また出会えたらその時は

華月

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妖精編

77.王都デート②

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 昼食はとてもおいしかった。パスタランチで、日替わりはトマトソースベースの店長オリジナルレシピのもの。これが絶品で、野菜沢山で肉の旨みも効いていて実に俺好みだった。付け合せのサラダもデザートも、パティスリーに行ったあとだと思えないぐらいするりと胃におさまった。そしてお値段がとってもリーズナブル。俺の(実は貰ってた)小遣いでも食べられるし、絶対また来よう……。

「はぁ~~すっごいおいしかった!」
「お気に召したようで何より。あそこの料理長、前に城で働いてたんだよ。」
「あぁ、それであんなにおいしかったんだ。また行こ?」
「うん、また二人で行こうね。」

 どちらからともなく手を繋ぎ、指を絡ませる。午後はどうしようかな。お昼の後だし、ちょっとまったりしたいなぁ。

 街の賑わいから少し外れると、少し険しい上りの細い小道。食事直後の俺にはちょっと厳しい運動だったけれど、レオに導かれるままついて行くと急に開けた場所に出る。少し小高いそこは、さっきまでいた街を見下ろすことが出来た。
 日陰になりそうな木の下に行くと、大きな布を広げる。一応持ってきていてよかった! そこへ座ると、レオが優しく笑って言った。

「ここ、俺の秘密の場所。」
「いい所だね。街がよく見える。」
「でしょ? 夕日が差し込む時間も、夜景に変わっても綺麗なんだ。」
「へぇ、それも見てみたいな!」

 さっきまでいたけれど、あんなに広いんだなぁ。まだ知らない道も店もたくさんありそう。
 ごろんと寝そべると、木の葉の隙間から空が見える。風が気持ちよくてふと目を閉じると、唇に柔らかい感触が。

「んっ……」

 レオが俺に覆いかぶさってキスをしている。なんだか最近、隙あらばしてくるな……可愛いなぁ。

「ん、んぅ、……っは、はぁ」

 舌を絡め取られて、吸われて、唾液が溢れるような。くちゅくちゅと音が鳴ってしまう、そんな可愛くないキスに発展して、俺はもう蕩けてしまう。ああぁ、だめだ、これ以上は……!

 レオの胸をぐっと押して、離れる。

「こ、これ以上はダメ!」
「…………なんで?」

 そ、そんな切なそうな顔してもダメ! 散々レオに可愛がられている俺の身体は、もうキスだけで蕩かされてしまうから。……ていうか、明け方にその……シたばっかなんだから、大人しくしててくれ……。

「ダメなもんはダメ。」
「だからなんで?」
「あのなぁ……」

 レオがじとっとこちらを見てくる。に、逃げたい……! 
 でもそんなわけにもいかないことは分かってるから、顔を見られないように腕で顔を隠して小さな声で答えた。

「………………勃っちゃうからダメ。」

 無言の時間が少しだけ流れて、レオが頭を撫でてきた。

「……わかったかよ」
「カイのスイッチはキスってことね。わかった。」
「覚え方ァ……」

 違う、そういうのじゃないんだよ! なんか余計な情報を与えてしまった感がヤバイんだけどなんで?
 身体を離すと、レオは俺の唇を親指で撫でる。

「じゃあ、舌入れなかったらいい?」
「う……うん………んぅ」

 触れるだけのキスを何度も何度も。どれくらいしていただろうか、結構長い間してたように思う。
 最後、名残惜しそうに離れていくレオはかわいかったな。

「勃っちゃってもイイのに……。」
「ダメだから!! 時と場所選んで!!」
「だって誰もいないよ?」

 パッと見はな!? そりゃいないよ。いないように見えるだけだよ!

「いる! たぶんあそこら辺とあそこら辺に! 護衛が!」
「……さすがだね……もうわかるようになったの。でもさぁ、阻害魔法で見えないようにしたら……もがっ」
「………………だめ」

 はぁ、折角のデートなのになんなの!

 ていうか、最近なんか……性欲増してる気がするんだけど……。なんかあったかな。
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