7 / 50
2章
7
しおりを挟むまりんだけしか、愛を捧げられないのなら。
まりんだけしか、狂えないのなら
「忘れなよ、僕で。僕の身体で」
身につけていたネクタイを素早く外して、押し倒した仁さんの両手を縛ると、テーブルの端へとくくりつけた。
元気な仁さんであれば、僕を簡単に押し返すことは容易だったかもしれない。
しかし、、今の仁さんは病み上がりで体力もなく、非力な僕でも押し倒せた。
やるならば、今しかない。
僕は仁さんの身体に馬乗りになり、仁さんのズボンのチャックを開け、そこに眠っていた仁さんのものをとりだした。
まだ勃起していないなのに、それは大きく膨張しており、触ればどくどくと熱く脈打っていた。
まるで、生きている〝生物〟みたいだった。
普段見ている自分ものとは違う形状に、しばし目が奪われる。
そして意を決すると、僕は、仁さんの脈打つペニスをそのまま口へとふくんだ。
「…おいっ、」
ここまでくればさすがの仁さんもまずいと思ったのだろう。
ただごとでない状況に、ジタバタと病み上がりの体で精一杯抵抗しはじめた。
「駿っ」
「仁さんの…僕のと違うね。凄く…熱い……んっ…っ」
苦々しいものが口に広がる。
僕は男の性も不完全だから標準サイズはわからないが、男の身体って本当はこんなに逞しいんだろうか。
それとも、身体も大きい仁さんが特別なのだろうか。
仁さんのものを全部口に含むには、不馴れな僕にはなかなか難しかったけれど、一心不乱にそれを舐め続けた。
仁さんから溢れる白濁が、僕の手を汚していく。
次第に仁さんの身体は小刻みに揺れていった。
与えられる快感に耐えるように、きゅっと結ばれた口元は、とてもセクシーで男らしくて…。
こんな仁さんにとっては最悪な状況なのに、僕は興奮が収まらなかった。
心と身体は裏腹なのか、次第に仁さんのものは、僕の与える刺激を喜ぶかのように涙を零していた。
男だから刺激さえすれば感情を伴っていなくても反応する。愛してなくても反応する。
これは自然の生理現象なのである。
それでも、僕の愛撫に反応してくれたことが嬉しくて、舌で嘗め回すのを早くしてみる。
夢中で仁さんのものを刺激する僕と、腰を捻り逃げようとする仁さんの攻防戦が続く。
「ふん…んん…」
「やめろ…駿…」
「仁…さ…ん」
上目づかいで、仁さんを伺えば。
「…っ、」
仁さんが眉間に皺を寄せて、息を詰まらせる。
きつく瞳を閉じて、仁さんが大きく震えた。
と、同時に。
顔に熱いものが出された。
僕の顔を滑るように白濁が、落ちていく。
うっすらと唇を開きながら、仁さんを見あげた。
「仁さんの…」
ペロリ…と口端についていた白濁を舐め上げる。
仁さんは、そんな僕をじっと見つめていた。
何かを、観察するかのように。
それまで、拒絶し抵抗していたのをやめて、僕を見ていた。
「仁さん」
「駿」
「ちょっと、待ってて」
僕は一度、顔に出されたものを近くにあったティッシュでふいた。
そしてまた放心したままの仁さんの身体に跨り、羽織っていた上着を落としていく。
まりんのように柔らかな胸もない僕の身体を、仁さんはじっと見つめていた。
「あまり、見ないで・・・」
「駿」
「仁さん、あのね。僕の身体、女のようにも抱けるんだよ。目を瞑っていたら、女の子でも抱いているように抱けるんだよ」
仁さんの着ていたシャツのボタンを外していく。
顕になった仁さんの肉体は、大人の男の身体をしていた。
胸元に耳をやれば、トクリトクリと、仁さんの心臓の音が聞こえてくる。
「まりんのように、抱けるんだよ」
「駿」
「僕を抱いて。僕を〝代わり〟にしてください。お願いだから…」
この思いに気づかなくてもいいから。
今は、なにもかも忘れるくらい、めちゃくちゃに犯してほしい。
