない。
ただ、雅治さえ、いれば。
言葉も自由も、地位も名声も、自分さえ、いらなかった。
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