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騒乱編
118.飛んで火に入る…③
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※軽くですが襲われてる描写があります。苦手な方ご注意!
───────────────────
「防御系の魔法ですか? 解いては貰えないんですよね?」
「解くわけないでしょう」
「ですよね……。仕方ない。これはとっておきたかったんですが……」
はぁ、とため息をついて胸元から取り出したのはペンダント状の魔石。大きめの石が、きらりと煌めいた。
そのペンダントを首にかけると、再び俺に触れようとしてくる。動く足をバタつかせながら抵抗するけど、足を掴まれてしまった。
「!?」
「ふふ、これ、ロラン王子の魔力入りなんです。彼の魔力の性質に、私もあやかれるんですよ。」
「魔力の……性質……?……あ!」
もしかして、あれか!? 魔法無効化されたアレ! あれが魔力の性質だとして、それをあやかるというなら……俺、ヤバいじゃん……
さっと血の気が引く。これは本格的にまずい。まずいけど俺は身動きが取れない。
『レオ、やばい、ベルモンド伯爵にも魔法効かない……』
『ごめ、あと少しで着くから……!』
場所は分かっているようだった。もう少しで着くって言葉を信じる他ない。
「ああ、そんな怯えた顔をしないで……。私は貴方を愛したいだけなんですから。」
「俺はあんたに愛されたくない。ていうかそもそも目的はなんなんだ。当事者なんだから、それぐらい知りたいんだけど?」
目的を知りたいのもあるけど、こうなりゃ引き伸ばし作戦だ! たぶんバレてるだろうけど!
「まぁ、そうですね……教えてあげましょうか。知っていただいた方が私の本気度が伝わるでしょうし。」
そう言って俺の足を、膝を曲げてふくらはぎと太腿を合わせて固定するように片足ずつ縛り、伯爵はテーブルに座った。
「本当は貴方をこのままブランシャールへ連れて行って、ロラン王子と二人で貴方を愛そうと言う話だったんですけど……彼は牢ですし、どうしましょうかね。」
「え、ロラン王子と二人でって……」
「そのままの意味ですよ? 一妻多夫にて愛そうと計画していたんです。」
「それ、俺の気持ちは丸無視ってわけか。」
「幸せにしますから大丈夫ですよ。」
(何も全然大丈夫じゃねえ!!)
「さて、足も辛いでしょうしさっさと済ませましょうか。」
伯爵は、ずい、と腕を伸ばして俺のボタンのない上着から覗いているシャツのボタンを一つ一つ外すと、するりと手を滑り込ませてきた。
「やめろ……!」
「滑らかな肌ですね。……殿下によく愛されておいでで。薄明かりでもわかるぐらいだ。」
どうしよう、誰か、
「あ」
そこでふと、馬車で言われたことを思い出した。
『俺は今、お前の幸せのためだけにここにいる』
あ、桐矢! 桐矢はどこにいんだ!?
レオも、桐矢なら俺を守ってくれるって言ってた。だったら、呼んでもいいか!?
「桐矢ぁ!!!!!!!」
腹の底から思いっきり叫ぶ。
しーん…
「……っ」
「どうしました? 殿下じゃない男の名を呼ぶなんて、貴方も中々魔性の男ですね。」
そう言って俺の乳首をくにくにと弄んで、股間をふにっと触られた。
「ひ、っ」
「さすがにこれだけじゃ勃ちませんか。」
今度は、乳首を舐めようとしているのか胸元に近づいてきた。
嫌だ嫌だっ!! 気持ち悪い!!!
誰がお前に触られて勃つかよ!
「この……っバカ!!!」
────ゴッッッ
「いっ…………」
渾身の力を込めて頭突きをすると、ものすごい音がして伯爵は頭を抱えて蹲った。俺もめちゃめちゃ痛かったけど、自分に回復魔法をかけたから平気だ。
にじりにじりとソファの端によって伯爵から距離を取っていると、扉の外が騒々しい。何かなと顔を上げると、大きな音と共に扉が破壊された。
「海斗!」
「桐矢ぁ」
「ごめん、髭ジジイとその他殴ってたら遅くなった。」
他にも手下がいたらしく、それをみんな殴って来たんだと言う桐矢はピンピンしていた。
「お前、こんな……っ!」
桐矢は痛々しげに俺を見ると、足と手の縄を切って、自分の上着を着せてくれた。
「カイト殿……やんちゃもほどほどにしてください。こちらもあまり酷いことはしたくない。」
「げっ、復活した!」
頭突きから復活した伯爵は、ピィッと指笛を吹くと、ニヤリと笑った。
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「防御系の魔法ですか? 解いては貰えないんですよね?」
「解くわけないでしょう」
「ですよね……。仕方ない。これはとっておきたかったんですが……」
はぁ、とため息をついて胸元から取り出したのはペンダント状の魔石。大きめの石が、きらりと煌めいた。
そのペンダントを首にかけると、再び俺に触れようとしてくる。動く足をバタつかせながら抵抗するけど、足を掴まれてしまった。
「!?」
「ふふ、これ、ロラン王子の魔力入りなんです。彼の魔力の性質に、私もあやかれるんですよ。」
「魔力の……性質……?……あ!」
もしかして、あれか!? 魔法無効化されたアレ! あれが魔力の性質だとして、それをあやかるというなら……俺、ヤバいじゃん……
さっと血の気が引く。これは本格的にまずい。まずいけど俺は身動きが取れない。
『レオ、やばい、ベルモンド伯爵にも魔法効かない……』
『ごめ、あと少しで着くから……!』
場所は分かっているようだった。もう少しで着くって言葉を信じる他ない。
「ああ、そんな怯えた顔をしないで……。私は貴方を愛したいだけなんですから。」
「俺はあんたに愛されたくない。ていうかそもそも目的はなんなんだ。当事者なんだから、それぐらい知りたいんだけど?」
目的を知りたいのもあるけど、こうなりゃ引き伸ばし作戦だ! たぶんバレてるだろうけど!
「まぁ、そうですね……教えてあげましょうか。知っていただいた方が私の本気度が伝わるでしょうし。」
そう言って俺の足を、膝を曲げてふくらはぎと太腿を合わせて固定するように片足ずつ縛り、伯爵はテーブルに座った。
「本当は貴方をこのままブランシャールへ連れて行って、ロラン王子と二人で貴方を愛そうと言う話だったんですけど……彼は牢ですし、どうしましょうかね。」
「え、ロラン王子と二人でって……」
「そのままの意味ですよ? 一妻多夫にて愛そうと計画していたんです。」
「それ、俺の気持ちは丸無視ってわけか。」
「幸せにしますから大丈夫ですよ。」
(何も全然大丈夫じゃねえ!!)
「さて、足も辛いでしょうしさっさと済ませましょうか。」
伯爵は、ずい、と腕を伸ばして俺のボタンのない上着から覗いているシャツのボタンを一つ一つ外すと、するりと手を滑り込ませてきた。
「やめろ……!」
「滑らかな肌ですね。……殿下によく愛されておいでで。薄明かりでもわかるぐらいだ。」
どうしよう、誰か、
「あ」
そこでふと、馬車で言われたことを思い出した。
『俺は今、お前の幸せのためだけにここにいる』
あ、桐矢! 桐矢はどこにいんだ!?
レオも、桐矢なら俺を守ってくれるって言ってた。だったら、呼んでもいいか!?
「桐矢ぁ!!!!!!!」
腹の底から思いっきり叫ぶ。
しーん…
「……っ」
「どうしました? 殿下じゃない男の名を呼ぶなんて、貴方も中々魔性の男ですね。」
そう言って俺の乳首をくにくにと弄んで、股間をふにっと触られた。
「ひ、っ」
「さすがにこれだけじゃ勃ちませんか。」
今度は、乳首を舐めようとしているのか胸元に近づいてきた。
嫌だ嫌だっ!! 気持ち悪い!!!
誰がお前に触られて勃つかよ!
「この……っバカ!!!」
────ゴッッッ
「いっ…………」
渾身の力を込めて頭突きをすると、ものすごい音がして伯爵は頭を抱えて蹲った。俺もめちゃめちゃ痛かったけど、自分に回復魔法をかけたから平気だ。
にじりにじりとソファの端によって伯爵から距離を取っていると、扉の外が騒々しい。何かなと顔を上げると、大きな音と共に扉が破壊された。
「海斗!」
「桐矢ぁ」
「ごめん、髭ジジイとその他殴ってたら遅くなった。」
他にも手下がいたらしく、それをみんな殴って来たんだと言う桐矢はピンピンしていた。
「お前、こんな……っ!」
桐矢は痛々しげに俺を見ると、足と手の縄を切って、自分の上着を着せてくれた。
「カイト殿……やんちゃもほどほどにしてください。こちらもあまり酷いことはしたくない。」
「げっ、復活した!」
頭突きから復活した伯爵は、ピィッと指笛を吹くと、ニヤリと笑った。
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