仁さんのものが完全に勃起するのを確認し、仁さんを受け入れる部分に指を入れる。
「ーっ、」
初めてほぐすそこは、自分の指だというのに未知のものが侵入してくるようで怖かった。
それでもスムーズにここを使うには、ちゃんとここを柔らかくしないと僕も仁さんも気持ちよくなれないらしい。
昨日買ったばかりの潤滑油がわりのクリームを持っていたバックから取り出し、恥部に塗る。
勝手に濡れてくれたらよかったのだが、あいにくそんな便利な身体ではなくて。
自分であらぬ場所を自分で解すという羞恥と戦いながら、仁さんを受け入れる準備をした。
一通り自分で中を弄った後、ゆっくりと仁さんのペニスを僕の奥まった場所に挿れた。
「…っ、」
圧迫感に、息が詰まる。
熱いどくどくと滾るペニスは、皮膚が火傷してしまうかのように熱く僕を蕩けさせる。
僕の中に仁さんがいる。そのことが嬉しくて、痛い筈なのに笑みが毀れた。
僕は慣れるまで、仁さんのものが、僕の中に馴染むまでまった。
「動く……ね…、んん…」
当然、じんさんからの返事も、突き上げもない。
「あ…、じんさん…じんさんっ」
それでも、僕は腰を動かし続け、初めての仁さんとのセックスに酔いしれた。
熱を二人でわけあうのが、こんなに熱くなるものであると初めて知った。
女のように抱いてほしかった。
まりんとの濡れ場をみたときから、ずっと思っていた。
仁さんが抱く相手が僕だったらいいのに…って。
そして、今僕は夢だった仁さんに抱かれている。
下からの突き上げがないことに目を瞑り、必死に快楽を追う。
夢がかなってうれしい筈なのに…何故だか、涙が一筋毀れてしまった。
1
お気に入りに追加
252
あなたにおすすめの小説
花いちもんめ
月夜野レオン
BL
樹は小さい頃から涼が好きだった。でも涼は、花いちもんめでは真っ先に指名される人気者で、自分は最後まで指名されない不人気者。
ある事件から対人恐怖症になってしまい、遠くから涼をそっと見つめるだけの日々。
大学生になりバイトを始めたカフェで夏樹はアルファの男にしつこく付きまとわれる。
涼がアメリカに婚約者と渡ると聞き、絶望しているところに男が大学にまで押しかけてくる。
「孕めないオメガでいいですか?」に続く、オメガバース第二弾です。
記憶喪失の君と…
R(アール)
BL
陽は湊と恋人だった。
ひねくれて誰からも愛されないような陽を湊だけが可愛いと、好きだと言ってくれた。
順風満帆な生活を送っているなか、湊が記憶喪失になり、陽のことだけを忘れてしまって…!
ハッピーエンド保証
僕は本当に幸せでした〜刹那の向こう 君と過ごした日々〜
エル
BL
(2024.6.19 完結)
両親と離れ一人孤独だった慶太。
容姿もよく社交的で常に人気者だった玲人。
高校で出会った彼等は惹かれあう。
「君と出会えて良かった。」「…そんなわけねぇだろ。」
甘くて苦い、辛く苦しくそれでも幸せだと。
そんな恋物語。
浮気×健気。2人にとっての『ハッピーエンド』を目指してます。
*1ページ当たりの文字数少なめですが毎日更新を心がけています。
ハッピーエンド
藤美りゅう
BL
恋心を抱いた人には、彼女がいましたーー。
レンタルショップ『MIMIYA』でアルバイトをする三上凛は、週末の夜に来るカップルの彼氏、堺智樹に恋心を抱いていた。
ある日、凛はそのカップルが雨の中喧嘩をするのを偶然目撃してしまい、雨が降りしきる中、帰れず立ち尽くしている智樹に自分の傘を貸してやる。
それから二人の距離は縮まろうとしていたが、一本のある映画が、凛の心にブレーキをかけてしまう。
※ 他サイトでコンテスト用に執筆した作品です。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる